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勉強会vol.5 『未来の年表』|河合雅司著

第5回の勉強会は、河合雅司氏の著書『未来の年表』が課題図書でした。
河合雅司氏は、今後日本がどうなっていくかという題材の著書を多く出版されている方で、今回の課題図書の『未来の年表』も全5冊のシリーズ化がされています。

本書は、2部構成となっており、第1部では、2017年から2065年頃まで、いったい何が起こるのかを、時系列に沿ってデータをもとに説明されています。
本書が発売された2017年から7年も経過しているため、今現在と照らし合わせて読むことができて面白いな~と思いました。
第2部では、第1部でとりあげた問題・課題に対しての解決策を10施策、処方箋として紹介しています。

今回のプレゼンターは市職員の池田さんです。
館山市の現状も説明しながら、今回の勉強会を進めていただきました!


人口減少カレンダー

2019年 人口減少が老朽インフラのリニューアルを困難に(p.36)
2020年 子供を産む母親の減少(p.43)
2022年 ひとり暮らし高齢者の増加(p.55)
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ(p.68)
2023年 団塊ジュニア世代が50代になり企業の人件費がピークに(p.66)
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える(p.89)
2033年 供給過剰により全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる(p.93)
2035年 未婚大国(p.98)
2039年 火葬場不足・無縁遺骨の増大(p.104)
2042年 団塊ジュニア世代が高齢者になり高齢者人口が約4000万人とピークに(p.117)

解説① 『未来の年表』を読み近い将来何が起こるか確認

館山市や千葉県の状況人口減少カレンダーを照らしてみると」を観点に池田さんが事例を提示しました。

・老朽インフラのリニューアル困難
→館山市役所でも技術職の職員不足、改修する人材がいなくなるのでは…
→高度経済成長期に作られ、そろそろ寿命を迎える道路、橋の補修を抱えきれるか… 財政が潤っている自治体はいいが…(レポーター所感)

・百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
→千葉県内でも百貨店の閉店ニュースが多い
千葉市の三越、パルコ/津田沼のイトーヨーカドーなど
→地方銀行の撤退も始まるのでは?
千葉興銀 館山支店は法人融資部門が木更津に移管された

解説② 館山市に実際に今起こっていること

より踏み込んだ事例をデータをもとに池田さんが紹介。

・館山市が消滅可能性都市から外れた

・館山市は国勢調査の推計よりも人口減少が進んでいる

・館山市の人口流出先
男性:自衛隊の基地がある場所 女性:県内(千葉市、船橋市、木更津市)
→女性が近場の都市部に流出している

・男性のほうがUターン移住している
(女性は半分しか戻ってきていない)

人口減少を見据え戦略的に縮むための10の処方箋

①「高齢者」を削減 ⇒ 年齢区分を改め高齢者の定義を変更
②24時間社会からの脱却 ⇒ 過剰サービスを見直し働き手を減らす
③非居住エリアを明確化 ⇒ 地域内に多数の拠点をもうける多極ネットワーク型
④都道府県を飛び地合併 ⇒ 市区町村の枠組みに縛られない対応
⑤国際分業の徹底 ⇒ 得意分野だけに資源を集中
⑥「匠の技」を活用 ⇒ 少量生産・少量販売のビジネスモデルを選択
⑦国費学生制度で人材育成 ⇒ 国として必要な人材を育成
⑧中高年の地方移住推進 ⇒ 大学連携型CCRCの推進
⑨セカンド市民制度 ⇒ 交流人口にターゲットを絞り第2の故郷「知の巨人村」
⑩第3子以降に100万円給付 ⇒ 子育て支援ではなく少子化対策へ

議論 人口減少社会をどう捉え、生きていくか

「処方箋③非居住エリアを明確化」
→本書では、地域内に多数の拠点を設け、公共交通機関で結ぶ「多極ネットワーク型」を提示しています。
館山市で考えると、旧町村単位の小学校区や各地区公民館が地域の拠点となるが、市内ではそれよりもコンパクトにコミュニティが形成されている例があるという意見が!
(農村型:神余 都市型:長須賀 など)
以下、議論の内容。特に神余地区の話題が盛り上がりました!

・少子化対策は地方ではなく国が主導するべき
→地方を知らない国家がバラ撒き政策をしても解決できないのでは?

・地方は少子化対策のためにできることは?
→コンパクトシティ化、地区ごとの拠点作成によるコミュニティ形成
→館山市は小学校統廃合の方向性で進んでいる

神余地区は特有のコミュニティが形成されている
  ○旧町村ではないのに独立した地区になっている稀有な地域
  ○台風災害時、高齢者が体育館に毎日お喋りしに集まっていた
  ○移住者が多い
  ○小学校の児童数は少ないが数を維持している
  ○明治神宮でかっこ舞が奉納された時に、地域を挙げて参加していた
   明治神宮春の大祭で神余のかっこ舞(館山)奉納(Yahoo!ニュース )
→コミュニティの繋がりが強いのでは?
→繋がりの強いコミュニティを各所に作っていくのが理想?
→神余地区は理想に近いコミュニティなのでは?

池田さんまとめ

本書では、「思い込みを排除し、現在や近い将来、どのような未来が待っているのかを客観的に把握する必要がある」としている。
客観的な事実は重要だが、それだけでは足りない、データ化・数値化で見落としてしまうものはないか?
→経験を踏まえて考えたこと(ストーリー)は大事!
→明るい未来、暗い未来、超現実的な未来など、シナリオプランニングしてみたい!

今後の勉強会の方向性

・館山市の今後をシナリオプランニング!
・神余地区を視察してみたい!
・市外の先行事例都市(大東市、流山市等)も視察してみたい!

来月の課題図書は、エリック・クリネンバーグ氏の『集まる場所が必要だ』です!!

レポーター:黒川(館山市在住)

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