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2008年『東南角部屋二階の女』観賞。

2008年『東南角部屋二階の女』(監督/池田千尋)観賞。
西島さんの役は死んだ父親の借金を背負い、日々返済を続ける野上。土地と古アパートを売却して借金の返済に充てたいが持ち主である祖父(高橋昌也さん)をなかなか説得できない、というあらすじ。このアパートがまた本当に古くて昭和時代のボロボロ。
うちもリフォーム前、雨漏りやら建付けの問題やらあったのでそこをリフォームもせず維持しなければならない辛さが判り、感情移入。後輩(加瀬亮さん)や、なぜかお見合い相手(竹花梓さん)まで成り行きでこの古アパートで暮らすことになるがここでの西島さんはかなり寡黙。彼の風貌がさっと事を運ばせないのか。つい二人に悩み話しちまえよ、と背中を叩きたくなる。

ラストはみんなが心を分かち合い、それぞれの道を選び、このタイトルの中心である藤子(香川京子さん)と野上の祖父との心のやり取りを見つけ、古アパートは野上の意志によって維持される。西島さんの役ははっきりしないし誤解されそうだが2時間もない中で、しかめっ面から柔和な表情に変化する。こうした変容を見せられるのはやっぱりさすがだと思う。
エンタメとは遠く、主題も地味で観る人を選ぶ作品だとは思うが中年の私には沁みました。ただそれほど感動、ほっこり、とかではないので、この穏やかなポスターだけを見ると若干詐欺とか思う(笑)特に西島さんのこんないい顔、作中あんまり見られないです。しかしとても好きな作品です。ラストに見せる香川京子さんの涙、美しい余韻が残りました。(作中、西島さんが童謡「燃えろよ燃えろ」を歌う貴重なシーン等もあります)

PS/ ヒロイン西島さんのお見合い相手役、竹花梓さん、とても良かったのにお見かけしないと思ったら亡くなられていた。知らなかった。

映画ポスター

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