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20代最後の日

ってなんか文字にするとすごく重いようだけれど、実際その日が近づいてくると別になんとも思わないというか、思う暇もないほど忙しい毎日を送っている。
それってすごく幸せなことだ。体力ないのが難点だけど。

というかもう28歳迎えた辺りから既に30歳になったような感じだった。
でも実際、まだ30歳になりたくない!って気持ちが強かったんだけど、
今は30歳になるのが楽しみだ。なんか微妙な数字からの解放感なのかな。

29歳のわたしとして、何か残しておきたかったからnoteを開いてみた。
何について綴ろう…。と思案して、10年前の自分のことを振り返ってみようと思った。

19歳。
すごい、ぴちぴち感。
でも全然ぴちぴちしていなかった。
わたしはこの歳、何をしていたかというと、漫画家を目指していた。
自分的には未だ恥ずかしい話で、あんまり口外していない。
でもこの際だから、ひとつ思い出話してみようかな。


某出版社の少女漫画誌で、20歳以下限定の漫画コンテストが行われていた。
ギリ20歳以下だから、規定の32ページの作品を投稿した。
内容は幼馴染もので、いつの間にか大人になっている男の子へ感じる違和感の正体に気付けない女の子が主人公の話だった。


仙台の駅前で友達と遊んでいる時だった。
出版社から電話がかかってきたのだ。

なんとコンテストの投票作として選ばれた。

あの(まさか…!?)という電話に出る前のドキドキ感は今でも忘れられない。

選ばれた作品数は確か全部で8作品。
その中のひとつにわたしの作品があり、それらはネットを介して読者に届けられ人気投票が行われ、一番得票数の多かった作品が大賞となる、という仕組みだった気がする。
あとは編集者と選考漫画家の意向がプラスされていたかもしれない。

みんな力作で、こんなのに選ばれただけでもすごいよな、と思っていたのだけれど、
なんと大賞に次ぐ賞を戴いた…!
原稿料15万円。思わぬ臨時収入。
(そして複合機も買って貰えたのだが、複合機の意味が分からずただのコピー機を買ってしまった。未だに使っている。)

ネットのコメントで「絵が拙い」「下手」という率直な意見もあったが、
わたしは尊敬している某漫画家の先生からコメントして頂いたのがとてもとても嬉しかった。


賞を獲ったことにより、わたしに担当編集者がついた。
作家デビューをサポートしてくれる方だ。
ご存知かもしれないが、プロ漫画家は編集者と二人三脚である。
わたしの担当を受け持ってくれたのは、実写化にまでなった作品など数々の有名漫画を支えた腕利きの編集者さんだった。担当されていた漫画家さんも好きな人ばかりで、このことも本当に嬉しかった。


が、こうして書いている今、わたしはチャンスを物にできなかった。

編集者さんとの意思疎通に悩み、どうすればいいかわからない、さっきの意味はなんだろう、何を描いたらOKと言ってもらえるんだろう、と編集者さんの声色ばかり伺っていた。
単純に言えば、「大人」との接し方がわからなかった。というかもっと素直になれば良かったんだ。「わからない」ってちゃんと伝えれば良かった。


編集者さんの期待に応えられなかったわたしは、何のお礼も言わず連絡を断った。
折角担当が付いたのに、しがみ付くのがみっともなくて自然消滅した。
忙しい編集者への負担になりたくなかったって理由もある。



もうその頃にはハタチになっていたけど、
漫画に囚われ、若いということを楽しまず過ごした19歳。


今その夢は追いかけていないけど、あの頃の自分は目が輝いていた気がする。
だから、ちょっと羨ましい気もする。

でも、苦しくなりながら漫画を描いていたあの頃に比べると、
もしかしたら今の方が青春しているかもしれない。
仕事は大嫌いだし、体力はないけれど、楽しさはあの頃よりあると思う。


「ストーリーがいい」

と、いろんな作品を、いろんな方に褒めて頂いた。

29歳のわたしがこうして文を綴っているのは、漫画を描いていた経験があるからかもしれないね。


話を考える力も絵を描く力も衰えた。
でも、紙は余ってる。
なんやかんや、描いてみてもいいかもね。

あ、ちなみに漫画を読むのは好きです。安心してください(?)


グッバイ20代のわたし。
今日の一番の幸せは、ゆずの「リボン」ってアルバムを友達が教えてくれたことだよ。

明日の新しいわたしも、幸せ見つけられますように。




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