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メディアが読みたくなるプレスリリースとは?ー誰でもできるネタの取り出し方ー


すだといいます。10年ライターを続けながら、現在はPRライターとして企業の広報支援もしています。

企業の一員として、外に向けた広報活動をサポートする中で、プレスリリースの原稿を書くことがあるのですが、ネタを見つける段階から意識していることがあります。

意識する前と、意識した後のリリースを配信サイトなどを利用した際の閲覧数で比較すると、意識したリリースのPV数が10倍以上になったこともあるので「目に留まるリリース」に少しはなっているのだと実感しています。

そこで今日は「メディアが読みたくなるプレスリリースの作り方」についてご紹介しようと思います。

ネタは「まとめ方次第」で、何でもアリ

このnoteを読んでくれている方の中には、プレスリリースを書いて送ったことのある方もいれば、書きたいけれどどうやったらいいか分からないという方もいるかもしれません。

プレスリリースは最初に「つくる」必要がありますが、そのとき悩むのが「何を書けがいいか」ですよね。

プレスリリースの内容としてよくある切り口が

・新商品(季節限定商品)発売
・サービスのローンチ
・イベントの告知
・キャンペーンのお知らせ
・アンケート調査やセミナーレポート
・売り上げ(業績)目標達成報告

などなど。「お知らせ」に近いものですね。

でもこの内容だとネタが尽きてしまうことがあるのではないでしょうか。そうなると、プレスリリースが出せなくなってしまいます。


実は私、リリースの内容ってどんなことでもいいんじゃないかと勝手に思っているんです。

・会社でちょっと変わった福利厚生を始めたよ(社員発案)
・会社の中でこんなイベントをやってみた(不評だったよ)
・お客さんの声をまとめてみたよ(改善点多かったよ)
・この事業立ち上げるときにめちゃくちゃ苦労したんですって(聞いてよ)
・創業者のキャラクターがめちゃくちゃ濃くて困ってます(社員談)

こんなふうに。ビジネスライクにまとめる必要のある業種もあるかもしれませんが、それはまとめ方次第でなんとかなります。

メディアの方も人間なので、小難しい内容よりは分かりやすく、見やすく、おもしろい話のほうが興味が持てるものです。

ひとつの企業の中には積もる話や自分たちは普通と思っているけど、外から見ると「めずらしっ」ということが、なんだかんだあります。

決まった型があるわけじゃないので、ネタ枯れしたと思ったときは枠をとりはらってみると良いかもしれません。

最強カードはこれ。「ストーリー」のあるリリース

リリース作成の依頼があったとき私は、1時間ほどヒアリングの時間をいただいて「何を軸にリリースを書くか」を考えます。

ヒアリングの時間に聞いているのは、こんなことです。

・なぜこのサービスを始めようと思ったの?
・このサービスにどんな思いを込めている?
・立ち上げや運用で苦労したところは?
・ユーザーにどんな気持ちになってほしい?
(どんなメリットを感じてほしい?)
・このサービスに対し、周囲でどんな反応があった?
・今の事業に関わるまで、どんな人生を歩んできた?
・今のお気持ちは?

私が意識しているのは「ストーリー性のある話が引き出せるか」ということです。

100%といっていいくらい、その事業を始めるまで、始めてから、今も継続中… のストーリーがあります。

それは開発者さん、担当者さんの人柄や生き方や考え方、嗜好が出やすい部分ともいえ、私はこの話を聞くと100%といっていいくらい相手の方に親近感を覚えます。「あ、いいなあ、この人」と思ってしまうんですね。

人にまつわる話には必ずストーリーがある。ストーリーはプレスリリースの軸に据えるテーマとして強い武器になると思っています。

実行しているあなたは「普通じゃない」

「いや、こんなときがあって。そのときにこういうことを思って、それならこういうサービスをつくろうと思ったんだ」

という話の中にも、深堀りしたいところはたくさんあります。

悩みや不満があったから、自分で解消できる何かをつくろうと思った。

悩みは不満は誰にでもあるけれど、じゃあ自分で何かつくろうと思うこと、計画すること、実行すること。そこまで行き着くのって、普通じゃないですよね。

その「普通じゃない部分」がおもしろいと思います。

誰もが聞きたいところじゃないかなと思うので、ヒアリングではこのあたりを重点的に聞いていくようにしています。

ネタ決めと同時に「誰に伝えたいか」を決める

ここからはヒアリングで取り出した情報を整理していく工程です。

魅力的な素材はたくさんあるけれど、すべてを使ってしまうと雑多なリリースになってしまう。では、どの情報を軸にすればいいのか。

こんなときは「カレーライス理論」の出番です(今、つくりました)

あなたの目の前に、2人の男女がいます。
どちらも、カレーライスが大好きです。

2人に「どんなカレーライスが好き?」と聞くと男性は「高級洋食屋さんのカレーみたいな黒い色をしたカレー」と答え、女性は「母親が実家で作ってくれた野菜大きめな超シンプルカレー」と答えました。

ヒアリングで得られた情報から、どの情報をリリースに盛り込むか。それは情報を届けたい人の好きな素材・作り方を選ぶこと。

サービスを使ってくれるユーザーさんに届けたいのか、メディアに届けて取材してほしいのか、自社が検索されたときにたくさんページが出てくるように定期的な発信をして露出したいのか。

情報を届けたい相手は誰なのか、目的は何なのかを決めて、その相手に届く素材を選びます。


ただネタを選んでいるときに悩むのが、その相手に響く要素が分からないことなんですよね…。

そんなとき私が頼りにしているのが、ネタの「第一印象」です。

忘れるなかれ。ネタの「第一印象」

私はときどき、自分を客観的にとらえる時間を持つようにしています。

自分の考え、立ち振る舞い、印象。それらは他人の目からどう映っているのかを相手との会話や態度から推測したりします(実際に「私ってどう?」を聞けるといちばんいいです)

そうすると「私の考えは、ほとんどの人が考えることと同じだ」と思えることもあれば「この自分の考えはちょっと変わっているんだな」ということもあります。

「この表現はキツすぎるんだな」や「この言葉は肯定的に捉えられるのか」みたいなことも分かってきます。

偏りをなくすには自分と違う属性にいる多くの人と会話する必要がありますが、けっこうな年を重ねてきたので、生きているうちに「自分はいたって普通の感覚を持っている」ということが分かってきました。

特別に強い信念があるわけでもなく、何か変わった視点を持っているわけでもない。ほどほどに人に貢献したいけれど、なんなら楽に生きていきたい。この自分の感覚は突飛ではなく、いたって普通である。

ということは、私が感じることは、ほかの多くの人も同じように感じるのではないか。

だとしたら、自分が感じた第一印象をどう扱うかで引きのあるプレスリリースをつくれるのではないかと思ったんです。

普通に感じた「興味」や「違和感」を取り上げる

普通の人間である私がいちばん最初に感じた興味や違和感は、その情報に最初にふれたほかの人も同じように感じるはず、という仮説に基づいて進めてみます。

例えば
「自宅にハンモック!おうちリノベーション」
というネタをプレスリリースで伝えたいなら

・体重何キロまでOK?
・柱や天井が落ちてこないか、心配だよなぁ…
・アパートとかマンションでもいける?無理?
・え、待って。家のどのあたりに、どうやって吊るすの
・ベッド代わりにして朝まで寝れたりするのかなぁ。首痛くならない?
・リビングにあるとちょっと邪魔かも

私なら第一印象で、こんなことが気になります。
だから、気になることを解消できるような文章をリリースに盛り込みます。

「ペットの殺処分問題を提起した、猫が主役の電子絵本を出版」
というネタをプレスリリースで伝えたいなら

・捨てられたペットは、どんな運命をたどるの?
・ペットを飼って捨てるって…。どんな理由があるの?
・テーマは重いけど絵本なんだよね。子どもでも読める内容なのかな

といったことが気になったり。

中身を聞いて最初に疑問に感じたこと、魅力的に感じた特徴。最初の最初に頭の中に浮かんだことの中に、広げるべき情報や要素が含まれているのではないか。

そう思った私は、第一印象もリリースの方向性を決める重要な要素として捉えるようになりました。

結論「ストーリー」と「第一印象で気になったこと」

メディアが読みたくなるプレスリリースの作り方とは?
に対する本日の結論は

「ストーリー」と「第一印象で気になったこと」を掘り下げて、届けたい相手に響きそうな素材を選び、組み立てる

でした!
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