【パワポ研の決算資料探訪③】星野リゾートの絶対に真似できない写真を活かした決算説明資料
企業の決算説明会資料について解説するこのシリーズ。前回大変好評をいただけましたので、おかげざまでこの度シリーズ三回目を迎えることができました(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。
今回も新興企業の決算説明資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、「星野リゾート」(株式会社星野リゾート・アセットマネジメント)です。
ああ、あの高級旅館の、というイメージが先行しますが、まさにその通りです。
2020年10月期 決算説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3287/ir_material_for_fiscal_ym/92381/00.pdf
早速見ていきましょう。ちなみに今回ご紹介するのは運営会社ではなく、投資法人です。運営会社は上場しておりませんので、念のため。
表紙
なるほど! と唸る表紙。星野リゾートの高級感を一目で表している。これは見事ですね。特に、確実に「選んだ」と思うのですが、上端・下端が白文字で視認できるように、比較的黒っぽい絵を採用しています。テキトーに選んだ写真なら、まずこうはならないでしょう。これはお見事です。
目指す姿
これも同様の理由でお見事! 狙って撮ったとしか思えませんね。
表紙の写真と違うポイントは、下の文章が袋文字+下地があることです。単語ではなく、文章なので視認性を上げる工夫が見られます。しかも、写真をしっかりと魅せるために下地の透過度を調節している点も見逃せないですね。
ディバイダー(一つ目)
章と章をつなぐ一枚のスライドを一般にディバイダーと呼ぶのですが、このディバイダーの役割は単純で、「切れ目」を示すことです。つまり、それさえできればフォーマットは自由。逆に言えば、リッチな写真素材を使ったりする企業も多く、スライドのデザインにこだわりたい企業にとっては腕の見せ所でもあります。ここでは上側は黒文字、下側は白文字と上手く切り替えて視認性を上げているのがポイントですね。そしてここでも、やはり透過度を調節した下地を上手く使っています。
プロジェクト事例
このスライドも写真ラッシュですが、トリミングを丸くして更にその下に白系の下地を入れて、文字を入力しています。正直読めるか読めないかで言えばポイント数的には限界ギリギリかと(私は少し厳しいです)。しかし、ここでは個々のプロジェクトの内容如何よりも、大量のプロジェクトを抱えているという実績をアピールできればOKで、それは十分に伝わる一枚になっています。背景に日本地図を入れるのも、一般的なスライドライティングのお作法的には全く無意味なのですが、こういう一工夫があれば「日本全国に展開しているんだね」ということがよくよく分かるので、さりげなく効果的です。
ファンドの組成
これも前のスライドと同じで、量を伝えるのが第一です。しかしここでは、ファンドというビジネスの性質上「しっかりとしたところに投資している」ということをアピールすることも大切になってきます。量と質、両方が問われる難しいスライドですが、敢えて言葉による説明を省くことで、ブランド価値を毀損しない素晴らしい案件に投資している、ということが伝わる一枚に仕上がっています。
新規開業施設のその後
流石観光業! と唸るような写真が6枚並んでいます。実際のところ、決算説明会用資料に出てくる写真は、画素が粗かったり、また素人がテキトーに撮った写真、ホームページから切って張ったような出来合いの写真が多く見られます。しかしこの6枚の写真、さすがに本領発揮と言ったところ。特に右上の写真は、(素人目線ですが)なるほど! と目を引かれる写真。インパクトは大きいです。
ESGへの取り組み
ESGスライドというのは難しく、写真を多くすれば内容が伝わらず、文字が多くなればどうにもやってるのかどうだか分かりにくい、というジレンマがあります。しかしこのスライドでは、インパクトのある一枚の上に、しっかりとした説明を重ねるという方法を採用しており、イメージと情報量の両立に成功しています。左側に関連するESGのアイコンを掲載しているのもいいですね。あまりこういう使い方は見られないですが、効果的です。
ディバイダー(ラスト)
最後のディバイダーです。最後にこの画像で終わる、というのも「意味のある」ディバイダーになっており、写真に対する並々ならぬ自信と工夫が感じられます。敢えて文字に書かず、写真の様子で伝えるそれは、小説の描写のようですね。
まとめ
星野リゾート・アセットマネジメントの決算説明会資料、いかがでしたでしょうか。写真をここまでふんだんかつ華麗に取り扱える決算説明会資料は、他にお目にかかることは出来ません。
もちろん写真だけではなく、その写真を効果的に使う方法にも熟知しているからこその技です。この合わせ技、一朝一夕で学ぶのは相当困難ですので、素人が下手に手を出すと火傷をします(実際、そういう資料を皆さんよくご覧になっているかと思います)。
もし参考にするならば、構図からなにまで、ほぼほぼトレースした上で活用するのが一番でしょう(そっくり同じ写真を同じ構図で使うと、もちろん何かしらに抵触するので、そのケアは必要ですが)。
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