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元顧客の社長が逮捕されました。僕も裁判中の案件から撤退します。

先ほど、衝撃のニュースがありました。自分が去年仕事で関わらせていただいた会社の社長が逮捕されたそうです。と言っても僕も社長と民事で争い中だったので驚くというよりも「あっ、遂に逮捕されたのか」って感じでした。請け負った仕事の未払い金があり、払わないので戦っていたんですが逮捕を機に色々な事実が判明し、会社の資産は0だという事。なのでこれ以上うやっても無意味となり、自分は裁判から撤退する事にしました。

ただ、経営者となり、今までとても良いお客様ばかりの自分にとって初めての大きなトラブル。ここの困難にどう乗り越えるのかが今後の自分の経営者人生に関わるのでは?と思って泣き寝入りせずに戦う事にし、結果未払い金回収できなかったものの自分の中で大きな財産になった事は良かったなと思っております。

このnoteは今後未払いや、詐欺にあった方がどうゆう風に対処していけばいいのか?その助けに少しでもなればと思って、また自分自身も裁判から撤退することの区切りとして書かせていただきます。


そもそも何で争っていたの?

社長との出会いはX(旧Twitter)でした。広報の仕事と資金調達用の資料作成を募集しておりました。ちょうど自分も法人化しようとしていたタイミングでお客様を増やそうかと思って関わらせていただきました。デザイナーさんも使ってそれなりに一生懸命想いを込めて作って納品したのですが、1ヶ月経っても支払いがなかったのです。

銀行のエラーが出ていると言ってごまかしていましたね。まあそういう事もあるのかなとその後3ヶ月経ったのですが支払いは一切なく「支払った」「エラーが出た」の繰り返しでした。そこで契約は事実上解約する事にしたのですが、支払われていないお金はどうしたものか(デザイナーさんは僕からの外注だったのでもちろんお金は支払いました。)

色々な起業家の先輩にも相談したところ、こういう事は立件も難しく今回はこれであきらめた方が良いと言われましたが、会社の代表として起きてる困難に対して「いい勉強した」で終わるのでなく最後まで経営者人生を歩むうえで精一杯やったと言えるようにと裁判をして戦う事を決意しました。

友人であるPR会社の法務担当の対処法を検討


自分にとって初めてのケース。こういう場合どうすればいいのか?自分の人脈の中で相談できる人を探してるうちに大学時代、弁護士を目指していた友人の事を思い出しました。15年くらい会ってなかったんですけどこの事件を通じて再会できたのは嬉しかったですね。そういう意味では今回の事はいいきっかけになりました。久々に連絡をとったら現在東京の大手PR会社の法務課長をしてるとのことで、相談に行き、具体的な対処法をいくつか聞きました。

①第三者ファクタリングサービスを使う
→信販会社みたいなサービスですが支払日を過ぎてるので利用できず。

②督促を送ってみて請求書見たのかどうかの確認する
→これ既にやっており無視されてました。

③相手の監査に連絡して支払うように言う
→知らなかったんですが社内で社長も怒れる担当者。社長が会社のお金を変に使わない監視役。ただ今回の会社に監査はいなかったのボツ。

④裁判で訴えて払うように言う
→これほぼ勝訴になると思います。ただ、相手は負けても無視することもあり、そうなるとお金の回収は自分でやるようにとなるらしいです。特に今回の相手は契約書を交わし、発注書を発行しているのにそれすら無視するブラック企業だったので勝訴も意味ないとなりました。

債権仮差押命令申立書を裁判所に訴える
今回選んだのはこちらです。

これは相手の銀行口座を裁判所に訴えて差し押さえます。銀行は裁判所から差し押さえが来た場合、「相手の口座がにいくら残っているのか?」「未払金の分を債権者である自分に支払う」という事になります。これ半沢直樹を思い出しました。

ドラマでは堺雅人が演じに半沢直樹が東京中央銀行で5億の回収の為に色々やってたのが今ならすごく理解できます(笑)というわけで、裁判所のホームページからひな形をダウンロードして、友人に今回の事件に合うように直してもらいました。と言ってもやはり僕が素人というのもあり、実際には裁判所の提出の際、結構裁判官に赤入れられて直しましたねー。

相手の銀行口座はどこにあるのか?

これが結構困難だったんですよ。今回はまだ裁判を起こす前でしたが冒頭でも書いたように仮に勝った後でも

「銀行は自分で探してくれ」

何それ?何のための裁判なのって正直思いますよね。裁判所に聞いたところ相手の資産を探るようなことなので裁判所も踏み込めない領域とかなんとか。これは法律を改正すべき問題ですね。調べたら日本には銀行が約534あります。理論的には全部差し押さえればいつかは相手の銀行に当たるんですが、差し押さえの為の申請費用が今回は1回につき5000円かかります。

つまり534全部抑えると約267万円かかるんです。
弁護士に依頼すればある程度は的を絞ってくれるみたいですが弁護士費用は30万円~+成功報酬

・相手の銀行口座を特定できなかった
・銀行口座を既に別の人が抑えていて残金0だった

こういう場合弁護士費用がまるまる無駄になるので今回は弁護士をつけずに考えました。

(逮捕された社長とのやりとりの一部)

この時に注目したのが「振込をATMから行った」という部分。
「なんで?」

仮にも向こうは株式会社なので、ネットから振り込めるはず。なんでわざわざATMから?こんなブラック企業がメガバンクと取引するのは絶対無理だし、ATMが存在するのであればネット銀行ではない。自宅を本社にしていたので歩いて行ける距離の銀行と取引してるのでは?という推理でした。(探偵かよw)


これ後に判明するんですが全部当たってました\(^o^)/

というわけで本社近くの銀行に目星をつけて債権仮差押命令申立書の書類を用意しました。

他に被害者がいるか探して一緒に行動する

裁判所の手続きと一緒にしていたことがあります。被害者が他にいるかもと探してました。これも後に活きてきます。そもそも未払いする人って他でもやってる可能性があります。よく大きな事件では被害者の会があります。被害者が団結して裁判所や警察に訴えることでより事件として立件しやすいようにできます。また自分が知らない情報を持っている可能性もあり、より戦いやすくなります。

今回の社長の逮捕も何人も被害者がいました。どうせ無理だと泣き寝入りするのでなく、こういった自分は被害にあったという事をちゃんと告げることで事件となり警察が動いたり、また次の被害者が出ないようにする行為として重要だと思います。

会社slackの中にいる人に「あなたも未払いとかないですか?」「一緒に裁判を起こしませんか?」と呼びかけたところ何人か手があがりました。こういう同じ痛みを持つものと共に行動できるのは嬉しいし、勇気もらえます。特に今回のような裁判って起業と違って全然情熱がわかない。正直執念だけでがんばりました。

いよいよ裁判所へ

相手の会社が関西だったので関西の裁判所に2度行きました。往復交通費約3万×2で6万(泣)こういうのも、裁判は東京で行えるように契約書に書いておけばよかった。まあ、祖母の家が関西にあったのでおば孝行もできたけどね。裁判所に提出したものは下記です。

・債権仮差押命令申立書
・仮差押債権目録
・証拠一式(発注書、契約書、請求書、納品物、メッセンジャー&slackのやり取りの全コピー)

同じ日に被害者の人と車で行って裁判所に提出しに行きました。その足で警察署にも同じものを証拠として提出。これでやれる事は全部やりました。後は、裁判所と警察がどう判断するかって感じで自分は東京へ帰りました。

社長の逮捕のニュースと再発防止策について

東京に帰って5日後、衝撃のニュースが。被害者の1人から「社長が逮捕された」と連絡がありました。僕が今回警察署に提出した書類が決め手ではなかったみたいですが、やはり他にも色々犯罪を行っていたようで、警察も動いたそうです。被害者の方からの連絡では刑事立ち合いの元、会社の銀行口座を確認したところ残高はほぼ0だったとか。元々払えるお金もなかったのに仕事を依頼したとは完全に詐欺ですね(怒)。まあなんにせよこれでこれ以上被害者が出ることはなく、この事件は刑事裁判となりおそらく収監されるでしょう。

ただ、自分的に残念だったのは回収できるお金がない以上、民事に関してはこれ以上できないし、逮捕されたのであればもう刑事の方でもやる事はほぼないなって感じになった事ですね。しかし、今回とても大きな経験は出来たと思っております。会社の経営者となった場合、これから多くの困難が起こるはずです。その中のホント些細な困難ではありましたがここまでやってきた事は自分の中で非常に大きな財産になったと思っております。

今回は契約書も無視するかなりレアなケースだったと思いますが再発防止策としては信販会社をつけるか、初回のお客様には手付金を頂くようにする事でしょうか?ただ、人は基本的に善であり、経営者同士、お客様同士は助け合うべき仲間であると思っております。今後もその考えは変わる事はありません。しかし、そんな沢山の善良な経営者の中に今回のような悪徳経営者もやはり一定数いるのも事実。このように被害者が出る事のない世の中である事を願っております


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