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D&D(ダンジョンズアンドドラゴンズ)リプレイ「お嬢様の恍惚」 第1-1話『バーバリアンお嬢様、登場!』(未完結)

//////////注意!!!///////本作はD&Dシナリオ「ファンデルヴァーの失われた鉱山」を基にしたリプレイです。ネタバレを含みます

私の名はレダニ=マーティオ
貴族だ

唐突ではあるが、貴く生まれたからには、下々のものを守る義務があると考えている
幸いにして聡明な頭脳と恵まれた体格、神をもひれ伏す美貌を与えられた
ブロンドに緑色の眼をしている。自分で言うのもなんだが、美しすぎて罪を背負っていると思う
この力を使わずして、なにが貴族だろう

もちろん武術は仕込まれている
武芸百般ではあるが、命のやり取りをするなら間合いが重要であるから、持ち歩くならグレイブだろう
折りたたんで隠せるのも気に入っている
鎧は着ない主義だ。戦士とはいえ女である
せっかくのドレスが台無しではないか。襲い来る矢など気づいて躱せばよいのだ

ドレスは青だ。貴族なのだから青だ。これは昔から決まっていることで、特に趣味というわけではない

話は変わるが、この街はネヴァーウィンターという
川の水が暖かく、冬がこないのだとか
ホントかよ?どんだけ熱いの?と思わなくもないが、人を集めるには多少の大げさな表現もやむを得ないのだろう
30年前、北のホートナウ山が噴火して一時は壊滅したそうだが、今は想像もつかないほどに活気がある
一度壊れた街は使いやすく整備される。悪いことばかりじゃない
しかし街の中にはまだ廃墟が残っており、オークやゴブリンがすみついているから、トラブルも多い
結構なことじゃないか。仕事には事欠かないということだ

私は今、酒場「座礁したリヴァイアサン亭」にいる。目的はもちろん、下々のことを知るためだ
壊れた船を改装したというオシャレスポットだ。オーナーは元海賊のひげ面イケメンである
転んでもただでは起きないというわけで、やり手にちがいない。もしかしてわざと座礁したのでは?と邪推してしまう
しかも、だ。宿屋が併設されており便利このうえない。朝から晩まで飲み明かしても、安全にベッドで眠れる
そして翌日も、というわけだ。なんてすばらしい仕組みなのだろう!
何日目かは覚えていないが、今日も風合いのある樽に腰をかけ、古いが丁寧に磨かれたカウンターで酒を飲む
もちろん、一杯目は麦をアレしたシュワシュワである。すぐに出てくる。昼から呑む酒は格別に美味い
気のせいだという人もいるが、気持ちよくなるために呑んでいるのだから、それでなにが悪いの?と思う

干し肉を1ポンドほど上品に平らげたところで、ふいに隣の男と目が合う
これはサービスよ、とばかりに軽くウインクすると、あわてて目をそらす
たくし上げた袖からのぞく筋肉をみて震えているから、たぶん筋肉フェチだ
違いの分かる男なんだろうが、貴族は簡単には落とせない。運の悪いことだ

身分はもちろん隠している
正体が知れてしまっては下々に気を遣わせてしまうだろう
護衛などいらない。自分のカラダは自分でまもることができる
ドレスはプライドにかけて品質の確かなものを着ているが、これを見ただけでは貴族だとはバレないはずだ

目的はあくまで情報収集である。酔ってはいるがもちろん忘れてはいない
ブドウをアレした血のように赤いシュワシュワを流し込みつつ聞き耳を立てると、ふと興味をひかれた
優しそうなハーフオークと戦士風の男が話している
どうやらトラブルのようだ

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