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アメリカの公立高校の現場では今-「オンライン学習」が始まって-

 娘が通う米国東海岸のカウンティの公立学校では、3月14日、突然の学校閉鎖を発表した。それから2週間の特別休校を経た後、オンライン学習へ切り替わって早くも4週目が終わろうとしている。その間、春休みもあったが、急きょ変更して短くなり、実質3日間のみだった。今さら春休みと言われても、大して変わらないし、そもそも春休みがあったことすら気づかなかった人も多かったのではないか。実際、春休みなのにZoom授業をしていた先生もいた。今週(4月20日)から最終学期である四学期が始まり、6月中旬に学年末を迎える予定になっている。

 オンライン学習が始動した最初の1週間は、教師自身のオンライン学習のトレーニング、そして、先生と生徒とが、オンライン上で連絡を取り合うことが主な目的だった。その後、わずか2週間しか残っていない三学期だったが、教育委員会からの指示で、美術なども含むすべての科目において1、2個の課題が与えられ、生徒はそれを提出することで終えることになった。そして今週(4月20日)から、最終学期である四学期が始まり、どの科目も1週間単位に教師が生徒に課題を与え、それを提出する方式でオンライン学習が進んでいる。

 先生はオフィス・アワーを設け、その間に質問や相談のある生徒は、先生にオンラインでアクセスすることになっている。また、午前中は教師の授業準備時間で、Zoom授業他は午後から行うことになっている。実際には、Zoomを介して、授業やディスカッション、グループワークなどインターアクティブな学習をやってのける先生がいる一方で、事前に録画したビデオをポストする先生もいる。それができない/やらない先生は、課題と締切日をポストして、自学自習を促している。実にさまざまである。

 カウンティのウェブサイトによると、教育委員会では今、オンライン学習を軌道に乗せることに加え、評価基準をどう定め、成績をどうつけるかが問題になっている。そのため、他の公立学校区、コミュニティ・カレッジ、大学、さまざまなステークホルダー等から意見を伺い、討議を行った結果、3学期はこれまでと同じABC段階別評価としたが、最終学期である4学期は、”Pass / Incomplete”ないし”Credit / No Credit”にすると決定した。そして教育委員会は現在、教師や保護者、生徒、組合リーダーといったステークホルダーと共に、この新しい評価システムへの円滑な移行と実行に向け、作業を進めている。

 評価基準と成績が重要な問題となる背景に、アメリカの場合、大学受験の際、受験者が高校時代にどのような科目を履修し、その結果、どのような成績(Grade Point Average; GPA)を残したかが重視される。また高校では、大学の一般教養レベル相当の授業と試験を提供するAP(Advanced Placement)科目を提供している。その科目を受講し、優秀な成績を修めると、大学によってはそれを単位として認められ、大学入学後に受講するコマ数が少なく済み、授業料と在学期間を浮かすことができる。入学金や授業料がとてつもなく高いアメリカでは、親にとっても子にとっても、高校の成績が大切になってくる。

 三学期目は、学校閉鎖になるまで行われていた対面教育の延長で、オンライン学習が行われ、その時にあった評価を元にオンライン教育が補完的な評価となった。しかし、新しい学期が始まり、オンライン学習が教育の柱となった今、学びをどう提供し、生徒を評価するか、学校の教師、生徒、家庭での試行錯誤が続いている。

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