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【エンジニア座談会】グループ最大規模の基幹システム統合プロジェクト『GENESIS』を通じて、私たちが得た力


今回ご紹介するのは総勢600名以上が携わる大規模プロジェクト『GENESIS』。『GENESIS』とは、2015年から開始した、パーソルグループの大手人材派遣会社を中心とした基幹システムのリプレース及び統合プロジェクトです。

登録している派遣スタッフの給与・年末調整、顧客企業との契約・請求関連等を一括管理するため、システムを刷新し、また、より効率的に各システムを管理するために、グループ全体で基幹システムを統合することになりました。

この大型プロジェクトに参加したグループソリューション統括部の藤田さん、伊藤さん、所さんの3人に、各フェーズでの紆余曲折やプロジェクトを通じて学んだことについて話を聞きました。

「やらないこと」を決めて、スピードと質を両立

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ーーまず、今回の『GENESIS』プロジェクトの初期から参画していた藤田さん。どんな業務を手がけていたのですか?

藤田:このプロジェクトは、2015年にグループ会社である大手派遣会社の基幹システムのリプレースから始まったのですが、その新システムの要件定義から関わっていました。最初は「ベースとなるシステムがあるからそこまで難しくはないだろう」と思っていたのですが、実際に着手してみるとそんなに単純なものではなくて……大変でしたね(笑)

ーーどんなところで苦労しましたか?

藤田:私は請求周りの機能を担当するチームでサブリーダーをしていたのですが、様々な顧客に合わせた請求処理の機能が求められていて。仕様が予想以上に複雑だったんです。デリバリーを優先しつつも質は落とせないので、設計・開発フェーズでは「限られた時間でどこまでやるか」の判断に苦労しました。

ーーどう乗り越えていったのでしょうか?

藤田:お客様と対面で議論しながら「この機能はまとめられる」「この機能は削除できる」と優先順位を決めて、業務を効率化していきました。

あとは、業務ボリューム自体がかなり大きかったので、どうやってチームを最適化するかも課題でしたね。例えば、「このタスクはあの人の方が得意かもしれない」「このタスクで遅れやすい人には、こっちの仕事に回ってもらおう」など、状況を随時キャッチアップして、場合によっては役割を入れ替える等の調整を行いました。

テストフェーズに入ってからも様々な問題が出てきたのですが、そういう時こそお客様とのコミュニケーションが大切。細かく状況を報告しながら、速やかにバグ対応を進めていきました。

最終的には求められている機能を実現しながら納期に間に合わせることができ、お客様との信頼関係も築けたと思います。

実利に根ざしたビジネス感覚が養われた

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ーー続いて、伊藤さんに話を聞きたいと思います。どのフェーズからプロジェクトに参加したのでしょうか?

伊藤:私が参加したのは2017年11月、新基幹システムにグループ会社7社の基幹システムを移行するプロジェクトからです。その中で私が担当したのが、『スタッフ名寄せ』という機能の設計開発でした。

ーー「スタッフ名寄せ」とはどういう機能ですか?また、機能を開発する上で、大変だったことはありますか?

伊藤:名寄せとは、「意味するものが同じで、データとして別物となっているデータ」を同一の情報として集約する機能のことです。派遣スタッフさんの中にはパーソルグループのいろんなサイトに登録している方もいて、サイトによってはお名前の表記が異なる場合があるため、スタッフ情報を1つにまとめて移行します。

例えば、パーソルグループのA社とB社両方に登録していて、「A社ではほとんど仕事をしていなくて、B社では仕事をしている」スタッフさんがいた場合、「B社のデータをA社に上書きした方がいい」という重複・優先判定を『スタッフ名寄せ』機能で自動的に行うんです。

ただ、「何と何のデータを照合して、個人を特定するか」がすごく複雑で。住所・氏名・生年月日・携帯番号・メールアドレス・銀行口座……と個人情報にも色々あるので、そこの仕組みづくりに苦労しました。

幸い私の周りにはGENESISの全体像や移行元のシステムに詳しい方が多く、業務を進める上で必要な情報を十分にヒアリングできたのは助かりましたね。何度もテストを繰り返し、不安要素を1つずつ潰すことで、問題なくリリースすることができました。

ーー伊藤さんはパーソルプロセス&テクノロジー(以下:パーソルP&T)に転職して、これが最初のプロジェクトだったんですよね。新たな学びはありましたか?

伊藤:「何が最終的にユーザーに喜ばれるかを考えて仕事を進める」ことを学びました。費用対効果など視野に入れていくと『多機能・高精度』 = 『ユーザーが最も望む』とは限らないのです。今回のプロジェクトでは、会社統合に伴うシステム移行で最初からシステムを完璧につくり上げようとして、コストや時間のロスが発生することがないよう気を遣いましたね。あと、「まず使える状態にするにはどうしたらいいか」という観点も重視しました。「自動で完璧なデータを投入するには1ヶ月かかりますけど、こうすれば多少不正確で手作業も伴いますが3日で済みます」という提案が求められることもあります。システムとしての完璧さよりスピーディにことを進めることのほうがユーザーに喜ばれたり、自分もその分の空いた時間でよりクリティカルな仕事ができることもあるのです。こうした実利に根ざした合理的なエンジニアリング感覚が養われました。GENESISではユーザーサイドでもベンダーサイドでも、業務やシステムの負荷、そして費用対効果のバランス感覚を共有しているので、非常に合理的だと思います。

以前の仕事では、プロジェクトとクライアントの特性上正確さに大きな比重を置くことが多かったんですが、ときにはそのコストのかけどころについて疑問を持つこともありました。 そういった意味で、パーソルP&T、特にGENESISは優先順位の付け方が合理的で、無駄な作業に時間を奪われることもないですし、自分自身の意識も変わりましたね。

対話重視のマネジメントでピンチを回避

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ーー続いて、所さんが関わった業務について教えてください。

所:私は2018年7月から、藤田さん、伊藤さんとは別のグループ会社のプロジェクトにリーダーとして参画しました。私の場合は、全く異なるシステムから新システムに移行する必要があったのですが、1番の課題はチームビルドでしたね。私も含め約10名いたメンバーの多くが、GENESISや元のシステムについて詳しくない状態からのスタートだったんです。

ーーそんな状況をどう乗り越えてきたのでしょうか?

所:まず、チームみんなでシステム移行するために必要なサンプルデータや資料を集めて、GENESISや元のシステムについて徹底的に調べました。キャッチアップすべき情報が膨大だったので、移動時間もタブレットやスマホでひたすら情報収集していた記憶があります。

ーーリーダーとしてマネジメントで気を付けていたことはありますか?

所:「それぞれのメンバーが理想のキャリアパスを実現するために、何をすればいいか」を明確にすることです。目の前の業務に追われてばかりいると、仕事の意義や目的を見失ってしまうことがありますよね。そこでメンバーとの対話を通じて、「このプロジェクトでこのスキルを身につければ、こういったキャリアを実現できる」とキャリアパスを可視化し、スキル習得度を評価してきました。こうした対話を増やしたことでチームは軌道に乗り、目に見える形で成果が出てきたんです。

ーー所さん自身がプロジェクトを通して身につけられたスキルは何ですか?

所:やはり先ほど話したようなチームマネジメントのスキルですね。藤田さんも話していましたが、私も適材適所の配置に気をつかいました。プログラミングが不向きの人には運用をお願いしたり、経験に応じた形で担当領域を変えたり。こうした個々にとって最適な配置を考えるためには、メンバー1人ひとりのスキルや志向を把握することが重要で、そこには対話が欠かせないのを実感しました。「自分のことだけを考えていればいい」というわけではないので、視野も広くなりましたし、1人の人間として一皮むけたかなと思います。

高いハードルを越えたいま、次の挑戦に向けて

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ーー最後に、今回のプロジェクトの感想をお願いします。

藤田:当初は「こんな短い期間でできるだろうか」と正直不安な部分もありましたが、無事リリースすることができて本当によかったです。プロジェクトが終わってから1年後に、「GENESISの機能で決算期の標準化ができました。ありがとうございます」という声をいただけたのは嬉しかったですね。私も改めて一緒に乗り越えてきたお客様やプロジェクトメンバーに「ありがとうございます」と言いたいです。

伊藤:これまでもシステム統合は何度か経験してきましたが、今回に関しては自分でも納得感のある仕事ができました。経営陣からも「不思議なくらいトラブルが少なかったね」と評価いただけて。とはいえ、まだまだ今後に向けて改善点があることも事実。この経験を次回に活かしていきたいと思います。

所:今回、手探りで進めていくことも多かったのですが、まずは無事にリリースできてよかったと安堵しています。私たちもいま振り返りをしていて、「次回、よりスムーズに進めていくにはどうしたらいいか」についてチームだけでなく、組織全体でも話し合っています。アセット化だったり、情報の共有方法だったり、課題は色々ありますね。ただ、今回のプロジェクトで確かな手応えを感じたので、私たちなら次はさらに上手くやれる自信があります。


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