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【マネしたい】上場企業のIR資料から考える「メッセージの伝わる滝グラフ」の作り方
みなさんこんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。
今回は「読み手に伝わるグラフシリーズ」第3弾ということで、上場企業のIR資料から読み手に伝わりやすい滝グラフとはどのような要素を備えているのかを要素分解して考えていきたいと思います。
滝グラフとは?
滝グラフとは、期首と期末など二つの数字を比べる際、その差異がどのように発生しているのか、要素ごとに見やすく表示できるグラフであり、ウォーターフォールグラフとも呼ばれます。
滝グラフを見る際に重要なポイントは3つです。
①「合計」を表す棒(以下「合計棒」)
期首の営業利益額、期末の営業利益額のように、要素の合計を表すもので、グラフの両端に配置されております。
②「要素」を表す棒(以下「要素棒」)
期首と期末の合計棒の変化が、どのような要素によって生じているのかを示す棒です。「増加」を表す棒を「増加棒」、「減少」を表す棒を「減少棒」と表現することとします。
③最も伝えたい要素(以下「メッセージ」)
滝グラフは合計棒の差異を要素分解したものですが、最も大事なことは、要素分解をした中で「どの要素を最も重要視しているか」です。これが無ければ、滝グラフを使う意味はないと言っても過言ではありません。
では、具体的な事例を見ながら、どのような滝グラフが「読み手に伝わりやすいのか」を考えていきましょう!
このシリーズでは、グラフの種類ごとに注意すべきポイントを解説しており、棒グラフ、円グラフについては、別記事で解説しております。
「配色」での区別が明確 (ZOZO)
■「合計棒」と「要素棒」の色を明確に区別
非常に重要なポイントです。色を大胆に区別することで、読み手にとってはより詳細に要素を理解することができます。このぐらいはっきりと色分けを行うことが理想です。
■ インパクト大の「要素棒」を遠くに配置
「受託手数料売上増」と「変動費増」という影響の大きな要素棒については、隣接させるのではなく、離れた場所に配置することで、影響力がうまく強調されている。
■ 詳細な要因説明がある
グラフを見ると、要素棒の下側でさらに詳細に説明がされています。滝グラフの要素棒はかなり大雑把に分類されているので、定性的な情報については、別途記載することが望ましいです。
2021年3月期第3四半期 決算説明会資料より引用
「増加棒」と「減少棒」を区別 (三菱マテリアル)
■「増加棒」「減少棒」の色を区別
「合計棒」と「要素棒」の色を分けることに加えて、「増加棒」と「減少棒」を明確に区別することで、合計に与える影響が大きなものを一目で理解することが可能になります。
■「メッセージ」は上部で分けて説明
グラフの中に、詳細な説明を挿入するのではなく、詳細な定性情報は上部のメッセージ部分に分けて説明することで「何を伝えたいのか」が明確になっています。
■ 合計科目の数字を大きなサイズで記載
「合計棒」と「要素棒」を区別する細かいテクニックですが「合計棒」の数字を大きくすることで、より明確な区別が可能になります。
2021年3月期第3四半期 決算IR補足資料より引用
文字色による区別 (ファンケル)
・メッセージを1つに凝縮
細かな説明が多すぎると、伝えるべきことがブレてしまうため「通販のネット広告の効率化によって、業績が拡大した」という1つのメッセージに絞ることで、情報量が抑制されて、見やすいグラフになっております。
・「増加棒」「減少棒」の色を区別
「増加棒」「減少棒」を真逆の色にすることで、どの要素に注目すべきかが明確になっています。
・「合計棒」「要素棒」のレイアウトを明確に区別
「合計棒」は棒の外に数字を記載し、「要素棒」は棒の中に数字を記載することで、双方の違いが明確になっています。
2021年3月期第3四半期 決算説明会資料より引用
「縦書き滝グラフ」でスペースを確保 (第一三共)
■ 縦書きにすることで「メッセージ」を説明するスペースを確保
滝グラフには、横幅が大きいという欠点があります。その結果、グラフから伝えるべき「メッセージ」が弱くなってしまうことが多いです。そこで、縦書きの滝グラフを活用することで、スペースを確保して、テキストでの説明をリッチにしている事例です。
■「合計の数字」は棒の中に、「要素の数字」は棒の外に
「合計棒」と「要素棒」の区別を明確にするテクニックの一つです。要素棒は小さくなる傾向にあるので、数字を棒の外に出す手法は有効だと思います。
■ 矢印の追加で増加・減少をわかりやすく
非常に細かな気遣いにはなりますが、増加要素なのか、減少要素なのかを矢印で補強してあげることで、読み手がグラフの理解に際して考えることを削っています。このような細かい点まで気を配れると、印象は非常に良いと思います。
2020年度第3四半期 決算経営説明会資料より引用
GMOペパボ
■「増加棒」「減少棒」を色だけでなく+と△で区別
繰り返しになりますが、「増加棒」と「減少棒」の区別は重要です。このスライドでは、+と△を用いる工夫がされています。
■「要素棒」が多すぎない
パワポを作る際の情報量を絞ることにもつながりますが、「要素棒」を多くしすぎてしまうミスは頻発しています。棒の数が適切になるように分類することが重要です。
■ 伝えるべきメッセージはスライド上部に集約
グラフ内にテキストでメッセージを入れているスライドもありますが、思い切って、スライド上部にメッセージを配置することでグラフの見栄えをシンプルなものにすることで、情報を分けてインプットすることが可能となります。
2020年12月期決算説明会資料より引用
まとめ
滝グラフのポイントは、「合計棒」と「要素棒」の区別をいかに行うか、「増加棒」と「減少棒」の区別をいかに行うかがカギになります。棒の配色や数字の配色だけでなく、数字を棒の中にいれるかどうかなど細かなテクニックがころがっておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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