30代ともなると一気に人生経験に差がつき始めるのを感じた話。

先日、学生時代からの友人と飲みに行った。
名前は、Sという。

Sは高校の同級生だ。
大学は別だが、お互い就職してからも連絡を取り合っており
ちょくちょく会っている仲だ。

自分を含めた世代は、リーマンショック直後の就職難を経験し
Sについても、一流大学卒にも関わらず
就職留年を余儀なくされた苦労人である。
その後も数回転職したが、幸いこのコロナ禍では影響なく、元気に働いている。

Sはなかなかキャラが濃い。
怒りのポイントが独特過ぎていまいち理解しきれない部分もあるが
頭の回転が早く、世間を見る視点が非常にシニカルで面白いヤツだ。

さて、お互いの近況報告に花を咲かせ
2軒目でハイボールをぐいぐいやっていた頃
突然、Sは割と重めな話を切り出した。

聞くと、2年ほど前
別の友人(自分はそいつとは面識はない)の
相談に乗る形で話を聞いていたら
最終的に金銭トラブルに発展し
裁判沙汰になってしまった、という話だった。
普段はバカ話しかしない我々にとっては
非常にヘヴィな内容である。

問題自体は、弁護士に相談し
現在は解決に向かっているとのことで
ようやくネタにもできるようになったらしいが
解決までにかなり時間がかかったため
その時のストレスたるや、物凄かったと言う。
確かに、仕方のないこととは言え
仕事中に裁判のことが頭に浮かんでくるなど
想像するだけで憂鬱なことこの上ない。

そもそも裁判自体、少なくない費用が発生するし
何より長い時間と根気がいる。
できることなら関わらずに過ごしていきたい。

それを、自分だったら絶対途中で面倒になって
諦めてしまいそうなものだが
最後まで戦う姿勢を見せたSに
素直に賛辞と労いの言葉を送った。

さて、帰り道。
自分の頭に浮かんだのは

30代ともなると
人生経験に一気に差が出てくるなぁ
あれ、自分なんかヤバくないか？

という、漠然とした不安である。

もちろん、人生経験に年齢は関係ない。
若くても、非常に濃い経験をしている人はたくさんいるだろう。
もちろんその逆も然りで
歳を重ねていても、ペラッペラの人生経験しか持たない人もいるだろう。

そして自分に限って言えば、相対的に見て
年齢の割に、人生経験が圧倒的に足らない気がしてならない。
何なら、ペラッペラ側に片足突っ込んでる気すらするのである。

身近な所から考えてみても
学生時代にいじめる、いじめられるという状況に陥ったことがない。
両親は健在。
(ボケてもおらず、健康体である
独身で末っ子。
(後継ぎは兄に任せたし、何なら既に甥っ子がいる
中肉中背の健康体。
(健康診断も大体異常なし
浪人、留年、就職留年も経験なし。
転職経験もなし。
(現職で10年選手

仕事でも
管理職として部下を率いたことがなく
(部署的に30代はまだ下っ端なのが痛い
セクハラやパワハラに巻き込まれたこともなく
ヤバい上司や部下に当たったこともない。

交遊関係でも
金銭トラブルに巻き込まれたこともなく
裁判を起こしたことも起こされたこともない。

ざっと振り返ってみても
人を強く、たくましくするような
いわゆる「糧となるような人生経験」が
パッと思いつかないのである。
車をぶつけたこととか、フラれたことはあるが。

もちろん、ネガティブなことが起こって欲しいわけでは決してない。
現状でも幸せは充分に感じているし
仕事や結婚についての理想もある。

とは言え、人生経験が少ないことが
自分が30代になっても
どうもいまいち人間として「深み」がない気がして不安になったり
人からも「精神年齢が低い」とまで言われてしまったりする
根本的な原因なんだろうなぁ、と
改めて実感してしまった次第である。