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読書感想文『いいかげんなイタリア生活』

開いてくれてありがとうございます。

いいかげんなイタリア生活 ワダシノブ

久しぶりに何か読みたいという欲が帰ってきたので大事にすることにした。
厳選して選ばれたのは、気持ちが楽になるかもしれないと思って手に取ったこの本である。

『好き嫌いをはっきり伝えてもいい』
『イタリアは一日に一つのことができたら上出来で、それ以上のことができたらかなり運がいい』

この辺りの言葉に惹かれて読み始めた。


まず本の紙質もわたし好みの少しザラついた紙を使用していて持つのが心地いい。
余白のあるレイアウトに小さなゴシックが読みやすかった。
一つのエピソードにつき簡単な漫画イラストもあって一時間もかからずサラッと読めた。

章は大きく分けて3つ。
1.イタリア生活
2.イタリアの食べもの
3.イタリアの人の生き方

この3章にはわたしの心を揺らす言葉がたくさんあったので抜粋して紹介しようと思う。


自分にとって愛があるものだけを丁寧に扱うと決めている人がイタリアには多いのだと思う。人生は愛がないものにまで時間をかけているほど、暇ではないのだ。


その通り。人生は思っているより短く、あっという間に過ぎてしまうことを最近はつくづく感じている。
そんな限られた時間の中で大事でないものにかける時間なんてないのだ。

もし休み明け(バカンス明け)に以前のような日常に戻れないなら、休み前の日常に何か問題があるはず。もしくは休みが全然足りていないから、もっと休むべきなのだ。

イタリア人もよく働くらしい。残業もたくさんしているらしい。
だから休む時はしっかり休んで英気を養う。バカンス中は日常から離れて生活をするそうだ。生活=生存して活動すること、生きながらえること。
つまり、イタリア人のバカンスはただただ生きていればいいらしい。

この文章の後にあるのが日本の夏休みについて。
「夏休みが休暇ではなく、休み明けのために規則正しく生活して、学びを得るための期間だから、そのせいできちんとしないと後から困ると言う考えが染み付いてしまった」
それぞれの国のやり方があると言ったらまぁそれはそれで終わりなのだが、どちらで生きていきたいかは選べるのでは思った。

「いつか」も「もっといいお金の使い方」も何も分からないうちに月日は流れ、いつの間にか子どもは大きくなって風船を欲しがらなくなり、ケチな自分だけが残されたことに気がついた。
「いつか」のために我慢するよりも、数百円の小さな幸せを子どもにも自分にも、たくさんあげていたらよかったのに。


大事なことのために無駄遣いせずとっておく。
果たしてその大事なことって何?いつやってくるの?そんないつくるか分からないことのために小さな幸せを我慢して生きていくよりも、今目の前にある数百円の幸せを楽しんだ方がいい。時間はあっという間に過ぎていくことを教えられた。

何者でもない自分のまま、誰かに接することが怖かった。

この考えは著者にとっては過去だが、だいぶ良くなったとは言えわたしにとっては今である。
そのため妙に攻撃を食らった。
正直な自分でない限り生きていくのは大変だし人付き合いを大変だとわかってはいるけど、等身大の自分を認める勇気があるかと言われたら否。
自分を良く見せないで済む世界で生きたい。

つくづく日本は生きづらい国だと思う。(もしかしたらSNSが発達した現在、他の国もそうかもしれないけど…)
けれどここをさあも飛び出す勇気もまだない。
そもそも日本は嫌いではないしできれば日本で快適に生きていけたらそれが一番だと思っている。
自ら自分に枷をつけていることを自覚して、少しずつもっと自由に楽にいい加減に生きていきたいなと思わせる一冊だった。

でも内容自体はとても軽やかで気分転換にちょうどいい。
本当に読みやすくて最後はちょっとだけ泣けた良い本だったので、気になったらぜひどうぞ。

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