スーパーかあちゃんへの道06
なんか部屋が汚ない。私は思った。
クッタリした娘(スーパーかあちゃんへの道05参照)を抱えながら部屋全体を見渡すと、ままごとセットや絵合わせカードが散乱し、その上に昨日の新聞と広告が散乱している。絵本は雪崩になり、その上には俵オムツ(使用済みのタプタプのやつを丸めたもの)がちょこんと乗っている。取り込んだ洗濯物の山はだんだん広がって、もはや山ではなくレジャーシートのように部屋に敷き詰められている。
気づけばゴミとおもちゃの中にいるのだった。
それもそのはず、娘は体がしんどいらしく、片時も私から離れようとしない。
例えば、寝転びながら遊んでいるとする。いないいないー…ば? と見せかけてばー!なんて言いながら面白い顔をしてやれば、声をあげてきゃっきゃと笑っている。しかし私がトイレに立とうものなら急に大号泣。いや今、笑ってたじゃん、情緒がわからん、なんて文句を言いながらもベッドにリターンである。
あるいはテレビを見せていても、ガラピコちゃんだね〜グガガビバーなんつって物真似をしてやればきゃっきゃと笑っている。しかし私がちょっと料理をしに行こうものなら急に大号泣。海外赴任するわけじゃないから、3メートル先に小松菜茹でにいくだけだから、なんて言いながら、なんとか小松菜を袋から出して、洗って、カットするまでをこなしてリターン。ちなみにその間の娘は、両手を地面につき、くずおれるような姿勢で、渾身の泣き顔でこちらをみている。お願い出ていかないでー!と言わんばかりの大声で喚いている。
こんな調子でやっていれば部屋の片付けもおろそかになるわけである。なるほど、そういうことならま、しょうがないわ。ははは!って捨て置きたいけどそうもいかぬ。こんな時こそ衛生状態はよくしておいたほうがいいし。つまりは、どうやって片付けを出来る状況を作るか。
これはもうシンプルに、寝ている隙にやることである。といっても、熱のために深く眠れないらしく、お昼寝をしてもちょっとの物音ですぐ起きてしまう。全ては無音のうちに行われなければならない。
ままごとセットは、プラスチックで出来ていて、パーツ同士がぶつかるとかちゃかちゃうるさいので、後回し。とりあえずそうっと部屋の隅に並べる。ソーシャルディスタンスばりに、触れ合わぬよう距離を開けて。
絵合わせカードは静かに箱にしまう。ただし新聞は動かすとうるさいので、新聞の下に散乱している絵合わせカードは後回しとなる。
俵オムツはゴミ箱に入れたいが、ゴミ箱に設置しているビニール袋がうるさいのでとりあえずゴミ箱の横に置く。
絵本は一冊ずつそうっと雪崩を直し、本棚にしまいたいところだがごとごとうるさいので、整頓して床に置いておく。
取り込んだ洗濯物は全てたたみ、タンスにしまいたいのだがこれもやはり引き出しを開ける際の木と木が擦れ合う音が気になるので後回しにする。
よし。寝ている間にできることは全てやった。あとは起きてからやればいい。
ほっとひと息ついて、麦茶のグラスを傾けながら部屋を眺め、合点した。
なんも片付いていない。
ただ移動しただけでなんも片付いてない。これでいざ娘が起きたらてんやわやで、起きたらやろうと思っていたことなど全部吹き飛び、あれ、絵合わせカードの数が合わない、どこだっけなどと言い出すのであろう。
結局その後、実家の母がきてくれたので、娘をみてもらい、部屋は片付き、我々の衛生状態はどうにか保たれることとなった。
しかし、これは何か対策を講じねばならない。どうするか。忘れそうなことは、メモに限る。子供が寝ている間に、「子供が起きたらやることリスト」を作っておいて、とにかくまずは、何をおいてもそのリストから取り組むようにする。そうすれば、漏れ無く片付けに取り組めるはずだ。想像上では…。そんなにうまく行くのか自分でも半信半疑だが、ひとまず明日、それをやってみようと思う。
それにしてもスーパーかあちゃんへの道は、どこまでも遠い。
応援いただいたら、テンション上がります。嬉しくて、ひとしきり小躍りした後に気合い入れて書きます!