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なぜ僕らは歌詞を聴きとれないのに洋楽を聴き続けるのか、その理由

前口上

きっかけはこれ

みんな大好きTwitter(現・X)のまとめサービス、Togetter(トゥギャッター)に上がったまとめです。
内容は、「サブスクの再生回数ランキングを見てみると、洋楽がTop100に一曲も無く、Top1000に広げてみても70曲弱。その内訳も5年以上前の曲が多い。さすがにこれはいかがなものか(意訳)」というものです。

自分自身、体の構成要素の約80%が洋楽でできているので、洋楽がスルーされている現状は寂しいものを感じます。

今回はそんな話です。

洋楽の語られ方

この手のまとめでよく見るご意見トップ5

洋楽に関する投稿、まとめは、定期不定期に見かけます。
それに対するコメントを拾っていくと、以下のようなご意見が多くみられます。

①洋楽、世界といってもたくさんの国があるはずなのに、いつもアメリカやイギリスの話ばかり
②「ガラパゴス」と言われようが、日本国内で音楽業界が十分回ってるんだからいいだろ
③わざわざ歌詞が聞き取れない洋楽を聴く必要がない
④別に「世界」と比べる必要はない
⑤YOASOBIの「アイドル」は世界で売れたぞ(←これに対するツッコミは後ほど)

こんなところでしょうか。
それでは、これからうなずいたり、反論したりしてみます。

①洋楽、世界といってもたくさんの国があるはずなのに、いつもアメリカやイギリスの話ばかり

これはおっしゃる通りです。
「洋楽の傾向は…」と言っても、想定するのは大抵アメリカやイギリスの音楽。そして米と英では売れ筋や傾向がまた違います。
だから無理やり洋楽とまとめるのは無理がある、その通りです。

更には。
スペイン語曲は、本国のみならず南米でガンガン聴かれていることを考えると世界的にはメインストリームの一つと考えるべきです。
また、セールス的には小さいかもしれませんが、ドイツ語曲やフィン語(フィンランド語)曲などは、それぞれ自国のチャートの大半を占めていて存在感があります。

なので、米英だけで洋楽を語るのは乱暴、というのはその通りです。

注:まあ、そうは言っても、日本が多大なる影響を受けてきたのは米英の音楽ですし、「世界は広いんだぞ」と言ってばかりじゃ何も語れないので、本記事でも「洋楽=アメリカ、イギリス、およびそこで流行っている音楽」として語っていきたいと思います。

②「ガラパゴス」と言われようが、日本国内で音楽業界が十分回ってるんだからいいだろ

個人的には以下の二つの理由で、Noと言います。

・もっと多様な音楽を聴きたい
これについては③のところで詳しく述べます。

・洋楽を聴く友達を増やしたい
同好の士が欲しいのは誰も同じはず。
リアルな友達で洋楽を聴く人が本当に少ない…

③わざわざ歌詞が聞き取れない洋楽を聴く必要がない

これに対しては、声を大にしてNoと言いたい。
本記事ではここに分量を割きたいと思います。

僕は洋楽を聴く方が多いですが、邦楽も聴きます。
なぜか。
理由は単純明快。
歌詞が聞き取れるかどうかを置いといても、それぞれに良さがあり、どちらかだけ聞いているだけじゃ満たされないから。

改めて言うまでもありませんが、洋楽と邦楽では売れる曲の傾向がだいぶ違います。
どう違うかは、人によってご意見が異なると思いますが、僕が思うのは以下。

〇洋楽はグルーブ重視(簡単に言うと体が動くか否か)、邦楽はメロディ重視

→「洋楽はリズム重視」という表現を見かけますが、僕はこれ少し違うと思ってます。「リズム重視」と書くと複雑なことをやっているように受け取られてしまいますが、トラップやドラムンベース以外は、シンプルな曲が多いです。


〇洋楽の方がメロディがシンプル

→特にサビ。洋楽はあっさり、邦楽はうねる場合が多い。
→邦楽では一番と二番で構成を変える曲が割と多く、「同じことの繰り返しをそんなに恐れなくていいのに」と思うこともしばしば。
→転調。これは日本のお家芸と言っていいほど。邦楽の一番の特徴と言っていいかもしれません。
一方、洋楽で転調する曲はあんまりありません。米英のミュージシャンには、転調の仕方が分からない人も結構いるのでは、と勝手に考えています。

〇使うコード数の違い

→別の記事でも触れましたが、邦楽の方が使用コード数が全体的に多い。また、複雑なコード進行の方が評価される傾向があります。

では、具体例を踏まえて。

まずは洋楽から↓

↑2024グラミーレコード賞ノミネート曲の中では一番好きな曲
曲の展開が変わる1:15あたりからでも聞いてみてください

↑20年近く前の曲ですが大好きな一曲
音色をガッツリ削ったこういう曲、最高です
邦楽ではここまで思い切った曲はあまり出会えない

↑超有名どころですが、いいものはイイ
これ、サビのフレーズに使っている音符は約7つ
シンプルでも名曲が作れる好例です

では、邦楽勢↓

↑筆者が「島唄」以上の名曲と考える至高の一曲
これぞ日本、これぞアジアな美しいメロディ

↑「ランランラララン」の所が特にこの歌の魅力だと思うのですが、海外だとプロデューサーからごっそり削られそうです

↑「僕はシンプルな曲の方が好き」と繰り返してはいますが、このくらい作りこまれていると聴き入ってしまいます

④別に「世界」と比べる必要はない

その通りです。
一方でBTSはじめK-POP勢に対してのきつい風当たりを見ると、「世界は気にしないといいつつ、気にしてるやん」とは思います。

⑤YOASOBIの「アイドル」は世界で売れたぞ

④と同じく、「海外で売れることを気にしてるのか気にしていないのか、どっちなんだ?」と思いますが。

前提として「アイドル」が売れたことに異論は挟みませんが、よく指摘されてる通り、日本の音楽市場がすでに大きな規模なので、日本で売れればワールドチャートで上位に入ります。
でもそれがアメリカ、イギリス等で受け入れられたか、というとそうではなく…

追:米津玄師「KICK BACK」はアメリカでゴールド認定されました。RockチャートでもTop40入り。これはなかなか凄い。

加えて。
「『アイドル』が世界で1位!」という煽り方を繰り返していたので、友人や家族は「『アイドル』って世界中で売れてるんでしょ!」と誤解していました。
現実として、「アイドル」は世界中では売れていません。
海外のチャートでトップ10に食い込んだのは、billboardのワールドチャートと、香港、台湾、シンガポールくらいです(それだけでも凄いとは思いますが)

まとめ

というわけで。
音楽の楽しみ方は人それぞれなので、「お前らも洋楽聴けよなあ」と絡む気はありません。
が、イチ洋楽好きとしては、「こっちにはこっちの良さがあるよ」と語り掛けたい気持ちはあります。

幸いなのは。
YouTubeやサブスクが広まったことによって、洋楽曲に出会うための手間がだいぶ省けるようになりました。
気になる曲はすぐにネットでチェックできます。
街中で聞いた気になる曲も、Shazamですぐに調べられるし。
いい時代になりました。

みんな違ってみんないい

「A〇ジャパン」のような無難な締めになってしまいますが、そう思います。

最後まで読んだ頂き、ありがとうございました。





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