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出汁割とプロポーズ

2年ほど前の冬のこと、私と当時の彼氏(現在の夫)は、朝から赤羽の丸健水産へ向かいました。

丸健水産は昔からある小さなおでん屋さん。おでんはもちろん、ワンカップにおでんの出汁を注いで七味を振り入れた「出汁割」がおいしいことは酒飲みの間で有名です。

私は彼氏より一足先に丸健水産デビューして出汁割の旨さに感激したので、飲み仲間でもある彼氏に出汁割を布教すべく、丸健水産に連れ出したというわけです。

丸健水産は小さいお店なので、入店までに結構並ぶ必要があります。寒いなか並んだあとのおでんと日本酒は最高!

これはまだ日本酒に出汁を入れる前の状態。おでんお任せ5品とワンカップで1000円くらいの神価格!

日本酒が残り1/3くらいになったところで、店員さんにお願いして出汁を注いでもらいます。

熱々の出汁と七味を入れて出汁割の完成!

出汁割は酒の旨みにおでんの具材たちから出た旨みが合わさって旨みがカンストしているので、飲んだらアホみたいな顔になって幸せを噛み締めることしかできません。

日本はユネスコの無形文化遺産に書道を申請しているようですが、その前に出汁割を申請するべきだと思いますね(出汁割過激派)。

そんな出汁割の旨さに2人で感動しつつ、出汁割を飲みつつ、おでんのお皿に残った出汁を啜っていると、彼氏が突然言いました。

「ほおずきちゃん、結婚して。」

えええ!ここでプロポーズ?!
いや、お付き合いを始めるときに「将来を見据えたお付き合いにしようと思います」とは言ってもらっていたけれど。

それでもはっきり「結婚」と言ってもらったのは初めてだったので、私はうれしいやら恥ずかしいやらで動揺しました(それでも手にはしっかりワンカップを握りしめていた)。

動揺しすぎていたからか、何とお返事したのか覚えていません。ただ、結婚の申し入れを承諾したことだけは確かです。

夫がどうして丸健水産でプロポーズ(?)してくれたのか明確には分かりませんが、おそらく酒飲みとして「一緒に出汁割とおでんを楽しめる」というところにピンときたのでしょう。

プロポーズ(?)のあとも2人でワンカップに残った出汁割を飲みながら、出汁と酒が織りなす旨みを堪能しました。

あれから約2年。私たちは夫婦兼飲み仲間として、今でも一緒にお酒を楽しんでいます。

丸健水産にも、もう一度行きました。1000円くらいのおでんと出汁割で世界一の幸せ者になれる私たちは、やはり結婚して正解だったのだと思います。

これからも夫と2人で酒飲みライフを楽しんでいけますように!

#いい時間とお酒

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