「今どきの若者は…」論

先日、24歳の若者男性と話をしました。彼は営業マンで様々な業種の人と関わっていて、もちろんその中に洋菓子業界も含まれてます。彼とは年に2、3回くらいしか会うことがありません。しかしその2、3回会う時にいつも彼に聞くことがあります。24歳の若者から見た洋菓子業界の問題点です。この話がボクにとって本当に面白くて、彼と会うのがいつも楽しみなのです。

彼の場合、異業種とも関わってるのでその異業種と比較しての非常に的を得た意見が聞けます。では彼から見た洋菓子業界の問題点とは何かというのはまた別の機会に記すとして、ボクが彼を見て思うのは本当に優秀でいつも大したものだと感心します。

というのは、24歳の若者である彼は48歳のボクを相手に洋菓子業界の問題点を物怖じせずズバズバと自分の意見を話すことが出来るからです。ボクにとっては耳の痛い話ではありますが、しかしよく冷静に観察しそして自分の意見や考えとしてちゃんと消化して、さらにこれがまた全て的を得てるのだから素晴らしい。

「今どきの若者は…」論はいつの時代にもあるものです。しかしこの手の議論は本当に馬鹿げていて、老害以外の何ものでもありません。

今の新入社員は、残業を命じれば断るし、週休二日制は断固守ろうとする。だから残って仕事するのは我々上司なんです。

1986年に読売新聞に書かれた上司の新入社員に対する愚痴だそうです。現在「今どきの若者は…」と言ってる40代50代の世代も若い頃は同じことを言われてたのです。そういえば我々ジュニア世代が社会に出た頃に「新人類」なんて言葉が流行りましたね。ボクなんか職場でよく揶揄された記憶があります。

昨今の若者はすべてにわたって消極的で、思い切ったことをしない

これは1716年頃の江戸時代に書かれた「葉隠」という書物にある言葉だそうです。江戸時代でも「今どきの若者は…」論があったなんて面白いですね。

さらに古くは5000年前の古代エジプトの遺跡、またギリシャの哲学者ソクラテスやプラトンの著書にも「今どきの若者は…」論があったそうです。そんな昔からなんて驚きますね。

もし本当に我々40代50代より若者が劣ってるとするならば、人間は少なくとも5000年前からずっと劣化し続けてきたことになります。本当にそうであれば人類の文明の進化はありえないことになります。しかし絶えず文明が進化し続けてきたということは、若者が進化し続けてきたということに他なりません。むしろ「今どきの若者は…」などと語る年寄りの方が新しい時代についていけてないということです。

思えばボクがまともにパソコンを使い始めたのが20代後半でwindows95だったか、そして学生時代はパソコン、インターネットや携帯電話なんてなくはないにしても普及とはほど遠い時代でした。しかし今や高校生の長女はスマホ、次女にいたっては小学生でwindows10、LINEやらYouTubeやらを使いまくってますからもう完全に我々とは生きてる時代が違います。

冒頭の営業マンの彼も洋菓子業界は完全に時代遅れとはっきり言います。24歳の若者から見た洋菓子業界は完全に時代遅れに映るのが現実なのです。しかしこれは人類の文明の進化から見たら正常な現象なのでしょう。人類の進化論から考えれば、若者は年寄りの理解を超えるほど時代を先取っていかなければならないし、むしろ年寄りから「今どきの若者は…」と言われなければならないのかもしれません。逆に年寄りに理解されるような若者は、新しい時代に対応できてないということがいえますね。

ボクもこれからどんどん加齢と共に成長曲線は鈍化していくだろうし、体力も記憶力もどんどん落ちていくでしょう。しかし若者の時代の先取りを阻害するような老害的存在にはならないように、そしてなんとか優秀な若者に負けないおぢさんでありたいと思いました。

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