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“トンチキ”なのはジャニーズだけじゃない! 「ハロプロ“トンチキ”ソングの世界」

テレビ朝日『関ジャム 完全燃SHOW』内での人気企画『ジャニーズ伝統トンチキ名曲』がMステに出張して、スペシャルメドレーを繰り広げる。

それは“ジャニーさんイズム”とも評される「確信犯のトンチキ」として作られた名曲の数々だが、「チョトマテクダサイ!」トンチキといえばハロプロも十八番にしているところだ。

ちなみに『チョトマテクダサイ!』はスマイレージの曲である。

ジャニーズが“ジャニーさんイズム”ならば、ハロプロには脈々と今も“つんく♂イズム”が根付いている。

そして20年以上続くハロプロのNO.1トンチキソングといえば、『THE マンパワー!!!』であろう。

2004年に創設されたばかりの楽天イーグルスの応援歌をハロプロが担当すると分かった時は、ヲタも色めきだったものだが、満を持して発表された曲には野球の“や”の字も入っていない。しかも、およそ応援歌には似つかわしくない不思議なリズムの奇妙な曲だった。

カップリングの『ラヴ&ピィ〜ス! HEROがやって来たっ。』の方が、素直に明るくノリノリな応援歌っぽい曲だ。

なのに何故かつんく♂とハロプロ首脳陣は、この『THE マンパワー!!!』を激推しした。これにはヲタは勿論、楽天側も「ポカーン」である。イカれてんのか?と思った。

思ったが、つんく♂はいまだに『THE マンパワー!!!』が大好きらしい。そして、いまでは僕らハロヲタも『THE マンパワー!!!』が大好きだ。「これが洗脳なのか?」分からない感覚ではあるが、ジャニーズに流れる血脈とハロプロに流れる血脈は根っこの部分で繋がっているんだと思うのだ。

そんなことで、ハロプロに数多ある“トンチキ”ソングの中でも2010年頃から2020年までの新し目のものを何曲か紹介したい。ジャニヲタの人たちも是非この機会にハロプロ“トンチキ”に触れて貰えれば嬉しい。

■モーニング娘。

2010年以降は楽曲の路線がEDMだったりフォーメーションダンスを主軸にしていくことで「カッコよさ」「クールさ」をコンセプトにしていって、なかなか“トンチキ”な曲とは縁が無くなった。

そんな中でも印象的な曲を紹介したい。

『ピョコピョコ ウルトラ』

9期10期が加入して、フレッシュになったモーニング娘。だが、5期6期8期との年齢差は10個ちかく広がった。かなり歪な年齢構成の中で、フレッシュさをアピールする為に作られた曲が『ピョコピョコ ウルトラ』だ。

お姉さんチームはザワついた「今さらこんな衣装ではしゃぐの?」
ヲタクもザワついた「いくら若い子だからって、ふざけてんの?」

結局、CDの売り上げは低迷。なかなか評価は低い曲だった。

が、冷静に聴いて欲しい。滅茶苦茶いい曲だよ。リズムもメロディも当時では新しい試みもしていて、この曲があったから次の『恋愛ハンター』というダブステップを導入した革新的な楽曲が誕生したと思っている。

そして、その後のEDM路線へ繋がる、まさに転換期の曲だったのだ。

あと単純にまだ子供な9期10期が可愛い。10年経った今、またやって欲しいと思っているヲタは少なくないだろう。

『TIKI BUN』

タイトルも意味不明だが、歌詞は更に難解この上ない不条理な言葉が羅列している。「チキブン」とは何ぞや?問われたならば、僕はこう答える。

「チキンな気分」つまり自分のなかにある「弱気」を表す言葉である。

「今日はいいか」と甘い自分に
TIKI BUN TIKI BUN
「私なんか」と親に八つ当たり
TIKI BUN TIKI BUN

そう歌われるように、頭の中にいるもう一人の自分が「このチキン野郎が!チキン野郎!」と罵っているのだ。

と勝手に解釈している(100%曲解である)

ちなみに『TIKI BUN』には、ハロヲタが選ぶ「つんく♂の名言100選」にノミネート確実な歌詞が出てくる。

寝不足は
寝るしかない

もはや禅問答である。大好きだ。

■Berryz工房

デビュー当時からハロプロ“トンチキ”ソングを一手に担ってきたのが彼女たち。どんなにふざけた曲も、ベリが歌うとカッコよく思ってしまうのは、彼女たちの表現力、歌のうまさ、ダンスのうまさが説得力としてあったからだろう。

『cha cha SING』

2012年から2014年あたりはハロプロ全体でチャレンジングな楽曲、チャレンジングな企画が多くあった。ちょうど事務所内の制作体制も変わり、現在の社長である西口さんや音楽制作のトップにいる橋本さんがハロプロに復帰してきた。

お二人ともノリが軽く、面白いことがしたい人たちだったから、この頃から鎖国状態だったハロプロが外部のアイドルと対バンをしたり、フェスへも積極的に参加するようになった。

そんな時に出会った曲がこの『cha cha SING』だ。この曲はもともとタイの超有名人トンチャイ・メーキンタイの『ROW MAH SING』という曲のカバーだ。なぜ、タイの曲のカバー?と思うが、聴いたらノリがいいし楽しい。

まさにワイワイ騒ぐBerryz工房にピッタリという曲だった。

MVでも悪ノリは広がり、お台場のヴィーナスフォートを貸し切ってフラッシュモブ撮影なんてのもやたったりしている。これが超楽しかった。以来、ライブやイベントで『cha cha SING』は大人気だ。

ハロヲタが集まっている場所で、この曲がかかったら勝手にフラッシュモブが始まること間違いなしだと断言できる。まさに「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」という曲だ。

『普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?』

実際にアイドル生活10年続けてきたBerryz工房に「アイドル10年やってらんないでしょ」と言わせるのが、まず凄いと思う。ヲタク、タイトル見てドキッ!更に歌詞を見て「ドキドキッ!グサッ!」と叩きのめされる。

アイドル10年やっちまったんだよ
バイト感覚じゃ続かないから
土日も全部ささげて来たよ
好きな事だって仕事となりゃ別腹だよ

僕たちは、彼女を無暗に消費してしまっていたんじゃないだろうか?と胸が痛くなる。10代の多感な時期を大切に過ごす彼女たちに無遠慮で酷い言葉を投げかけてはいなかっただろうか?と自己批判したくなる。

そして、その上で「10年も続けてくれてありがとう」と感謝の気持ちでいっぱいになるのだ。つんく♂は「この状況、普通じゃないからな!」と僕らに釘を刺したかったのだろうか。

真意は分からないが、とても良い曲なのは間違いない。

■℃-ute

℃-uteはBerryz工房とは対照的に正統派に位置するグループになった。必然的に「クール」だったり「セクシー」な路線を基軸に活動をしだす。それでも、たまに「ん?」となる曲が来るから面白い。しかも、基本カッコいい曲なんだが、よくよく聴くと変じゃない?という曲が彼女たちには多い。

『Danceでバコーン!』

『Danceでバコーン!』は℃-uteの代表曲でもある。ジャニーズの曲でもそうだろうが、トンチキソングってヲタクにとってはキャッチーな曲のことが多い。

まず「バコーン」ってなんだよ、卑猥だな。と思われがちだが、これは諸説なるのだけど、つんく♂が「爆音」を勢い出すイメージで「バコーン」と崩して表記したという説がある。

ハロプロあるあるの「言葉を崩して歌いがち」のひとつだろう。

また、この曲にも「つんく♂の名言100選」に選ばれるフレーズがある。

帰りにうどん食べてくわ
明日が待ってるもん!

℃-uteヲタは勿論、ハロヲタはこの曲リリース以来、ライブ後やイベント後にうどんを食べて帰りがちになった(ハロプロあるある)。

『The Power』

マツコ・デラックスから「バリエステ」と評される曲だ。普通、こういう曲はベリに振り分けられることが多かった。どう考えてもBerryz工房だろ、と誰もが思ったが、ぁまのじゃくなアップフロント(及び、つんく♂)は、あえて℃-uteに歌わせる。

だが全然、路線と違うから、受け取り手のヲタクは戸惑うばかり。

とても実力があって仕事バリバリな敏腕彼氏を持っている女の子なのだが、仕事もいいけど、それで私を疎かにしたらどうなるか分かってんだろな?と釘を刺している歌だ。

太陽に手が届く程
出世したって良いけれど
私の事泣かした日には
どん底まで付き合わせるから

勝手に出世するのは構わんが、私が一番だということ忘れるな、という結構な我がまま。こわっ。

■スマイレージ

2010年にメジャーデビューした彼女たちは「日本一スカートの短いアイドル」というキャッチコピーだった。なので、いつもスカートは短いし、『ショートカット』という曲が出来れば強制的に髪を切らされていた。

今のご時世なら「搾取だ」「パワハラだ」と問題になりそうなものだけど、それでもデビューから一気にアイドル界を席巻するようになる。やはり圧倒的にビジュアルがよく、かわいいというのは正義になる。

『恋にBooing ブー!』 

なぜ、こんな可愛い子たちに豚鼻を付けさせるんだろうか? と発表当時は結構な非難があった。そしてメンバーたちも嫌がっていた(らしい)。

「らしい」と書くのは、僕がこの頃はハロプロから離れていたからだ。当時のことは後追いで知った話なので、実際の温度感はわからない。だが、この曲も今ではライブで人気の曲である。

ハロプロには他のアイドルシーンにはある「MIX」というヲタ芸(もはやヲタ芸自体が滅んでいる)が存在しない。だが、この曲がリリースされた頃はハロプロにも局地的にMIXが発生していた。僕は、そのノリが嫌だった。曲を邪魔する行為が大嫌いだった。

そしてそんな感情はハロプロ全体でも持っていたものだったのだろう。じわりじわりとMIX文化は淘汰され、いまや完全に駆逐された。

しかし、そんな中で唯一残っているMIXが『恋にBooing ブー!』のアウトロで発生する「トンカツMIX」だ。

トンカツ トンカツ 食べたいな
トンカツ トンカツ 食べたいな
キャベツにご飯 お代わり自由
ヒレカツ ロース どっちかな? ブー!

なぜか、これだけはいまだに残っている。そして、みな楽しく叫んでいる。

『ヤッタルチャン』

2期メンバーが定着して、個性も出てきたなかで一番地味だった中西香菜をフィーチャー。関西弁の彼女の特性をいかし、全国のヤッタルチャンに向けて演説をするところから始まる曲だ。

だが、まず「ヤッタルチャン」って何よ?というのは最後まで分からない。なんとなく「考えるな、感じろ」のブルース・リー精神でいえば「元気で前向きな人」ということなのかなと思う。

あと、これもハロプロあるあるで「セリフから始まりがち」っていうのがある。この曲もヲタのコールが独特だ。

世の中な なんやかんや言うてもな
やるしかないねん(ヲタ「そうだー!」)

と中西香菜の演説に対して合いの手を入れる。それが楽しい。

■アンジュルム

2014年にスマイレージからアンジュルムへ改名。生まれ変わったアンジュルムは「強い女性像」というのが何時しかコンセプトのようになっていった。それは初代リーダー和田彩花のキャラクターに拠るところは大きかった。

基本的にはアッパーで「強気」な曲の宝庫なのだが、一曲際立ってトンチキな楽曲がある。

『恋はアッチャアッチャ』

突然のインドである。完全にインド映画、ボリウッドのノリである。「アッチャアッチャ」とは何ぞや?という引っかかりもハロプロ“トンチキ”らしいのだが、この作詞をしたのはつんく♂ではなく児玉雨子だ。

彼女は2010年代から20年代のハロプロ楽曲を担う若い才能である。天才的な作詞能力と反骨精神で、お偉いさん方にも食って掛かる強さがある。今のハロプロにはそんな若い作家(しかも女性の)が沢山いる。そして、等身大の女性像を描いているのが素晴らしいのだ。

アッチャアッチャの考察はnoteにまとめたから読んでもらいたい。

さて、この曲には別のMVがある。それが本当にイカれている。

Berryz工房の『cha cha SING』を更に悪ふざけしたMVで、アンジュルムメンバーではなく謎のおじさんが全編に渡って歌い踊っている。意味が分からない。アップフロントが、ただただ作りたかったから作ったという完全にファン置いてけぼりの悪ふざけだ。

だが、それがいい。こういうノリを忘れたらハロプロは終わりだよ。

『46億年LOVE』

ジャニヲタへの波及ということも考えた“トンチキ”ソングといえば、外せないのがこの曲。なんと作曲が林田健司さん。SMAP『青いイナズマ』『君色思い』などなど多くのジャニーズ曲を作り出している方がハロプロに初めて楽曲提供したのが、この曲だ。

こちらも作詞は児玉雨子。とてもキャッチーな歌詞をキャッチーなディスコサウンド(ハロプロでは「赤羽橋ファンク」という)に乗せて、まさにノリノリな大人気曲となっている。

MVもとてもハロプロ味のある「キラキラトンチキ」感満載で、恥ずかしいくらいダサい。だが、それがいい。

結局はラブでしょ

最近のハロプロにおける名パンチラインである。

※『46億年LOVE』は12月26日に追加

■Juice=Juice

°C-ute解散後に歌、ダンス最強を掲げているのがJuice=Juiceだ。とにかくメンバー全員が歌うまい。そしてダンスもうまい。だからカッコいい曲もしっとり聴かせるバラードも、なんだってこなせる完璧超人のようなグループ。

だけど、ハロプロはそんなJuice=Juiceにもトンチキをさせる。

『地団駄ダンス』

急に法被着て「地団太 地団太 地団太 どんどん」とか言われても、どう思ったらいいのよ?と発表当時は個人的に観てらんなかった。この子たちは、こういう曲やる必要ないんじゃないの?なんかスベッてない?大丈夫?

と共感性羞恥のようなものを勝手に感じてしまった。

卒業した佳林ちゃんも、当時は戸惑っていたようだ。そらそうだ。

『ポップミュージック』

緊急事態宣言発令直前に発表されたこの曲は、とても能天気でバカな曲である。この曲、同じ事務所の大先輩であるKANさんのカバーである。後でまた出てくるが、アップフロントはKANの曲をカバーさせがち。

いや、KANさんって『愛は勝つ』だけの人じゃないのよ。今でも精力的に変な曲とか沢山作ってライブもバリバリやってるのよ。

で、この曲が有線とかでヘビーローテーションされて、トイレットペーパーやマスクの買い占めが横行していたドラッグストアなんかでよく流れていた。そこで働いていた人たちが、このただただ能天気な曲に救われたとか救われなかったとかいう話を聞く。

ちゅるちゅる ぷにゅぷにゅ
君のタピオカミルクティー

ってなんだよ。大好き。

■こぶしファクトリー

2015年に結成されたグループだが、今年2020年に惜しまれながら解散してしまった。ハロプロでも「歌」に完全特化していたグループで、そのスキルはJuice=Juiceも凌ぐレベル。解散は本当に勿体ないのだが、そんなスキルメンバーたちにアップフロントはトンチキな曲ばかり歌わせていた。

『ドスコイ!ケンキョにダイタン』

デビュー曲が「相撲」をテーマのアイドルとか、意味が分からない。だが「なぜ、相撲だったのか?」を突っ込むのも野暮なのかもしれない。そこに相撲があったからテーマにしたのだろう。

振りも相撲に絡んでいて、間奏では実際にメンバー同士で相撲を取る。

ドスコイ!謙虚に大胆
鯔背(イナセ)だね

ってどういう意味?

『桜ナイトフィーバー』

初期こぶしの出すシングルのほとんどが“トンチキ”ソングだったイメージがある。絶対に毎回なにか一個設定を乗せて楽曲が作られていた。そんな中でこの『桜ナイトフィーバー』は一風変わった楽曲である。

それもそのはずで、これはJuice=Juice『ポップミュージック』同様にKANさんのカバー曲になる。アレンジをダンス☆マンが担当して、陽気なディスコサウンドになっていて春になるとよく歌われる。

この曲の面白いところは、主人公が「桜の木」だというところだ。

普通、桜がテーマだと失恋や別れ、新しい出会いみたいな歌が多い。そこを敢えて、そんな浮かれた人間たちを見降ろしている桜の木の気持ちを歌うという目線がすごい。

夜はライトアップ ライトアップ 照らされて
誰彼お酒飲んで騒ぐ
これってどうなんでしょう?
いかがなものでしょう?
ぼくらだって イキモノなんだ 夜は眠りたい

そうだよなぁ。

■つばきファクトリー

つばきはこぶしの姉妹グループのようなものだ。そして、イメージも真逆である。とても可憐で清楚、まさにつばきの花のような正統派なグループになっている。だけど、そこはハロプロ。

彼女たちにもトンチキの洗礼はデビュー早々にあった。

『就活センセーション』

アイドルがセーラー服とか学生服で歌い踊ることはよくある話だが、リクルートスーツで歌う躍る姿は初めて見た。

なぜ就職活動の歌を作ろうと思ったのか? そしてなぜそれをデビュー当時のつばきファクトリーに歌わせたのか? 全く年齢的にも就職には遠い彼女たちが「よろしくお願いいたします」「御社で精いっぱい尽くします」とお辞儀をする振付けが、異常で異様で面白かった。

そしてこの曲でレコード大賞の最優秀新人賞を獲ってしまう。

■BEYOOOOONDS

BEYOOOOONDSはハロプロで一番新しいグループだ。そのコンセプトから変わっていて、寸劇を楽曲に取り入れてライブの構成なんかも、ほとんどミュージカルのようなノリのグループだ。

だから必然的に“トンチキ”が多くなる。制作陣も悪ノリをどんどんする。

『眼鏡の男の子』

この曲が初披露された時、場内はザワついた。今から何がはじまるんだ?とヲタク全員が身構えて見守った。

なにせ開始から2分近く曲が始まらずに寸劇をしているのだ。初見では意味が分からない。清野桃々姫が「名前も知らぬ眼鏡の男の子!」と前向上をあげると同時にイントロがはじまる。

これは、とある電車通学のひとコマを切り取った、眼鏡の男の子に恋する女の子たちの物語なのだ。更にすごいのが、この曲には前日譚の『文化祭実行委員長の恋』という曲やアナザーストーリーの『元年バンジージャンプ』『恋のおスウィング』という曲がある。この4曲で『眼鏡の男の子』の世界観が存分に味わえるのだ。

BEYOOOOONDSは、とにかくライブを観てほしいと言いたくなる。この考え抜かれた悪ふざけの構成は、1stライブにして至高であった。

『ニッポンノD・N・A!』

90年代から00年代にかけて世の中を席巻していたのが小室サウンドだ。そんな小室サウンドを完全にコピーにインスパイアされ、オマージュした楽曲がこの『ニッポンノD・N・A!』である。

聴いたらすぐにピンとくる。ギリギリアウトな曲だ。

これがBEYOOOOONDSのデビューシングルの1曲であるというのが、アップフロントふざけている。しかも、これに反応したのがDJ KOOなのだ。娘さんが重度のハロヲタなので偶然耳にしてTwitterで宣伝してくれた。

以来、DJ KOOとハロプロはズブズブの関係である。

そして、ジャニヲタの人たちにも聴きどころがある。なんとこの曲、途中でV6のバラエティ番組『学校へ行こう!』の人気コーナー「未成年の主張」を完全にパロっている。校舎の屋上からメンバーが「みんなに聞いて欲しいことがあるのー!」と叫び、校庭に居る子たちが「なーにー?」と聞き返すという掛け合いをする。

ライブでは毎回、このくだりを色んなメンバーが担当して、それは楽しいことになっている。

『Go Waist』

この曲もBEYOOOOONDSのデビュー曲である。70年代に人気を博したヴィレッジ・ピープルというアメリカのグループがあった。西城秀樹の『ヤングマン』の元歌『Y.M.C.A.』などが有名だが、この『Go Waist』もヴィレッジ・ピープルの『Go West』をカバーアレンジした曲だ。

西部開拓時代の「西へ行け!」という開拓精神を「痩せたい!」という現代女子の悩みに進化させるという荒業。

そしてエアロビのダンスや「ビリーズブートキャンプ」パロディまで交えた振りは会場のヲタクも巻き込んで、ステージも客席も関係なくライブが筋トレ会場へと変化する。

曲終わりに「おつかれさまでした!」と挨拶する曲というのも異色だ。

■ハロプロ研修生

ハロプロにもジャニーズのように育成機関がある。そして、ジャニーズのように研修生だけのライブやイベントがあったりする。そんな時に披露される曲で研修生オリジナルの楽曲が沢山あり、結構な数をつんく♂が担っている。

『おへその国からこんにちは』

研修生オリジナル曲の中でも断トツ人気かつ断トツで“トンチキ”な曲がこれだ。「おへその国とはなんぞや?」とまず誰もが思う。それがどこにあって、どんな素晴らしい都なのか、誰にも分からない。

だが、「おへその国からこんにちは!」と笑顔で歌う彼女たちを観ていると「ああそうか、おへその国はここにあった」と何故か納得し、そして満面の笑みでペンライトを振るのだった。

たぶん、ここ10年で一番のトンチキソングがこれだろう。最高だ。

■まとめ

さて、最初は10曲ぐらいに絞ってみようと思ったのだが、これだけに絞るので限界だった。まだまだこれくらいじゃない。未だ見ぬトンチキがハロプロには沢山ある。2010年以降の曲に絞ったけれど、2000年代もイカれたトンチキソングは山ほどある。最初に紹介した『THE マンパワー!!!』も代表作だが、もう一曲最後に紹介しておこう。

月島きらり『バラライカ』だ。

モーニング娘。の久住小春がアニメの主人公・月島きらりとして発表したこの曲は一部のネットユーザーたちから玩具にされて、さまざまな替え歌が作られた。もしかしたら、オリジナルは知らないけれど、替え歌なら知っている人すらいるんじゃないだろうか。

トンチキの沼は深い。さあ、みんなも「トンチキやらないか?」

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