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読書感想文『神さまたちの遊ぶ庭』

開いてくれてありがとうございます。

神さまたちの遊ぶ庭 宮下奈都

このエッセイ本は友人が絶対好きなタイプの本だから読んでみて!とすすめてくれた本だった。
すすめてもらった当時は本を読もうかな〜となんとなく考えているときだったから、機会があったら読んでみるよとメモに残しておいた。
それから約3ヶ月ほど経っただろうか。満を持しての読書だった。

ネタバレになってしまうので内容には大きく触れずに話したい。
この本は先入観なしで読んだ方が面白い。

まずやっぱり何より読みやすい。
一つのまとまりが下手をしたら1行で終わる。長くなっても見開き1ページくらいかもしれない。大半が半ページ以下のまとまりで、それがトントンとたくさんある。
短い日記を読んでいるようだった。

ご家族で北海道の山へ引っ越しをして過ごした日記なのだが、ひとまとまりの最後にちゃんとオチやらツッコミやら入っていて妙に面白い。
エッセイ本でこんなにクスクス笑ったり吹き出したりしたのは初めてだったかもしれない。

それで妙に親近感が湧いていたのか、わたしも一緒に引っ越して過ごさせてもらったかのように読んだ。
結論、めちゃくちゃ感情移入をしていた。

いい生活だなぁ、生きるってつまりこういうことだよなぁと大自然の中で良い人たちに囲まれ、一緒に生きて豊かに過ごしているのを羨ましいと思った。
反面、果たしてわたしはその環境下で生きていけるのか…とも考えた。
わたしだったらおそらく相当の覚悟を要するかもしれない。

クスクス笑いながら宮下家と一緒に過ごして、そうして本の残りページが少なくなってくると、ああもったいないなぁと読むのが惜しくなった。
終わってしまうのが嫌な本はそうそう無い。

実はわたしは、びっくりするほどすぐに泣く。めちゃくちゃに涙脆い。
そう、ラストの方では感情移入していたためにボロボロと泣いてしまった。
最初あんなに笑っていたのにね?
読み終えたのが2022年の12月31日、年の瀬大晦日にボロボロと泣いていた。


この本の何がいいか。
出てくる人たちが、みんな温かい。
みんな愛情と優しさに溢れている。
その断片を、宮下家を通して読者に触れさせてくれる本だった。
もちろん宮下家のみんなも優しくて温かくて、子供たちは可愛いなぁと思った。それと同じくらい面白い人たちだとも思った。

いいなぁ。わたしに子どもができたら、そんな風にのびのびと生活させてあげられるだろうか。
宮下さんの子育て、いいなぁ。

「どこで生きるか」も大事だけど、「誰と生きるか」も相当大事だなと感じた。
やっぱり、愛情のある場所で生きていきたい。


正直SNSを見ていたり対人関係でどうしても嫌な感情になってしまうときがある。
どうしてこんな酷い考え方をする人がいるんだろう、とか、ロクな人間いないな…とか。
誰しも少しは感じたことがあるのではないだろうか。

だったらこの本を読んで、そう思ってしまう心を溶かしてほしい。
読み終わったあとの第一感想は「人間捨てたもんじゃないな」だった。
わたしはこの本に、生きる美しさを見た気がした。

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