勉強会vol.7 『地元経済を創りなおす』|枝廣 淳子
第7回の勉強会は、枝廣 淳子氏の『地元経済を創りなおす』が課題図書でした。本書は「地元経済の現状を自分で可視化する.悪循環を断ち切り,外部に依存しすぎない地元経済の回し方を考える.そのためのガイドブック」と位置付けられています。
また、同著者による「好循環のまちづくり!」も副読本として設定されていました。
今回のプレゼンターは館山信用金庫の溝口耕一さんでした。地域に根差した金融機関の方らしい選定本です。
そして、初の試みで北条文庫さんの2階をお借りしての開催でした。
勉強会の課題図書を北条文庫さんを通して一括購入しており、そのご縁もあり営業時間外にも関わらず、ドリンクまで。おしゃれな雰囲気に当初は落ちつなかい参加者多数でしたが、今回も充実の時間となりました。
「地域の悪循環」(人口減少→消費力低下→地域経済の縮小→雇用減少→人口減少)を断ち切り、好循環にもっていくには、土台となる地域経済がキーとなる。本書の提案する、地域が持続可能な経済を築くための方法として、重要ポイントは以下。
ローカル経済の重要性
「漏れバケツ」モデル:効率化+物流発展→分業促進により地域から資本が流出している。
地域の資源やエネルギーを活用し、外部への依存を減らす地域経済循環をいかに高めるかが重要になる。
持続可能なエネルギー
再生可能エネルギーを地域主導で開発し、地域に利益を還元する。
ローカル・インベストメント
クラウドファンディングや地元の金融機関などを活用し、地元で資金を集め、地域のための投資を行う。
消費と生産の見直し
地域の消費ニーズに合わせて地域で生産する「地産地消」から「地消地産」への変換
▼参考ワード
地域内乗数効果
RESAS
銀行・信用金庫・信用組合
発表者と参加者から出された主なディスカッションポイントは
・館山市の状況はどうなのか?
・地域内経済循環を高めるために何ができるのか?
の2つでした。
RESASを見る限り、館山市の地域経済循環率は91.4%と低い値とは言えないが、、、これはよいことなのか?という問いが立ちました。様々な仮説がたてられましたが、結論としては「RESASを勉強しよう!」ということで、スピンオフ企画につながりそうです。
適切な測定に基づく問題分析と計画立案の重要性は、本書で繰り返し述べられていますが、
経済循環率を高めるポイントとして、エネルギーの観点は外せないという意見もでましたが、現状の石油依存/自動車依存の社会デザインを変えていくハードル、再生可能エネルギーで運用益を出すハードルを越える必要性が指摘されました。
また、この勉強会での課題図書購入をオンラインサイトではなく地元書店を通じて行うのも、地域経済循環を高める取り組みであるが、このような行動変容を住民や企業に促すことはできるのか?という議論も。
・学校給食における地元生産品の消費を促せないか
・車を使わなくてもよい街のデザインや楽しみ方を提案できないか
・お祭り文化は究極の地域内循環なので横展開できないか
などのアイデアが出されました。
こういう課題解決のアイデアを考えるのはみな楽しそう。
ということで、今回は枝廣 淳子氏の『地元経済を創りなおす』をもとに、地元経済の現状を可視化し、問題分析をする方法について学びました。学ぶほどに分析のためのデータ収集は大変さを感じましたが、これをやならいことには目指す方向が見えない!ということは皆で共有された回となりました。
▼参考資料(まず無料で知りたい方へおすすめ)
次回は8月「Public Life」(青木純)です。お楽しみに!
レポーター:河田