「上司に期待しない」とは何か
「上司に期待しない」とは、どんな状況になっても、自分自身が覚悟を決める、ということ。
ここ数か月、辞めていく人が続出した。
私自身の部下も、辞めていった。
前向きな転職ではあるものの、今の職場に魅力を感じなくなって、嫌気がさしていたことは明らかだった。
私は、どうしたらよかったのだろうか。
ショックだった。
何年も上司をやってきて、直属の部下が数名辞めるのは初めての経験だった。
私だって辞めたくなるときはある。
でも、「辞める」という選択に踏み切れない。
一線を越えられない。
だからこそ、一線を越えた部下たちが、何を考え、何を感じながら、決断したのか。
私は上司に聞いた。どうしてこんなに人が辞めていくのか。私は少なからず責任を感じている、と。
上司は言った。「転職なんて珍しくないよ。そんなに気にすることはない」
それは、私への慰めだったのかもしれない。
けれど…
一緒に働いてきた仲間がいなくなるということ。
優秀な人が流出していくということ。
そういう現実を、上司はわかっていないのだな、と悟った。
上司の言葉が、心にストンと落ちた。
それからというもの、上司に対する期待値が激減した。
私は勝手に、上司もこの現実を重く受け止めていて、私のように危機感を持っていてくれるのだと期待していたのだ。
上司は、「退職で空いた穴は、補充が来るから大丈夫」という考えだ。
「人」を見ず「数」で考えている。
その考えも間違いではないが、辞めた人達はそういうのに嫌気がさしたのではないだろうか。
駒のように扱われて、社畜として働くことを求められる。
やりがいもなく、心をすり減らしていくだけ。
先日、上司が「仕事がうまく回る方法」を考えていて、水面下でコソコソ動いていることを知った。
ちょっと前の私だったら過剰に期待していたし、上司のことを「さすがだ!」と見直していたと思う。
しかし、今は、そう思わない。
ふーん、うまくいけばいいね、って感じだ。
どのような状況になっても、私自身が覚悟を決めて受け入れる。
自分の覚悟が決まれば、人生はなんとかなるし、好転していく。
上司のやることなすことに振り回されず、平常心でいよう。
そう思うと、心がすーっと軽くなった。
期待しないこと、というのはこんなに楽なのか。
新たな発見だ。