アンジュルム『輪廻転生〜ANGERME Past, Present & Future〜』Disc1 全力レビュー
笑う。アンジュルムが3年ぶりにリリースしたニューアルバム『輪廻転生〜ANGERME Past, Present & Future〜』が驚くほど名盤だった。
3年ぶりということもあり、貯まりに貯まったシングル曲も全部入れてあるからデフォルトで3枚組になっているが、特筆すべきはDisc1の内容。みんな大好き『46億年LOVE』や最新曲『 恋はアッチャアッチャ』はもちろん、配信のみで売られていた『I 無双 Strong!』『夏将軍』も収録され、かつ新曲が9曲もあるという贅沢な作り。
で、この新曲9曲が凄い。ハロプロのアルバム曲にハズレ無しの法則が見事に9曲全てに当てはまるというパーフェクトゲームのような奇跡。もはや意味が分からない。この1枚だけで3千円の価値あるのに初回限定盤Aには2018年秋に行われたパシフィコ横浜でのコンサート『電光石火』がフルで収録され、舞台裏映像まで入ったBlue-rayが付いて8千円で売っている。
あまりにも安い。破格過ぎて心配になる。申し訳ないと思うレベル。という事で自分なりのアンジュルム『輪廻転生〜ANGERME Past, Present & Future〜』の書き下ろし新曲9曲を中心にDisc1の全曲全力レビュー。
1. I 無双 Strong!
最近ライブでやらなくて残念だが、やはり1曲目が似合う。まさにオープニングという雰囲気と壮大さ荘厳さ。イントロと共に逆光の中、足をクロスにしてアンジュルムが登場するだけでテンション爆上がり間違いなし。
2年前の『アプカミ』映像。みんな若い。
2. 赤いイヤホン
現在公演中のホールツアーの1曲目も飾っている新曲。タイトル通りにイヤホンやヘッドホンで聴くのをお薦めしたくなる音のギミックに溢れているのが特徴。サイレン音のサンプリングも多用していて、左右に音を振り分けて行ったり来たりさせている感じが、歌詞や曲の世界観そのものとも一体となっていて良いばかりか、ライブになった時のダンスのエゲツなさがまた凄い。全員で統一された赤い衣装も含めて【強い!】と圧倒される。
『ハロ!ステ』でライブ映像が公開されているので必見。
3. タデ食う虫もLike it!
誰でも何でもそうだけど、当て書きというのは対象の個性や特徴が表現しやすいが、まさに「十人十色、好きなら問題ない」という個性派集団アンジュルムのポジティブな面が最大限に発揮されている曲。
またMVがオシャレ。
4. 夢見た 15年
こちらに関しては解説書いてあるので。
5. フラグをぶっ壊せ!
アルバム新曲。今回のアルバムは12人がユニットに分かれて歌う曲があり、この曲は竹内朱莉・室田瑞希・太田遥香・伊勢鈴蘭というアンジュルムのメインボーカル担当と新メンバー2人を組ませる異色なユニット。もう、それだけでも面白いのに作曲の宮永治郎はハロプロのロック系楽曲でギターやベースを多く担当している人だからか「シカゴかよ、ドゥービー・ブラザーズかよ」と言いたくなるウェストコースト・ロック感がイントロからエゲツない。またそれが4人の脳天気なキャラクターにもマッチしていてライブ映えも必至。早くライブで聴きたい。観たい。
リリイベでタケちゃんが言ってたが、途中のラップは太田遥香と伊勢鈴蘭パートだけ左右に一人ずつ振り分けられていて面白いのも聴きどころ。
6. 恋はアッチャアッチャ
こちらも解説を別で書いてあるので。
7. 帰りたくないな。
来た!今回のアルバム唯一にしてアンジュルムとしても久しぶりのつんく♂曲。あやちょ卒業に際して、つんく♂なりの贈る言葉として書き下ろされている。この曲、全ハロヲタは必聴して欲しい。
まるで6スマ時代の『天真爛漫』や『夕暮れ 恋の時間』に匹敵する甘酸っぱい女子中高生の青春ラブソング、なんだが歌詞がもう最近のアンジュルムの雰囲気とリンクしてしまうから聴いてて不意に泣きそうになる。
あやちょもリリイベでこの曲について「最近、アンジュルムで遊園地とか行った帰り道で『帰りたくないな。』と口ずさんでしまうくらい胸に響く。一番、心に刺さる曲」と言っていた。本当にそう思う。
アップフロントはつんく♂にこういう曲こそオーダーするべきだよ。もっと。ほんと。マジで。
あやちょのこの気持ちがそのまま歌詞になっている傑作。
8. いとし いとしと Say My Heart
なんとなくリック・アストリーとかを連想させる80年代ディスコって感じの曲。正統派な赤羽橋ファンクで自然と左右に体がグルーヴする。編曲、最初聴いた時は鈴木俊介だと思ったら平田祥一郎だったのは少し驚き。完全にモーニング娘。の『The 摩天楼ショー』の系譜に感じた。というか、こういうディスコチューンをアンジュルムが貰えるのが地味に嬉しい。
個人的にワウペダル使ったギターのエフェクト大好きなので、派手さは無い曲だけど凄く好きな曲のひとつ。
9. もう一歩
中島卓偉曲である。公演中のコンサートツアーでも披露されている曲だが、初日に聴いた瞬間から卓偉曲だなと思った。相変わらずシンプルなトラックと印象的なフレーズの繰り返しが特徴だが、そこに鈴木俊介のオシャレなスパイスが振りかけられている事で見事な赤羽橋ファンクへと昇華されている。好きだ、としか言いようがないライブ映えも完璧な曲。
卓偉的にはヘビーファンクだという事なんだが、最近「ファンク」の分類が細分化すごくてよく分らん。なんとなく印象としてはUKのファンクバンド・The Brand New Heaviesとかの雰囲気、ディープファンクぽい気もするがヘビーファンクとの違いは分からない。
まあ、難しいことは良いや。好きだ。
10. 人生、すなわちパンタ・レイ
古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスの「万物は流転する」という意味のパンタ・レイ。冒頭からヘラクレイトスの言葉をあやちょが引用朗読という幕開けは、完全にヒャダインこと前山田健一の十八番な手口だ。歌詞の言葉遊びとかも、ももクロとかに提供してきたお得意な要素も満載なのだが、それを渡辺宙明リスペクトかのような特撮のOP風アレンジで強引に赤羽橋ファンクにしてしまう鈴木俊介の手腕がエグい。
この曲がライブで披露されないまま、あやちょ卒業しちゃうのが残念でならない。武道館でやらない?やってくれないかなぁ。一度で良いから冒頭の大仰なナレーションをあやちょで聴きたいんだが。確実にライブで楽しい曲だと思うんだが。
しかしこのアルバムはライブ映えしそうなディスコ・ファンクナンバーが満載で素晴らしい。今までだったら、この辺の楽曲はモーニング娘。に行ってそうだったのを軒並みアンジュルムに貰えたのが、何度も言うが嬉しくて仕方ない。
あやちょ卒後のライブツアーは『万物流転』で良いんじゃね?そんで、この曲を中心にやってって欲しいわ。そんくらい好き。
11. 鏡の国のひねくれクイーン
中西香菜・上國料萌衣・笠原桃奈・川村文乃というガーリーな面子でお送りするこの曲は、ちょっとオールディーズっぽいアレンジになってて、サビなんかはツイストとか踊ってしまいそうな軽快さ。
ひねくれ女王とは誰なのか?意外とかわむーだったりしたら楽しい。
12. 今夜もステキに落ち着けない
勝田里奈・佐々木莉佳子・船木結という個性バラバラな3人だからか、ステキに落ち着けないというタイトルそのまま三者三様な圧をライブの観客に投げ付けてきそうな雰囲気の曲。『鏡の国のひねくれクィーン』同様にベースはオールディーズっぽいが、そこは中島卓偉曲。更にねちっこさが追加されている分、クセが強い。
ザ・ヴィーナスの『キッスは目にして!』的な小悪魔感が3人に凄く合っている。アンジュルムは誰が来ても一定以上のクオリティで歌えるし、クセもあるからユニット曲も個性的で良い。
13. 夏将軍
去年の夏のロッキンでの『夏将軍』は本当に楽しかった。湘南乃風のSHOCK EYEによる湘南乃風の曲のような、まさに「夏だぜ!タオル回すぜ!」というご機嫌な曲で、ソカをベースにアゲアゲなダンスナンバーになっているのだが、歌詞が完全に夏生まれの『夏将軍』和田彩花の事を歌っているせいでタオル回しながら何時も泣く。
強くてたくましくて
明るく大きくて
いつでもみんなを導くように燃えてる
焦げるほどの季節の
真ん中で輝く 最強の夏将軍
なんて言い歌詞を書くんだSHOCK EYE。
最後の武道館でも泣きながらタオルをブン回したい。
14. わたしの夢見た 15年
『夢見た 15年』を少しアレンジ加えて最後の歌詞をアレにしてみましたという、小手先感は満載の曲。なんだが、あやちょがソロで可憐に歌っているから良い曲だと思ってしまう。
フランスの小さなライブハウスのピアノ伴奏で、あやちょがちょっと高めの椅子に座りながら歌っている姿が目に浮かぶ。
15. 46億年LOVE
トリに相応しい最強のダンスナンバー。SMAPの『青いイナズマ』とかを作曲している林田健司が初めてハロプロに楽曲提供した記念碑的な曲。もう、流石としか言いようがない曲のクオリティに、キチンと鈴木俊介アレンジによる赤羽橋ファンク感は外さない手堅さ。そして「結局はラブでしょ」なんてパワーワードをサラリと紡ぐ児玉雨子の才能に戦慄が走る。
最強アンジュルムの象徴のような曲である。
総括
『輪廻転生〜ANGERME Past, Present & Future〜』は傑作だ。
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