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米国カレッジフットボールのマーチングバンド

フットボールという競技はアメリカでは凄い人気で、国民的娯楽と言えます。アメリカ人の日常会話で普通にフットボールの話題が出てきますが、私自身は基本的なルールも知らず、興味もないため、いまだにそうした彼らの日常会話についていけません。なので、アメリカの大学が参加して行われるカレッジフットボールが、どれほどの盛り上がりがあるのか、実際に足を運ぶまでわかりませんでした。

そんな中、公立高校の選択授業で吹奏楽を取っている娘が、学校経由で、地元州立大学のカレッジフットボールの試合応援をするマーチングバンドに、地元高校生が参加する特別イベントへの勧誘を受けました。地域に根差した州立大学のマーチングバンドは、日本でいう大学応援団に相当するのでしょうか。

マーチングバンドがない娘の高校からの参加者はたった二人でしたが、スポーツが盛んな高校では、マーチングバンドも本格的にやっているようで、スクールバスをチャーターし、10人以上もの生徒が片道2時間近くかけて、この大学主催のイベントに参加していました。そうした高校は、マーチングバンド用の楽器をはじめ、制服や帽子もしっかり揃っています。漫画「ベルサイユのばら」で、オスカルやアンドレが着ているような制服です。

州立大学の学生とコラボしたカレッジフットボールゲームのバンド参加は、彼らにとって晴れ舞台なのかもしれません。高校生たちは、大学のマーチングバンドやチアリーダーと一緒に、スタジアムへの向かうパレードに並んで行進し、さらにハーフタイムはフィールドで一緒に演奏しました。

カレッジフットボールの根強い人気は、こうした地元密着型の州立大学と地元コミュニティとの地道な交流の元に成り立っているのだと認識しました。高校生にとって、こうしたカレッジフットボールの試合にマーチングバンドの一員として参加することは、大学を身近に感じる絶好の機会でもあると思いました。大学生団員の自己紹介を聞くと、何を専攻しているかわかりますし、ランチタイムのバーベキューでは、わいわいしゃべりながら、大学生が普段、どんな生活しているか垣間見ることができます。漠然としか思い描けなかった地元の州立大学も、そして大学生活も、興味のあるイベントに参加することで、具体的イメージがわくようになったようです。

一般に、アメリカの大学アドミッションオフィスは、多くの受験者を獲得するため、各高校を営業に回ったり、大学入試フェアでブースを設けて宣伝したりします。でも、高校生側からすると、それだけで大学との距離が縮まることはあまりないようです。自分は大学で何を学びたいのか、どんな大学生活を送りたいのかなど、真剣に考えるきっかけを与えてくれるわけではないからです。だからこそ、自分が興味あることを切り口に大学に入り込み、そこから大学を見つめるのは意義あることなのではないかと、娘の目の輝きを見て思いました。

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