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満席でこそ、レストランは呼吸し始める


満席を作るのは簡単です。
一席のレストランを作ればいいのですから。


と、sioオーナーシェフである鳥羽はよく言う。


一席のレストランを作るというのはあくまで例えだが、飲食店にとって満席であると言うことは、ビタミンのようなもので、欠かせない。



レストランとは、精神補給

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そもそもレストランとは何なのかを考えてみる。

フランス語restaurerが語源であり、restaurant には回復させると言う意味がある。


身体的な回復を促す栄養の吸収はもちろん、空間やサービスさまざまなこだわりによって、感動体験を生み、心地良い時間を過ごしてもらうことで、精神的なエネルギーも補給できる場所である。


栄養補給のための食事であるならわざわざレストランに行く必要がない。

そして、栄養補給だけの飲食店はレストランとは言えないのだと思う。



満席にすることは様々な意味がある。

まず、場にエネルギーが迸る。
レストラン空間とは人が入ってこそ完成形なのだ。
美味しい料理に素晴らしいスタッフ、素敵なインテリア。
充実した空間であっても、あくまで僕らの存在意義はお客様に愛されてこそ。


エネルギーの塊同士が空間に集合しぶつかり合うことで熱が生じる。

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カラダはあっても、鼓動しない。


お客様がトリガーとなり、エネルギーの供給が始まり、カラダ全体に血が巡る。


レストランはどれだけ側を用意しても動かない。お客様が入ってこそ動き出すのだ。


鳥羽もよく言っているが、直感で動き出した結果、上手くいき、後から説明がついてくるようなことが多い。無我夢中で乱戦を進む中で、少し経ち冷静に状況を見ると、好転しているのだ。

そこで、お客様とつながるために何を行ってきたのか、判断基準は何なのかを改めて考えてみた。


味の答え合わせという新しい集客施策

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先日、僕たちはリテールプロモーションアワードという、実店舗における優れた集客・販促支援プロモーションとして、表彰をされた。

★『「どこでもレジ レジゴー」本格スタート』
■実施企業:イオンリテール株式会社
■製作・サポート会社:株式会社いらっしゃいませ
★『となりのカインズさん ホームセンターを遊び倒すメディア』
■実施企業:株式会社カインズ
★『#おうちでsio~味の答え合わせ~』
■実施企業:sio株式会社
★『新しい生活様式に合ったお買い物提案 インスタグラムムービーコマース』
■実施店舗:西武・そごう 西武池袋本店
★『「新しい生活様式」を踏まえた商品提案』
■実施企業:株式会社ジェイアール東海髙島屋

大きな企業様ばかりとともに評価されたことが驚きであった。

我々が評価された理由は、味の答え合わせという文脈である。


少し前に、全文公開というプロモーションが流行り、今や当たり前になったが、僕らがコロナ禍に行ったレシピ公開も、お客様との接点づくりという点では大きな意味を持った。


集客施策と書いたが、僕らは集客を狙ったわけではない。

SNS上の情報がきっかけで、お客様と最初の接客活動ができたのである。

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自宅でおいしいを体感したお客様が、それぞれの店舗に味の答え合わせにいらっしゃった。


ここで、肝となったのが、鳥羽がTwitter上で展開した丁寧なコミュニケーション。

#おうちでsio を付けて投稿してくださったアカウントすべてにコメントを行った。なぜそこまで行えるのかと、中の人間ですら思うのだが、それも全て愛がゆえなんだと思う。


SNSは集客ツールではなく、接客活動の一貫である。


そして、大前提として大事にしていることがある。
当たり前のことではあるが、それが一番難しい。

美味しいへの圧倒的なこだわり。
そのために、僕らはsioのイズムという思考法がある。


イズムを体現するプラットフォームとしての店

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sioのイズムは、美味しいを実現させるために考えられた思考法である。

今まとめているsioのイズムは

・五味モデル
・5味+1
・ネオおふくろの味
・キレ
・リズム
・敷学

などがあり、僕はその言語化をしていて、マガジンとして下記にまとめている。

具材や人、機材による微妙なクセで味のブレはどうしても生じてしまう。

sioのイズムを用いることで、その課題を解消する。
最低限を除いてはレシピによる管理はしない。


これだと気持ちいいよね、というポイントで味を管理することが大事だ。

だから僕らはレシピを公開することに抵抗がなかった。もっと大事にしているのはこういったイズムであるからだ。

何より、幸せの分母を増やすためにできることは何か、ということが最も重要である。


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そのイズムを体現するプラットフォームとして、店が存在する。


プラットフォームとは、駅のプラットホームやデッキ、演壇、高い足場などやまた、舞台という意味もある。


レストランは、料理人、サービスマン、そしてお客様が一体となって作り上げる舞台なのだ。


舞台は、お客様の家のキッチンから始まっている。
パンフレットは、各スタッフのSNSやnoteによるsioの取扱説明。
推しメンがいても嬉しいし、もちろん食べに来た時にでもぜひ。


エネルギーが共鳴しあって心地よい空間を作れたらと思うし、活気あふれるレストラン(飲食店という意味合いで書いている)は、何より元気を貰える。


このコロナ禍で多くのダメージを受けたレストランであるが、本質的な価値が問われているのだと思う。


だからこそ。

栄養補給ではなく、精神補給ができるレストランは意義深く、尊い。


3月末、鳥羽は言った。

「お客様と溺れる気持ちで一緒に戦うぞ」


僕らは、第一次コロナをともに戦い、何とか乗り切った自負がある。


一緒に生き抜くために、これからも美味しいを全力で仕掛けていく。

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