Ongoingのプロジェクト「みんなで沿岸部に人工的なレースを編む」
こんにちは!今日は、現在亘理を舞台に構想中の作品案のお披露目です。
2022年1月に発案し、WATARI TRIPLE C PROJECT事務局宛に企画書を書いたものを当時のまま掲載します。
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「みんなで沿岸部に人工的なレースを編むプロジェクト」
●コンセプト
波打ち際をモチーフに、荒浜沿岸部にまつわるつながりを制作する
●概要
防潮堤の斜面に、ベースの編目(漁網を元とした白い素材で編む)とモチーフ(地域住民)からなる巨大なレースを作る。完成した作品は、自然が作るレース(海の波)が写り込むように、ドローンや航空写真等の手法で空中から撮影する。自然の営みと人工物を対比させるような、意識的にはアースワークのような規模感です。
●手順
ベースの編目を編む作業は地域住民と協働で行います。白色のプロジェクトTシャツなどを作って着用し、作業をします。編目を作り終えたらその服のまま、好きなように編目の上で過ごしたりポーズを取ったりして住民自身がレースのモチーフになります。そして空中から撮影をします。一定期間(1日〜数日間)作品を設置したら編目をほどきながら撤去を行います。プロジェクトTシャツは記念に協働した方々にそのままプレゼントです。無の状態から編み、また解いて消えていく過程も面白く、また波打ち際も現れては消えていく現象なので、空中からは完成形だけでなく、制作〜撤去までの一連を記録撮影します。
撤去後の素材については、また別の機会に同じようにプロジェクトを実行してみても良いし、編んで別の作品(例えば巨大なぬいぐるみのような)を作り、公園内に常設展示もありだと思います。波打ち際も寄せては返す、永遠に繰り返される現象ですし、消えた波も大地に染み込んで別のカタチで存在し続けているからです。
プロジェクト終了後、ドキュメンタリー映像を制作します。プロジェクトは完成形の作品だけでなく、過程そして記録していくことも非常に重要と考えます。そのため初期段階から、プロジェクトに関わることの記録撮影をしていきます。
●背景
荒浜沿岸の波打ち際の写真を見たときに、その繊細さと美しさがレースと重なりました。寄せては返したり、揺らぎがあったり、静かに現れ去っていく様子はさながら白いレースのカーテンのようです。地球のカーテン。もともとアースワークのような、地球の一部に作品を設置するような規模感のことがやりたかったこともあり、自然の作るレースに呼応した作品構想がありました。そして現地リサーチをする中で、今は更地のエリアは震災前漁師を生業とする方達のコミュニティがあった場所ということを知り、自然のレースに対する素材としての漁網が常に頭の中にありました。この作品で、漁網を元にした素材で地域の人々と編み物を編むことで土地の記憶を皆で共有できるのではないかという想いもあります。そして静かに陸地と一体化していったり、他所から様々な物を運んで浜に置き去っていく波打ち際のように、このプロジェクトを通じて参加してくれた地域住民が新たに繋がってくれたらと願います。
●作品を展開する場所
物理的・精神的にも自然のレースと対比させたいこと、白い作品が映えること、幅をある程度要すること、制作風景や完成したレースの楽しみかたとして空中からだけでなく地上からもよく見える場所であること。以上を踏まえると、草が生えて斜面で幅が広い、防潮堤が良いかと思っています。
●ベースの編目の素材
海洋ゴミとして環境問題となっている漁網をリサイクルした糸や布地を使用したいと考えています。海の底から引き上げられた漁網を作品に生まれ変わらせることで多角的なつながりを創出することができます。
現在、リサイクル事業を展開している企業をリサーチしています。
https://www.sen-i-news.co.jp/seninews/view/?article=369962など
●作品を作るうえで大事なこと
・美しさ
空中から見て、波と比べてみて、美しいレースに見えること→編目に使用する素材の太さ、編目の密度、モチーフを形成する人物の配置、人数などに配慮する
・制作する人が楽しいと感じること
ワクワクする素材、作業、使命感を感じること→制作の手順を工夫する、皆で同じTシャツを着用し自分ごと、他人との一体感を創出する
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作品の概要は以上です。
その他、スケジュールや予算なども随時修正しながら進んでいます。次回の投稿からはまとめてではありますが、プロジェクトの進捗状況をお伝えしていきます!
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