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そもそも「こども」の概念が違うフランス

フランスについて調べていると、結婚の前段階でもっとも違うと思ったのは、嫡出子も非嫡出子も同じだという点です。

戸籍の考え方が染み付いているせいか、「どこの馬の骨ともわからない」という表現があるように、 「誰が誰のこどもなのか、みんなに知らせてこそ日本人」と無意識に根底で思っている(私自身も含めて)のではないでしょうか。
 
この無意識は一体何なんでしょうか。日本の振り返りをちょっと置いといて、まずはフランスの考 え方を「知る」ことから始めましょう。比較すると見えてくることがたくさんあります。 



フランスでは1972年より嫡出子・非嫡出子の区別なく「いかなる生まれであっても子は同等の権利を有すること」が法制化されました。国の宝である「子」が生まれて育つことに、「親」は関係な い(!)とされたということです。超画期的です。これを日本で導入するにはちょっと時間がかかる かも…? 

その結果、婚外子は1980年代から急増し、1997年には約40%、2017年には約60%となってい ます。注意したいのは、前述のとおり、婚外子で生まれたからといってその子は一生婚外子なのかというと、決してそうではないということです。堅実派のフランス人は、ちゃんと籍を入れる方が大多数なのでご安心を。


日本でも「できちゃった婚」は聞きますが、割と妊娠がわかった時点で籍を入れる方が多い印象 があります。フランスのように婚外子に対し公的制度がないので、そうしないとこどもが守られないからです。 


「結婚」しなければ「親」としての役割が「強制」されない日本では、望まない人(特に男側に多い 傾向があります)は「親の責任」から逃れようとする人が出てきます。実際、そうして父親に去られた母子家庭がいくつあるのでしょう。 


私もその捨て「られ」たこどもの一人です。両親は籍は入れてましたが、私が幼児期~小学生の頃 に実父は浮浪者のように九州から大阪に行ってしまい離婚に至りました。おかげでだいぶ人とは違う人間になりました(笑) 

いわゆる毒親でした。
この何十年も復讐心やほかの家族への嫉妬が消えることはありませんでした。

40歳を過ぎてようやくこのどす黒く醜い心の正体がわかってきて、それを受け入れることが出来るようになって、ものすごく生きやすくなりました。

こうして「結婚」というものを調べているうちに、自分で自分を縄でじわじわ縛って息がギリギリできる状態でキープしていることに「はっ」と気が付きました。

知識が人を楽にすることがあるんだって、身を持って知りました。こんな記事を書いているのも、誰か一人にでも届けばいい、という思いからです。

機能不全家族だったからこそ、家族ってなに?と人よりは考える機会・時間を費やしていると思います^^


話を戻しますと、フランスではすべての親に「養育義務」があり、すべてのこどもには「親を知る権利」があります。片親だけでなくすべての親に義務があるとしたこと、親が誰だかわからないまま大きくならないことは、こどもも親も同じひとりの人間としての真の権利が認められている感じがあります。 

「養う」「養われる」の関係を公的に文書化しないってことだけで、大きな違いです。これが日本人 の「受け身」(~される)的な態度につながっている感じさえします。 

フランスでは、父親に「この子の父親である」という疑いがかけられた時、唯一そこから逃れる方 法は、遺伝子検査で身の潔白を証明するしかありません。そんでもってこの検査を拒否することは事実上不可能ときてます。男性の「逃げたい症候群」の症状をよくご存じな法律で す。心理学者が作ったとしか思えないくらい完璧ですね。男性の「逃げる」はある意味本能的なの で致し方ないか…とフォローしておきましょう。 

フランスにおいて、子の「親を知る権利」と「親に守り育てられる権利」は親の意思より尊重されます。子は親を選んで生まれてきてますけど、現実的に親の考え如何でいろいろと変わってしまうことがあります。親の選択肢がどんなものであれ、子の人生に悪影響が及ぼされることを最大限に防がないといけない、という考えが根本にあります。かっこいい。 


どんな親から生まれても、子に同等の権利がある。 



フランスの子育て支援策は、はじめから「子ども」を「軸」に制度設計されています。親が失業者でも移民でも、子が受けられる支援は変わらないというわけです。画期的な考えです。移民が多いフランスで発展した考え方だなと思います。日本の支援策はまったく真逆で、 制度の軸が「親」になっています。だから何がお得かとか、そういう考えになってしまいがちです。 なんか情けないですね。 

フランスではセクシュアリティに対して柔軟になってきたので、なんと世帯の種類は17種類もあり ます。世帯の種類?「父と母」だけじゃないの?と思った方は、頭がかたくなっていますよ(笑)。


「父親二人」
「母親二人」
「外見は父親だけど出生記録は女性」
「男性二人だけど届け出上は女性 二人」

など、フランスではそれらすべてを公式な世帯登録として受け入れています。この点については特にフランスに未来を感じます。私はこどもに対して敬語を使う時があります。もちろん宿題しない時とかはおしり叩きますけど、基本的にこどもを尊敬しています。これが尊厳てやつかな?自分で勝手に「フランス流の子育て」と思ったりして。


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