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2020年『風の電話』感想

2020年『風の電話』(監督/諏訪敦彦)観賞。
東日本大震災で家族を失った高校生ハル(モトーラ世理奈さん)は広島に住む伯母に支えられ日常生活を送ってきた。しかし叔母が倒れて入院。ハルは不安と哀しみの中、遠く遠く歩き、さまよい倒れる。そこから様々な人と出会い、色んな考え方に触れて行くロードムービー。

西島さんはハルがナンパ野郎(バカ)に捕まりそうになった所を助ける森尾役。ここでも寡黙ではあるが出て来た時の安堵感が半端ない。作品は……抱きしめたくなりました。モトーラ世理奈さんの演技が素晴らしくて何度も、もらい泣きした。

天災はどうしようもない。けれど思い詰めてはいけない。想いが詰まればそれは行き場を失くす。又は爆発する。誰にも聞かれたくなければどこかに話す所がある。それが実在する通称「風の電話」だったりもする。今、大事な人がいるなら言葉で伝えよう。いつその人がいなくなるかなんて誰にも判らない。言葉が出なければハグでもいい。握手でもいい。ただそばにいるだけでもいい。悔やむ前にできること。伝えること。伝えてもらうこと。

言葉と存在の大切さをここでも思い知った。未だたくさんの方にトラウマを残す事故なので闇雲にお薦めはしません。けれど私は手を伸ばしてみました。素晴らしかった。

※余談。
西島さん、何この包容力! 妻や子を失った悲しい役ですが55分経ってやっと登場した時のあの安心感はなに? 素晴らしい。大変な心理状態のハルを守る存在として100%安堵。以前からあった不安定な犯罪者みたいな感じが消えていました(失礼)。重いテーマの作品だけれど、浄化される作品でもありました。

映画ポスター
モトーラ世里奈さんの繊細な感情表現、素晴らしかった

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