見出し画像

約束の坊主。

去年の10月下旬、僕は坊主にしました。

実に中学生ぶりです。
そういえば中学校の卒アルは坊主でした。
なんで坊主にしたのか、聞かれることも多いので書いておきたいと思います。

約1ヶ月のお休み明けに

僕は、去年9月中旬から10月中旬に1ヶ月ほどお休みをいただいていました。約4ヶ月ほど、ほぼ毎日書いていたnoteの更新も止まってしまって、ありがたいことに心配頂いた方もたくさんいました。ごめんなさい。

そんな中、僕は会社を休んで、社長であるシェフの実家に週に何度も夜ご飯を食べに行かせてもらっていました。
傍から見たらなんとも不思議な光景だと思います。自分自身、ありがたい気持ちと情けない気持ちに揺さぶられながら、シェフのご両親とシェフに甘えていました。本当にありがとうございます。

これには裏話があります。
ある日、シェフのお父さんが突然家にやってきたんです。

「お昼、食べたか?」
と言って、お母さんと一緒に。
そして、そのまま蕎麦を食べに行きました。

「会社、休んでるんだって?」
とお父さん。実はシェフから連絡があって僕を連れ出してくれたのでした。この期間中、シェフと全く連絡を取ることはありませんでした。

その日から夜は家でご馳走になりました。
サラダに白子のお吸い物、かつ煮。カレーやシチュー。ミルフィーユ鍋の日もありました。毎日のようにお邪魔してました。

帰り道。いろんな気持ちが込み上げてきて、家までの道がいつもより少し時間がかかったり。こんなに人に優しくされることってないよ、って心の底から思いました。

おかげさまでエネルギーが湧いてきて、
「このままじゃ良くない。いい加減また動き始めなきゃ。」と会社に戻りたいという話を再びしたのが10月下旬。
会社の皆さんにはたくさん迷惑をかけたにも関わらず、また迎え入れてくれたのでした。

会社に戻ってまた一から頑張りたいと話した時、ボロボロ泣く僕に向かって副社長であるノボるさんがこう言ったんです。

「オリちゃん、坊主やな。」

え?このタイミングで?
と若干、耳を疑いました。

でも、僕には妙案でした。
復帰にあたって、不安や怖さが拭えなかった自分には、その提案がしっくり来たのです。

翌日、シェフのお父さんにバリカンを借りに行きました。お父さんは、数十年以上自分で頭を剃ってると聞いていたからです。(甘えすぎ)

到着して坊主にすることを伝えました。
すると、

「なんだ、刈ってやろうか?」

とお父さん。良いんですか?と答えるぼく。
どこまでおんぶにだっこなんだよ、と思いつつも、お言葉に甘えて刈っていただくことに。
その日は秋晴れでしたが、急な寒波で。季節外れの寒空の下、ベランダに出て頭を丸めてもらいました。

割と伸びていた髪が落ちていくのと同時に、気持ちも晴れやかに。地肌に冷たい風が吹き付けます。マンション上層階だから風も強いのです。

あぁ、やっぱり。
期待通り、いや期待以上の爽快感でした。

お父さんに「また丸めたいときは言いなよ」と言ってもらいましたが、さすがにそれは悪すぎるのでその日のうちにAmazonで2000円のバリカンは購入しました。防水機能付きでお風呂に入りながら、あっという間に刈れます。

中途半端な伸び方が1番しっくりこないので、週1回のペースで頭を刈るのが日課に。その度に、ネクタイを締める時のような気持ちになります。

ある人には似合うとも、ある人には「え!」とも言われましたが、今の自分は気に入ってるので良いのです。

鏡を見れば、オンライン会議に出れば、頭をさすれば、思い出します。

後に、ノボるさんからこう言われました。

「今の気持ち忘れないように。そういう意味もある。この一年、成長の年にしよう。」

次のステップへ進むために決めた約束。

人には、その人の進み方がある。
人には、その人のクセがある。
人には、その人の夢がある。

僕は目の前のやりたいが先行してしまうから、自分でペースを乱して、レースを途中辞退してしまう。

またガソリン切れしないための、約束の坊主。
ノボるさんのやさしさが詰まった提案だったのでした。

おやすみ中に、シェフのお母さんに教えてもらったことがあります。

″以心伝心はない。思っていることはしっかり伝えなさい。″

これまでもタイミングを逃して伝えられなかったことが何度もあります。
その日以来、少しずつ伝えられるようになりました。

まず、ノボるさん。
坊主は一回限りかと思っていたら、1年間坊主がええんちゃう?と言われ、正直最初は戸惑いましたが、今の自分には必要だと思います。
繰り返さないように学んでいかなきゃですし、あの時の気持ちを忘れちゃいけないですね。ありがとうございます。

シェフのお父さん、お母さん。
いつも気にかけていただきありがとうございます。口下手な男ではありますが、おかげさまで復帰して再びエキサイティングでやりがいのある毎日を過ごしています。ドタバタで延期になってしまいましたが、近いうちにまた料理を作らせてください。

何より戻るきっかけをくれたのは、シェフが向き合ってくれたからだと思います。なんだこのヤロー、とムカついたはずです。でも、自分に手を差し伸べてくれました。
あらためて、感謝しかありません。
少しずつできることを増やして、一緒に美味しいがたくさんの方に届けていける道を作っていきたいなと思います。

自分でも驚くほどに、どこか抜けがちな僕ですが、皆さまいつもありがとうございます。
引き続きよろしくお願いします。

最後に、鹿児島にいる父さん母さん。
綺麗な頭に生んでくれて、ありがとう。
年末年始はおせちを作っていました。
今年はどこかで帰るよ、約束の坊主で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?