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学生、社会人、コンサル、デザイナーが作る資料の違いと上達するための5つのStep

みなさん、こんにちは。
資料デザインのリサーチや分析に取り組むパワーポイントのスペシャリスト、パワポ研です。

今日は「資料作りが上達するための5つのStep」をと題し、作成者の属性が変わるごとにパワーポイント作成の技術が上達していく様を解説していきます。

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上図の通り、学生から一般的な社会人、社会人の中でも資料作成の頻度が多いコンサルタントやビジネスデザイナーに至るまで、様々なレイヤーで資料作成の機会が発生しており、それぞれの属性において求められる資料の完成度が異なります。

もちろん、個人のスキルに依存する部分が大きいため、一概に線引きすることは不可能なのですが、求められるアウトプットの質が異なる以上、スキルに差分があるのもまた事実です。

そこで本記事では、資料作成スキルにおいて自身の現在地を理解してもらい、その上で今後どういったステップを踏んでいくべきかを示すことを目的とし、その具体的な対処法について記載していきます。
なお、本記事の投稿は1万字を超えているため、ご自身に関係のある章から読み始めていただくことを推奨します。

それでは、Step毎に見ていきます。

前提

今回は以下の4項目の達成度でそれぞれのスキルを評価します。

ルール:基本的なルールは守れているか
タイトル・メッセージ:各スライドのタイトルとメッセージは明確か
ボディ:それを構成するボディは妥当か
ストーリー:資料全体が一つのストーリーになっているか

ルール:基本的なルールは守れているか
・文字の大きさやフォントなどが見やすいようになっているか
・ある程度余白があり、読みやすいようになっているか
・資料の要素は十分か(表紙、サマリ、目次、コンテンツ、結論など)

タイトル・メッセージ:各スライドのタイトルとメッセージは明確か
・基本的に各スライドにタイトル・メッセージが存在するか
・それらはボディの説明なしに理解できる日本語になっているか
・ワンスライドワンメッセージなっているか/必要以上に長すぎないか

ボディ:それを構成するボディは妥当か
・メッセージを補佐する役割を担えているか
・スライドの構造化が実現できているか
・各要素に合わせて、最適な表現手段になっているか

ストーリー:資料全体が一つのストーリーになっているか
・資料全体で、何が伝えたいかはっきりしているか
・各スライドが、それを伝えるためのパーツになっているか
・資料全体を一言でまとめるスライドが機能しているか

上記の観点で早速それぞれを整理していきます。

Step 1. 学生レベル

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ルール:×~△      覚えたて程度で、基本的には無法地帯
タイトル・メッセージ:× そもそも存在しないスライドも多い
ボディ:×        書きたいことを書いているだけ
ストーリー:×      個々のスライドをつなぎ合わせただけ

パワーポイント始めたての方は誰しもStep 1のレベル。随分辛辣な評価をしていますが、プロの目から見るとお粗末なのがこのレベルです。

想定するのは、大学生で研究やサークルのプレゼンなどで初めてパワーポイント使ってみましたというレベル。企業のインターンなんかに行って「ちょっとパワーポイントかけるようになりましたよ!」なんていう学生も、概ねここに近いですね。

上記に記載した個々の項目を確認していきましょう。

1)ルール:覚えたて程度で、基本的には無法地帯

実際、彼らのスライドは視認性に優れないものが多いです。フォントの大きさや種類もバラバラ(しかも、明朝体がよく出てくる)、図形も少しズレている、色使いも妙に原色が多い。余白はなくギチギチに詰め込まれたスライドが出てきたと思えば、真ん中にポツンと寂しく図表が乗ったようなスライドが出てきます(しかも、注釈がない)。なるほど無法地帯だ、と納得できる出来栄えでしょう。

2)タイトル・メッセージ:そもそも存在しないスライドも多い

そもそも、タイトルとメッセージが存在しないスライドが多数見受けられます。彼らにとっては、「白紙」のフォーマットが最も使いやすいはず。各スライドはタイトルとメッセージが規定され、その後にボディが定まるという作成方法であるべきです。しかし、おそらく彼らは使えそうな部品から、メッセージやタイトルを規定しているはず。すると自ずと、タイトルやメッセージが欠落してしまいます。

3)ボディ:書きたいことを書いているだけ

そもそものメッセージやタイトルがなかったりするので、ボディが補佐しようにもしようがない、という状況。なので、ボディの評価をしようにもできない、というスライドが多くなります。もっとも、情報がこれでもかというほど詰め込まれているので、仮にメッセージがあったとしても、それをVividに支えられているかははなはだ疑問。もちろん、構造化なんてされていない

4)ストーリー:個々のスライドをつなぎ合わせただけ

上記のような勝手気ままなスライドが並んでいるだけでは、それは出来栄えのよい資料、つまりストーリーがある資料とは言えません。研究発表の場合はストーリーが成立している場合もありますが、それは大学院生の話。大抵の大学の卒論発表の資料は、(論文はともかく)パワーポイントの各スライドはバラバラです。

総評すると、各スライドが何を言っているのか読み手に理解を任せる範囲が大きく、そのため口頭での補足説明がなければ意味が通じないことが多いのが特徴です。

これらの状況から脱却するために、以下の方法を想定しています。

A)まずはどんどん書いてみる

習うより慣れよとはよく言ったもので、まずはスライドをどんどん書いてみましょう。書いてみると、パワーポイントの機能への気づきや、「ここをもっとこうしたい」という考え、あるいはプレゼンの際に「こういう構成だと喋りにくい」という発見があるはずです。

B)先輩の資料を見てみる

とは言っても、お手本がなければ書きづらいのも事実。その場合には、サークルや研究室の先輩の資料を参照するべきです。どんぐりの背比べとはいえ、先輩には一日の長があります。それを参考にして(ときには反面教師としながら)技術を磨くのもよいでしょう。

なお、企業の決算資料などは良い例のものもありますが、それが「なぜよいのか」はこの段階では理解できない可能性が高いです。そういう意味で、身近な先輩の資料というのはより参考になるはず。

C)一冊くらい関連書籍を読んでみる

世の中には、パワーポイントかくあるべしという書籍に溢れています。ネットでぽつぽつと情報を拾ってくるよりも、そういったもので体系的に学ぶのがよいでしょう。もっとも、一冊読んだ程度で知識が身につくとも思わないですし、劇的に何かが変わるわけでもありません。しかし、「こういうものを最終的に目指すのか」という一つの指針にはなる。即効性というよりも、今後のステップアップの礎という意味合いが大きいですかね。
関連書籍に関しては、こちらの記事にまとまっています。

https://note.com/powerpoint_jp/n/n2428839e0795

Step 2. 社会人成り立てレベル

次は、社会人1~2年目程度の方のスライドイメージと、各要素の評価を確認しましょう。

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ルール:△~〇      先輩諸氏の指導により、改善傾向
タイトル・メッセージ: 会社のルールに則っている
ボディ:        「慣れ」により、多少改善
ストーリー:×       相変わらず個々のスライドが独立

ちょっと慣れてきたかな、というのがStep 2のレベル。Step 1と較べると少しはマシになりましたが、企業の求めるレベルによりますが実践ではつかえないですかね。お客さんに出す前には必ず上司のレビューが必要です。

社会人1~2年目というのは、先輩の見様見真似で多くのことをこなす時期。そしてそれはパワーポイントでも例外ではありません。しかし見様見真似では師匠は越えられないので、能力は師匠のそれで頭打ちになるでしょう。そこからの脱却にはまた一つStepが必要になるのですが、それは後段で述べたいと思います。

1)ルール:先輩諸氏の指導により、改善傾向

パワーポイントのルールには大きく分けて二種類があります。会社独自のルールと一般的な「お作法」です。この二つはMECEに分かれているわけではなく、おおむね会社独自のそれが一般的な「お作法」の一部です。例えば、会社が指定する色使いや余白の使い方などを習得すれば、それは一般的な「お作法」の一部を習得したことになります。社会人の初めは会社独自のルールを学ぶことで、「お作法」のお眼鏡にかなうスライドが完成します。

一方、会社独自のルールのは注意しなければいけない点が二つあります。一つは、会社独自のルールは「お作法」の全てではないこと。例えば上に挙げた色遣いは「お作法」の一つの結果でしかなく、その色使いをいくら学んだとしても、「お作法」に到達することはありません。あくまで一例を習得できるだけです。そしてもう一つは、会社独自のルールが間違っている場合。例えば、余白をギチギチに詰めて情報量を多くするルールがある会社も珍しくないですが、それは「お作法」には反しています。そういったガラパゴス化したルールは、往々にして汎用性がなく、また誤っていることが多いです。

しかし、基本的なルールは先輩の指導で身につくでしょう。そういう意味での、△~〇ということになります。

2)タイトル・メッセージ:会社のルールに則っている

上記の「お作法」に深くかかわるところではありますが、タイトルとメッセージを書き込む欄は会社独自のフォーマットに規定されている場合が多いです。そうなった場合は、そもそもメッセージを書く欄がないなどの弊害があり、一個人としてそれを打ち破るのは難しいでしょう。この項目については、指定のフォーマットに則してしまう場合は、正直なところどうにもならないことが多いです。

3)ボディ:「慣れ」により、多少改善

一般的には、社会人になったらスライドがきれいになった「ように」見えます。プロの視点では大して奇麗になっていないのですが、多少視認性向上は見受けられます。しかし、構造化が甘かったり、要素を詰め込みすぎたりと、改善点はまだまだあります。そういう意味では、評価も×に近い△でしょうか。

4)ストーリー:相変わらず個々のスライドが独立

社会人で一年や二年過ごした程度ではストーリーのある資料は作れません。タイトルやメッセージが今一つなスライドをキメラ的につなぎ合わせた資料では達成できないのです。ここの課題解消には、少なくとも社会人ベテランレベルのスキルが必要でしょう。

総評すると、少しはマシになったものの、まだまだひよっこ。スライドの見た目こそマシになってきたが、それが分かりやすいかどうかは別問題といったところでしょうか。

なので、基本的には成長のための打ち手は学生時代と変わりません。

A)まだまだどんどん書いてみる

タイトルとメッセージは上司の言うままに、それに応じられるようなスライドを書いて日々研鑽しましょう。頭打ちにはまだ少しギャップがあります。

B)会社の先輩の資料を見てみる

どんどん書いてみる資料を、会社のベテランの人のお手本を見ながらにすれば、効果は上がるでしょう。まだ他社の資料を見てもエッセンスを吸収できる土壌は限定的なはずですので、そちらは参考程度に。

C)気になる関連書籍を読んでみる

一冊、とは言わず何冊か読んでみよう。どれもこれも似たようなことが書いてあるとは思いますが、エッセンスは同じです。学校の勉強は一冊が擦り切れるほど読んだ方がよいと教わったと思いますが、ことパワーポイントに関しては、いろいろな方法で書いてあるほうが不思議と頭に入ります。

特に、何冊も読むことで自分の悩みにあった一冊を見つけられるかもしれません。流し読み感覚で、いくつも読んでみましょう

Step 3. 社会人ベテランレベル

社会人ベテラン、5年目以降の方を想定しましょう。あまり年次が嵩むと、パワーポイントにほとんど触れてこない社会人人生である場合もあるので、年次が深い方はこの章をご参考にしてください。

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ルール:△~〇      あまり1~2年目から進化はない
タイトル・メッセージ: 同上
ボディ:△~〇      見て理解できる程度にはなっている
ストーリー:×~△     より上位の人間には及ばない

お気づきになられたかもしれないが、ほとんど前のStepと変わりません。理由は、事業会社に勤めている限りこれより上を目指すチャンスもないし、また一般的には上を目指す必要がないと思われているからです。社会人にとって、パワーポイントは一つの要素でしかなく、他にも習得すべきスキルはたくさんあります。そういう意味で、資料作成の熟練というのは優先度が劣後するスキルなのでしょう。

それでは、一つ一つ確認していきます。

1)ルール:あまり1~2年目から進化はない

企業共通のパワーポイントのルールは完全にマスターしていることでしょう。しかし、それがよいかどうかは全く別の話。頭打ちになるスキルの一つです

2)タイトル・メッセージ:あまり1~2年目から進化はない

これも同上で、あまり進化の余地はありません。強いて言えば、メッセージのキレが出てきたり、あるいはメッセージを自分で書けるようにはなるのですが、その差分も大きいとは言えません。

3)ボディ:見て理解できる程度にはなっている

この点に関しては、一日の長が身を結びます。きれいに構造化はされていないかもしれませんが、見て分かる程度にはなっています(逆に言えば、ベテランの方にはこれくらいは期待したいものです)。しかし、100%いつもそうなるかというとそんなことはなく、資料全体ではどこか弱いポイントがあります。理由は、ボディの構造の引き出しの少なさです。これは慣れよりも、書いた枚数や勉強したスライドの数に比例するところが大きく、事業会社に所属している以上は厳しいものがあります。

4)ストーリー:より上位の人間には及ばない

この能力を身に着けるのは難しく、普通の業務をこなしていてはなかなか身につきません。そもそも、正しいパワーポイント資料の作り方を習得する必要があります。資料で伝えたいことを考えたうえで、スライドがどのパーツになるのか、そのタイトルとメッセージは何かということを根等に作り上げる必要がありますが、果たしてどれほどの方がその工程をふんでいるでしょうか。

総評すると、スキル的には頭打ちになりつつあり、抜本的に手法は技本を変更しなければ次のStepには到達しないでしょう。なので、改善の手段も限定的です。

A)ゼロから資料を作り上げてみる

前のStepではスライドを改善することが主体の打ち手でしたが、今度は資料全体の設計を練習しましょう。これがなかなか難しく、機会を得ることも少ないです。例えば、休日のマンション理事会があったとして、そういったプライベートの説明資料をパワーポイントで作ってみる、などでしょうか。

ふざけているように思えるでしょうが、より上位の人間は週に一度資料を構成からなにまで作り上げています。そうした方に対抗するには、やはり量で対抗するしかありません。

B)関連書籍からエッセンスを抽出する

この段階に至れば、関連書籍はある程度読んでいるでしょう。しかし、今まではどの項目を読んでいましたか? おそらく、スライドの一枚一枚をきれにする技法を中心に読み込んでいたことでしょう。今あなたに必要なのは、資料をどう作るかという技法です。いろいろな書籍から、その情報を抽出して、試行錯誤を繰り返しましょう。

Step 4. コンサルタント・シンクタンクレベル

Step 4として、パワーポイント資料を商売道具かつ商品とする方々の状況を解説しましょう。このレベルに到達すれば、社会人としては合格点を優に越えていると言ってよいでしょう。逆に言えば、このStep 3と4のギャップがとてつもなく大きい、ということにもなります。

スライド4

ルール:〇        見やすさのルールは完全に網羅
タイトル・メッセージ:〇 必要な場面には、必ず掲載
ボディ:〇        全てのスライドが、説明せずとも理解可能
ストーリー:〇      ストーリーから資料を組み上げ

全ての項目で、必要十分なスキルを習得しています。裏を返せば、この程度には到達できないと彼らの職務を全うするのは厳しい。新卒数年で全てのメンバーがこのレベルまで到達するのがコンサルティング・ファームやシンクタンクです。その後彼らはマネジメントスキルやセールススキルを身に着けますが、ロジカル・シンキング含む全ての基礎はこの資料作成にあります

1)ルール:見やすさのルールは完全に網羅

上述した余白やその他のルールは完全に習得しています。彼らはクライアントのフォーマットに合わせた資料作成を要求されることも多いため、ルールの多くを経験的に把握しています。もちろん、デザインのプロから見れば至らないところもあるでしょう。ただ、彼らの単価を考えると、そこに拘泥する意味はないはずです。資料作成に関しては、必要十分のスキルを十全に身に着けているといえます。

2)タイトル・メッセージ:必要な場面には、必ず掲載

サマリは一部のインパクトのあるスライド、一部の補足スライド以外は、基本的にタイトルとメッセージが記載されています。なぜならば、資料構成の考え方としてまずタイトルとメッセージを考えるからです。それぞれのスライドの役割は明確であり、その証左がタイトルとメッセージというわけです。
また、CEOなどにプレゼンを実施する際にはややもすると一部のスライドはタイトルとメッセージ以外は読まれないこともあります。そういう意味で、彼らのものは洗練されていきます。ジュニアなメンバーが書いたメッセージを、上長がリライトすることも珍しくありません。逆に言えば、ボディなどはほぼリライトされないということです。重要度と費用対効果の観点でもそれは議論できます。

3)ボディ:全てのスライドが、説明せずとも理解可能

コンサルやシンクタンクのスライドは、読む必要がないスライドがほとんどです。読む必要がないと書くと違和感があるかもしれませんが、タイトルとメッセージ、そしてボディの構造と一部のハイライトだけを「見れば」理解できるようになっています。例えば、貸借対照表を示すとして、普通の企業ならずらっと数字を並べた表を一枚張るだけかもしれません。しかしプロの資料は、そのスライドで何が言いたいかをメッセージで語り、そして見るべきポイントのみを着目できる仕立てにしているのです。このあたりも、プレゼンの相手の時間が限られているということから必要な要素になっています。

4)ストーリー:ストーリーから資料を組み上げ

ここが最も大きな差分になります。プロはその資料全体で何を言いたいか(つまり、この資料を読んでどうして欲しいか)をまず定め、その上で資料を作り始めます。全てのスライドはストーリーを支えるパーツに過ぎません。結果的に、十分なストーリー性を持った資料になりますし、そうならなければおかしいのです。ここが最も大きな差分になります。プロはその資料全体で何を言いたいか(つまり、この資料を読んでどうして欲しいか)をまず定め、その上で資料を作り始めます。全てのスライドはストーリーを支えるパーツに過ぎません。結果的に、十分なストーリー性を持った資料になりますし、そうならなければおかしいのです。総評すると、上述の通り必要十分なスキルが備わった状態であり、これ以上は特段パワーポイント作成スキルを伸ばす必要はないでしょう。

一般的に、プロがどのように資料作成スキルを磨くというと……

A)上司からインプットをもらう

これに尽きます。最低限の技法はマスターしているとして、プロジェクトをこなす中で上司からインプットをもらいます。インプットというのは、各スライドの構成に対するものもあれば、資料全体の構成についてもそうです。日々インプットをもらい、それを汎用化して自分の血肉にしていきます
なお、セミナー的なインプットはあまりありません。新卒すぐや中途の方向けに開かれることもありますが、それはごくごく初歩の、Step 3に到達しているかどうかも怪しい方向けのセミナーです。全てはいわゆるOn job Trainingで行われます。

Step 5. ビジネスデザイナーレベル

上述の通り、Step 4以降は技量を磨く必要はありませんが、余地は残っています。細かく説明はしませんが、スライドイメージと各項目の評価は以下になります。

スライド5

ルール:◎        Step 4にデザイナーの観点を追加
タイトル・メッセージ:〇 必要な場面には、必ず掲載
ボディ:〇        全てのスライドが、説明せずとも理解可能
ストーリー:〇      ストーリーから資料を組み上げ

ルールの部分のみ更新があります。スライド作成のプロが知らないスキルを保有しているため、美しいスライドを作る細かいルールを順守できる、というわけです。しかし、更新があるのはここだけでしょう。
ボディも少し良くなるかもしれませんが、これは理解可能というスライド・ライティングの上限を越えることはないでしょう。見栄えを良くしても、理解が深まるわけではありません。
ビジネス・パーソンがデザインのいろはを学べばこの域に到達できるとは思いますが、もはや趣味の域です。もしも外部向けに見栄えの洗練された資料を作り必要があるのであれば、その際はデザイナーを雇いましょう。
しかし、デザイナー任せにすると……というのが次の章になります。

番外編. 非ビジネス領域デザイナーレベル

デザイナー任せにすると、何が起きるのでしょうか。確認しましょう。

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ルール:〇          美しいがビジネス観点で漏れがある可能性タイトル・メッセージ:×~△ 必要な場面には、必ず掲載
ボディ:△~〇        デザインに尖り本質的でない場合も存在
ストーリー:×~△      ストーリーから組み上げられない

デザイナーはビジネス・パーソンではないので、見た目の良さに注力してしまいます。結果として、メッセージが伝わりにくいデザインになることが多いです。つまり、見た目はすごくいいんだけれど、何が書いてあるかわからない……そんなスライドになってしまいます。名言は避けますが、ベンチャー企業のデザイン的にきれいに見えるスライドが、ときどき上のような特徴の資料になっている場合があります。
もしもデザイナーの方にアドバイスをするとすれば、一度自分で企画書を作ってプレゼンをしてみることをお勧めします。メッセージが伝わりにくい資料を作ってしまうのは、能力が低いわけではなくビジネス・パーソンと資料作成のゴールが異なるからです。あるいは、知らず知らずのうちに芸術品を作ろうとしていまっているか。いずれにせよ、ビジネス・シーンで求められているものとアウトプットが乖離してしまうのです。
なので、ビジネス・パーソンはデザイナーに資料作成を依頼する際には、ディレクションをしっかりと行わなくてはなりません。これについては、ストーリーを作り、メッセージを定め……という資料作成のいろはを念頭において実施すれば、そこまで食い違ったものが出てくることはないでしょう。

まとめ

上記の結果をまとめると、以下の表になります。

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学生~社会人ベテランであっても大した資料は出てこないので、前述の通りそのあたりはプロから見るとどんぐりの背比べということがわかります。また、デザイン的に優れてもプラスα程度にしかならないため、そこまで技量を伸ばす必要がないということも見えてきました。
パワーポイントの作成はデザインではないので、100人いれば100通りの答えがあるわけではなく、当然一意に集約されます。コンテンツとメッセージが同じならば、およそ複雑なスライドではない限り、プロが作るスライドは細かいデザインを除けばほとんど同じものになるでしょう。肝要なのは、そこに至るStepとして今自分がどの程度のスキルをもっており、それはどうすれば解消できるかを知ることです。

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