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アイドル好き必見、ライブのコールMIXまとめサイト(idolcall)-開発者インタビュー #05

全記事、個人開発者に直接インタビュー。個人開発の裏側を根掘り葉掘り伺うPRANET stories、第5弾です!

今回は「idolcall」の開発者、湧川さんにお話を伺いました。

idolcall
日本最大級のコールMIXまとめサイト「アイドルコール(idolcoll)」
ライブ初心者から常連も、みんなでライブを盛り上げよう!
対談メンバー
湧川(@_wakkn):
日本の一番西でコードを書いてきた最西端エンジニア。アイドルとオタク文化が好き。

松原(@dowanna6):PrAha Inc. CEO/エンジニア。小指を見てemacs使いを当てるのが好き。

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コールは現場で覚える

松原:では、まず...どうしてidolcallを作ろうと思ったのでしょうか?

湧川:昔からアイドルとか声優が好きで、去年の8月にずっと行きたかったAnimelo Summer Liveに初参加した時に「コール」の楽しさを改めて感じたのがキッカケですね。

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松原:コールというのは、アイドルが歌っている間に「愛してる〜!」みたいな合いの手を入れるアレでしょうか?

湧川:そうです。会場の一体感がすごくて「自分も参加したいな〜」と思ったのですが、肝心のコールがわからない。そこで、それ以降は色んな現場に足を運んでコールを覚えるようになりましたね。

松原:現場...?

湧川:あ、これは「ライブ」の業界用語ですね

松原:業界用語があるんですね!「今日はこの現場行ってくるわ〜」みたいな?

湧川:合ってます(笑)色んな現場を渡って徐々にコールにも慣れてきたんですが、そこに至るまで結構大変だったので…もっと簡単にコールを覚える方法があればより多くの人と一緒に楽しめるのにな〜、と考えて作ったのがidolcallです!


そもそも、コールとは?

松原:そもそもコールって、何種類ぐらいあるんでしょう?アイドルごとに固有なんですか?

湧川:そんなこともないですよ!名前を叫ぶ箇所とか、一部だけ変えて、あとはテンプレートを使うことが多いですね。

松原:じゃあ2,3パターン覚えておけば、僕も現場でコールに参加できるんですね!

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湧川:実はそこまで簡単ではなくて…

松原:なん...だと

湧川:コールってメンタルの強い一人のファンから自然発生的に生まれることが多いので、変化が激しいんですよ。コールは水物なので、常にキャッチアップしないといけません。

松原:えっ、事前にファンクラブとかで打ち合わせるんじゃなくて、一人でコールを始めるんですか?周りからしたら「こいつ急に何言い始めたんだ」ってなりません?

湧川:なりますよ(笑)もちろん中にはコミュニティで固められたコールもあると思いますが、最初はめちゃちゃ勇気のある人がコールを始めて、その熱が伝わって、周りが巻き込まれていくことが多いんです。

松原:勇気ある者が同時多発して、お互いの独自コールが被ることはないんですか?

湧川:ありますね。もうよく分からない状態になることもあります。

松原:ひえー...それだけ自然発生するコンテンツを常に更新していくのって凄く大変じゃないですか?

湧川:そうなんですよ。だから僕自身もよく地下アイドルのライブに足を運んでます・

松原:へー、どうして地下アイドルに?

湧川:コールってなぜか地下アイドルから変化して浸透する傾向が強いと思うんですよ。以前も地下アイドルの現場に行ったらオーイングが意味不アイアイに変わってて。

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松原:オーイング...?意味不アイアイ...?

湧川:オーイングは、Bメロからサビに盛り上げるときによく見かけるコールですね。「オ〜っ!オ〜っ!」と盛り上げるので、オーイングです。

松原:なるほど?

湧川:そこに最近代わったのが「アイアイアイアイ」と連呼するコールで、いまいち意味がわからないので「意味不アイアイ」と呼びます

松原:あ、どうしてアイアイ叫ぶのか当事者も分からないんですね

湧川:こういう変化を見逃さないために、地下アイドルの現場にもよく足を運んでいますね

松原:なるほど・・・コンテンツ更新のために、たゆまぬ努力を積んでいるんですね

湧川:地下アイドルも好きなので、趣味の延長で調査しているようなものなんですけどね!

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idolcallのこだわり

松原:idolcallを開発する上で、どんな所にこだわっているのでしょうか?

湧川:技術的には自分が一番慣れた技術を使いましたね。ReactとRuby on Railsを使い慣れていたので、このフレームワークで開発しました

松原:慣れた技術で最短で作られたんですね。機能的にはどんな点に工夫しているんでしょうか?

湧川:動画と一緒に歌詞を観れるように、画面右下に動画をロックしつつ、歌詞をスクロール出来るようにしています。歌詞をまとめているサイトは他にもあるんですが、複数タブを行き来しながら歌詞を追う事になるので、一画面で完結させようと思い。

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松原:確かにこれは追いやすいですね!テキストの色が青と赤に分かれているのはどうしてですか?

湧川:実はコールとMIXで色を分けているんですよ

松原:MIX…?

湧川:コールは参加しやすい掛け声で、初心者向けですね。例えばAメロでさりあさんが歌っていたら「さーりあ!さーりあ!」とさりあさん推しの人がコールして、別の方が歌い始めたら、その人を推しているファンがコールして、それぞれが推しに対する愛をアピールします。

松原:なるほど…自分が歌ってるときに歓声がひときわ大きくなったら、嬉しいですもんね!

湧川:コールは割と参加しやすいんですが、MIXはもう少し玄人向けです。イントロで使われる事が多くて、こんな事を叫びます

チャペ!アペ!カラ!キナ!ララ!トゥスケ!
ウィスゥぺ!(ケスィ!スィスゥパ!)


松原:ごめんなさい、全然意味がわかりません

湧川:そうですよね(笑)標準語Verだとこちらです。


虎(とら)!火(ひ)!人造(じんぞう)!繊維(せんい)!
海女(あま)!振動(しんどう)!化繊(かせん)!
((飛(とび)!除去(じょきょ)!)


松原:ごめんなさい、まだ分かりません

湧川:MIXは玄人向けですからね…

松原:最初のMIXは何語だったんですか?

湧川:アイヌ語です!

松原:誰が理解できるんですか(笑)

湧川:ちょっと最初は難しいですよね。なのでMIXとコールは区別した方が良いだろう、と判断して色分けしています。

松原:これはドルオタでないと分からない違いですね…そういえばサイトを拝見した所、JASRACの認可を取っていますよね?あれ高くないですか?

湧川:めっちゃ高いです(笑)もちろん色々と抜け道はあると思うのですが、歌詞サイトを運営する以上、ここはキチンと納めようかなと…

松原:えらい…!


リリース1ヶ月で1万PV

松原:リリースから1ヶ月で1万PVを達成されたとのこと...凄いですね!何を工夫されたんですか?

湧川:idolcallは8割近くが検索流入なので、SEOには力を入れていますね。

松原:へー!例えばどんな事を工夫しているんですか?

湧川:検索されやすいワードの組み合わせは常に確認していますね。idolcallを作る際も、事前に「ライブ コール」とか「アイドル コール まとめ」みたいな検索需要がある事を確認してから作り始めて、流入が見込めそうなコンテンツを増やしてきましたね。

でもそれ以外は本当にGoogle様が推奨する対策を一つ一つ取り入れている感じでしょうか。個人開発者の会に参加して詳しい方に聞く事もありますが、それでも際立って特別な事はしていませんね。

松原:曲名+コールで検索すると、idolcallが1位に出る事が多いですよね。凄い

湧川:ありがとうございます。最近だと日向坂46の新曲「ソンナコトナイヨ + コール」でもidolcallが検索1位を取りましたね。

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松原:凄いですね!どうやって1位を取ったんですか?

湧川:実はこれ、YouTubeで楽曲が公開されると同時に僕がコールを予測して、初ライブの前に掲載したんですよ

松原:え!?ライブが行われる前からコールが分かるものなんですか?

湧川:これはアイドルファンあるあるかもしれませんが、場数を踏んでいる人なら、曲を聞いたら大体コールが読めますね。

松原:熟練のマエストロみたいな事を言いますね…でも予測したコールが合っているか、どうやって判断しているんですか?

湧川:今週のライブで初演奏されたので、火曜・水曜と続けて参加して、コールが正しいか確認して来ました。バッチリでした!

松原:(爆笑)予測が正しいか確認するために、ちゃんとライブに足を運んでいるんですね!確認方法が男前だなぁ。

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本物のアイドルにツイートされた!

松原:仕事が終わってから更にプラスで個人開発するのってすごく大変だと思うんですが、疲れませんか?

湧川:元々アイドルが好きだから、それに関わる作業は一切苦になりませんね。むしろいちファンとしてライブを楽しむ事にサービス作りの楽しみが加わって、アイドルファンを更に楽しめるようになりましたね。

松原:ひたすらに自分が楽しいから作る、っていう理想的な個人開発の形ですね…!

湧川:あと先日、FES☆TIVEのひなりさん(アイドル)がidolcallを見つけて、twitterで紹介してくれました

松原:え!凄い!

湧川:大好きなアイドルにも認知されて、本当に嬉しいですねー。いつか直接会ってお礼を言いたいです。


idolcallのこれから

松原:2年ぐらい前に「コールで歌が聞こえねぇ!」って訴訟があったり、最近はコールを取り締まる主催者もいると聞きました。今後コールってどんな風にアイドルと共存していくんでしょう?

湧川:なくなって欲しくないですね。あの一体感は本当に最高だし、スタンダードな形に落ち着いて欲しいなぁと考えています。でもコールってTPOが非常に大事で、やって欲しいアイドルもいれば、やって欲しくないアイドルも居るんですよ。

松原:曲にも影響されそうですよね。

湧川:しんみりしたバラードを聞いてる時に隣で「イエッタイガー!」とか叫ばれたくないじゃないですか(笑)一定の「空気を読む力」が求められるので、そこはコールを楽しむ側としても忘れちゃいけないな、と。

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松原:idolcallは今後ユーザ投稿型にシフトしていくんでしょうか?さすがにずーっと自分たちで更新を続けていくのは大変ですよね

湧川:シフトしたいですね。でもTwitterを眺めていると「そのコールは間違ってる」みたいな喧嘩も見かけるので、殺伐としたやりとりを防止する仕組みも同時に考えていきたいな〜と思っています。

松原:なるほど。

湧川:あと僕はDDなんですが…

松原:すみません、DDってなんですか?

湧川:D(誰でも)D(大好き)です。いろんなアイドルが好きな人のことですね

松原:そんな業界用語が(笑)

湧川:逆に特定のアイドルが好きな人は「担当」とか呼びますね。DDよりも、担当の方が推しに対する理解や気持ちは深いと思うので、そういう想いを汲み取っていくためにも、投稿機能は必要だと思います。

松原:アイドル業界に対する愛が深いですね。

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湧川:アイドルはすごく面白い業界なんですよ。最近だと26時のマスカレイドが文化服装学院と衣装提供で提携したり、イラストレーターがアイドルの絵を描いたり、異業界とのコラボが増えていて。そんな面白い業界を少しでもidolcallが盛り上げていけたら嬉しいです。

松原:本日はどうもありがとうございました!オーッ!オーッ!

湧川:ミョーホントゥスケ!化繊飛除去!ジャージャー!ファイボー!ワイパー!

松原:(…?)


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湧川さんのPRANETプロフィール


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