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【宮本佳林 LIVE TOUR ~Karing~】「佳林、名乗って」と切望されたアイドルの第一歩

Zepp Tokyoに着いたのは開演から20分以上経っていた。それでも僕と同じように小雨の中を駆け足で会場に入る人がチラホラといた。みな、仕事終わりだろう。ドアを開けたフロアは超満員だった。

嗚呼、宮本佳林にZepp Tokyoは狭過ぎた。

スタッフの女性にドアを開けてもらいながら「頑張ってここから入って下さい!」とよく分からないエールも送られて、僕もその超満員に膨れ上がる観衆の一員となった。

後からセットリストを見ると、その段階で5曲ほど聴き逃していたようだった。ちょうどJuice=Juiceが演劇女子部で披露した曲を佳林ちゃんが歌っていた。その前の新曲2曲を聴く機会は何時になるだろう。そう、佳林ちゃん初めてのソロライブは、なんとこの日の為の新曲が7曲もあった。コピンク曲もあわせると9曲が佳林ちゃんの為だけの曲だ。それは全22曲の半分近くを占める。

佳林ちゃんソロライブと聞いた時は、まさかここまで全力でアップフロントが宮本佳林を「Juice=Juiceの宮本佳林」としてじゃなく一人のソロアイドルとして打ち出してくるとは思ってもみなかった。

アップフロントはヲタから何かというと「糞事務所」と揶揄されるが、ここ数年のタレントファーストぶりには目を見張るものがある。本当に女の子たちの意思を尊重して、体調や怪我などがあればちゃんと休ませ、卒業して別の道に進みたい気持ちがあればキチンと対応し、グループ活動とは別の可能性があれば支援も惜しまない。

その中でも宮本佳林という子はアップフロントとしても幼い頃から大切に育ててきたアイドルの一人だ。だが、彼女には苦労もさせてしまい、辛い気持ちも沢山味あわせてしまってきた。それでもめげずに素晴らしいアイドルとして成長してくれた宮本佳林のこの先の未来を考えた時に、アップフロントとしてこの宝物のような存在をどう広げていくか。

その答えが今回のソロライブなんだと理解した。

まだ佳林ちゃんがハロプロエッグ時代、静岡のローカル番組のイメージキャラクター・コピンクとして異例のソロ活動をしていた時、契約の問題なのか宮本佳林名義でクレジットされない事を不憫に思っていた若き(今でも若い)児玉雨子が、ならば曲名にと思いを込めた『カリーナノッテ』も、感慨深いとか通り越して全てが伏線だったと思えてくる。

新曲7曲には多くの制作陣が関わっていた。特筆すべきは松隈ケンタの名前があった事だろう。松隈さんといえば乗りに乗っているBiSHなどWACK系のサウンドプロデュースを一手に担っている人だ。wikiとか見返しても今までハロプロに関わった事は無いはずだが、ハロプロという枠に囚われずに可能性を広げたいというアップフロントの本気が伝わる人選だと思った。正直驚いた。特に本編最後の曲は完全にド直球の松隈サウンドで、そのままBiSHとかが歌っても違和感が無いくらいの曲だった。

それをハロプロど真ん中な宮本佳林が歌うというケミストリー。鳥肌。

忙しいスケジュールの中、突貫作業で作られた新曲とライブだったのだろう。佳林ちゃんは何度も豪快に歌詞を間違えて飛ばしていた。本人もMCで「スクリーンに映っている方が正しいから。途中で『全然違うこと歌ってる!』って気づいたけど気持ちが届けば良いから」と言っていた。でも、本当にそのとおりだと思った。

全力の宮本佳林にぶん殴られているように、全力で気持ちは伝わってきた。

ハロプロエッグの宮本佳林、コピンクとしての宮本佳林、アイドルに憧れていた宮本佳林、Juice=Juiceの宮本佳林、これからの宮本佳林。全部を詰め込んだ2時間は、ゴチャ混ぜの統一感の無さは有りつつも、全てが宮本佳林を構成しているんだと思わせてくれた。

「なんか私、卒業するみたい」

最後のMCで佳林ちゃんがポロッと口にしたが、本当にそんな雰囲気のライブだった。でも、なんか卒業するとかしないとか、もはや関係ない気もする。どこにいても宮本佳林は宮本佳林であって、肩書なんて些末なものでしかないんだと思う。

このライブツアーを終えた先の宮本佳林が楽しみで仕方ない。可能性しか感じない。そして誰か、僕の聴けなかった新曲のうちの『氷点下』っていう曲を聴かせて欲しい。山崎あおい作詞作曲だったらしいじゃん。僕の大好物じゃん。絶対いい曲じゃん。

平日開催じゃなきゃ大阪か名古屋行ってたわ。超行きたいわ。


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