2020.07.25(sut)動物
すれ違っていく生物たちを嫌悪している訳ではないけれど、
わたしたちは別々の種族として干渉せず暮らしていきたい。
たとえばそのやわらかそうな毛並みも、
ときに従順で、ときに挑発的な瞳も、
薄桃色のてのひらや、実用的な牙も、
ヒトのそれ以上に愛らしいと到底思えない。
そもそもその手触りをよく知らない。
それなのに昨日、猫を飼う夢をみた。
痩せこけて汚れたちいさな猫だった。
餌をやり忘れていたから、せめてあと五分だけでもと二度寝。
そのやわらかさがどんなものだったのかやはり分かりやしなかった。
ヒトの肌のほとんど禿げたように見える薄い体毛の触りや、頭皮から沸き立つ匂い、
それもうまく思い描けないことを、シーツの上で笑った。
---
いただいたサポートは、毎月更新している《ふたりごと》をZINEとして制作する資金にさせていただきます。手に取れる形で、いつか読んでいただけますように。