冬の音が楽しくて
家を出ると、玄関の階段に数センチの雪が積もっていた。
一歩一歩足を進めると、 ぼふぼふ と雪の音が鳴る。
少し進むと、前には街灯の灯りで てらてら と光る地面。
勇気を持って踏み出すと つるつる と足裏がすべる。
そんなわたしの頭に ふわふわ と雪が降ってくる。
今晩も積もるのかなぁと、白いため息が出る。
すると足裏の感触が変わって、ざくざく と
わたししかいないこの夜に鳴り響く。
ぼふぼふ、てらてら、つるつる、ふわふわ、ざくざく
頭の中で音を反芻しながら、
うーん、冬はなんと音の楽しい季節なのだろうか。
と、今まで気づかなかったことに驚く。
明日は何して遊ぼうかなぁとか
今晩のご飯は何にしようかなぁとか
他のことで頭がいっぱいだと
あの音が鳴る隙もないのだろう。
そっかそっか、そんなに無心で四季を楽しんでいたのか。
なんだか嬉しくなってくる。
...無心で楽しむ、という謎ワードは置いておこう。
◇
ところで、わたしの好きな冬の表現がある。
しんしんと雪が降り積もる───
この擬態語を作った人のセンスは天才的だと思う。
誰もいない、ひっそりと静まり返った場所で、
音を吸いながら雪が降り、真っ白に色づく地面。
そんな景色が思い浮かぶようで、とても好きだ。
もっとも、日常生活で使うことはほとんど無いのだけれど。
日本語の美しくもあり、切なくもある姿。
◇
あぁ、お願いだからあんまり降らないで。
車が出しにくくなってしまうから。
お米がもうすぐ切れちゃうのよ〜。
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