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徳川秀忠に学ぶアンジュルム二代目リーダー竹内朱莉の歩き方

何事も二代目というのは大変な苦労があるもので、特に初代がカリスマ性を持って治めてきた組織というのは後継者が難しい立場になりがちだ。歴史上でもそれは同じで、いまだに誤った印象のまま語られてしまっている人物がいる。

それが徳川秀忠だ。

あまりにも父である徳川家康が偉大すぎた為、何をしても比較され、何をしても家康の威光のおかげだろうと見なされてしまっている。

偉大なリーダーの後を継ぐ

ハロプロのアイドルグループ【アンジュルム】も10年という長い間、ひとりの偉大なリーダーのもとで活動を続けていた。そして今年の6月、その偉大で強烈なカリスマ性を持った絶対的リーダー和田彩花の卒業により、二代目リーダーとして竹内朱莉が就任した。

竹内朱莉、通称タケちゃん。またの名を“おでんくん”という。アイドル界イチ球体に近い風貌を持ち、普段はケラケラとよく笑う少し大雑把で楽天家というイメージがあるのだが、卒業公演の武道館では人目をはばからずに号泣し、将来の不安を爆発させる彼女の姿を見た。

【偉大なリーダーの後を継ぐ】これほど厳しいプレッシャーもないだろう。

では竹内朱莉が二代目アンジュルムのリーダーとして、どのように歩んでいけば良いのか?そのヒントが徳川秀忠にある。

徳川秀忠という人物のイメージは「大事な関ヶ原の戦いに遅刻して叱られた」みたいなレッテルが貼られ、地味だとか空気だとか言われがちである。だが250年以上続く江戸時代の礎を築いたのは家康ではなく秀忠だとも言われている。

徳川秀忠による江戸の大改革

「戦乱の世が終わり、太平の世の中にあっては知勇と文徳をもち 謙譲な人柄の秀忠が将軍にふさわしい」とは幼き頃から家康に仕えてきた大久保忠隣の言葉だ。その言葉の通り、秀忠は驕り高ぶること無く真面目に実直に次の時代への架け橋になるように様々な政策を進めていく。

日本史の教科書でも有名な【武家諸法度】や【禁中並公家諸法度】などは秀忠によって制定された大名や公家たちを統制する法律だ。更には長崎に出島を作り諸外国との貿易も幕府の目の届く範囲に留めさせ、自分の弟3人を尾張・紀伊・水戸へ分散させて御三家を作り、未来永劫に徳川家が絶えないよう努め、天皇家にまで娘を入内させて盤石の体勢を整えた。

あまりに先代・徳川家康のカリスマ性が強すぎる故に目立たないが、実は全ての基礎は秀忠によって作られたのだ。秀忠自身、家康を大いに尊敬してはいたが、政治的な観点では完全にドラスティックに改革を推し進めていった。

有名な政策に「江戸城の大改築」というのもある。家康の権威の象徴であり、江戸の守りの要となる江戸城を秀忠は、家康没後に天守閣含めて大幅に作り直した。戦乱の世には強固な城が必要だったが、戦争の無い時代には迷路のように入り組む砦も無用の長物どころか邪魔なだけ。シンプルな構造にする事で移動の効率化をはかり、より実用的な建物にしたという。

権威よりも実用性。秀忠らしい逸話だ。

家康は生前、秀忠にこう質問をした。
「私が死んだら世はどうなると思う?」
すると秀忠は
「乱れると思います」
そう即答したという。
しかし家康はそれを聞くと
「それが分かっているなら良い」
と満足そうに頷いた。

秀忠には自分の身の丈を理解し、やるべき事を的確に判断する力があると家康は確信したのだと思う。

未来へ紡ぐメッセージ

竹内朱莉もまた、自分の身の丈を(時に卑屈すぎるほど)理解している。であれば、どうしていくのがアンジュルムにとって良いか。リーダーだからといって、全てを背負い込む必要はない。頼れる同期も居る。素晴らしい参謀になるであろう新サブリーダーも居る。何より和田彩花からの魂を受け継いだ後輩たち自身が、自分たちで考えて行動する力を持っている。そして、更には竹内朱莉を尊敬してやまない新メンバーが加入した。

進むべき道さえ共有出来ていれば何も問題はない。竹内朱莉がブレる必要もない。

アンジュルムという素晴らしいグループが未来に向けて続いていく為に、そこに和田彩花の威光が邪魔ならばブチ壊す強さを。

「やりたいようにやれば良い」

和田彩花自身も、ことある毎に言っていた。礎を築き、未来の三代目へ絆ぐバトンを渡す事が二代目リーダーへ託された想いなんじゃないだろうか。

そして何年先になるか分からないが、笠原桃奈がリーダーとなるアンジュルムを見てみたいと夢想する。生まれながらの将軍、家光のように初代を敬愛する新リーダーが、二代目の作った時代を気持ち良いくらい爽快にブチ壊す様を見て「嗚呼、笠原桃奈こそナチュラル・ボーン・アンジュルムだ」と笑って呟きたい。

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