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救わなかった

 類は友を呼ぶ。

 私の大学は規模が大きくて、本当にいろんな人がいる。たまたま同じクラスになった子のインスタをフォローしたら、「パパから貰ったベンツ今年5回しか乗らなかった…税金が…」とストーリーに載っけていたのには驚いた。次の日、よく見たら、その子はCOACHのジャケットを着ていた。「COACHって服を売ってるんだ…」と今でもその時の衝撃を忘れられない。 因みにその子はすごくいい子で、嫌味な感じとか全くしなかった。でも、なぜだか、仲良くはならなかった。私の周りの仲のいい子は、同じような高校出身の子。びっくりした。一年間かけて周りを見たら、仲良し五人組は全員、同じような高校出身なんだもの。笑っちゃう。お嬢様学校出身とか、海外の高校出身とか留学生とか、めちゃくちゃたくさんいるのに。これが類は友を呼ぶってやつなんだろうか。高校生の時に憧れた、「大学生になったらお金持ちなイケイケボーイを捕まえて、誕生日には貸切豪華クルーズ船で祝ってもらうんだ!!」という妄想は実現しないね、これは。自分がその地位まで登り詰めないと、イケイケボーイやCOACHガールとはお近づきになんてなれないのさ。

 実は、仲良し五人組のほかにも、もう一人友達ができた。その子もびっくり県立高校出身。わぁお。大学したての頃は、同じようなことで悩み、別のサークルを選んだけれど、それなりに頑張って、徐々に慣れていって、それぞれの場所でエンジョイできるようになった。そして二人で会うときは、近況報告したり、悩みを打ち明けたり、相談したり、旅行の計画を立てたりした。そして私は言ったのだ。「何があっても、〇〇ちゃんの味方だよ」と。これは本当はそんなことを言うべきではなかったのだ。〇〇ちゃんと二年間過ごして、私たちは段々と価値観がずれていった。人は変わるものだ。ある日〇〇ちゃんは私の倫理観からしたら、ありえないことをしでかした。私とあと何人かの親密な友達にしか話していない、大失態。

忠実に「何があっても、〇〇ちゃんの味方だよ」という言葉を守るのならば、〇〇ちゃんを、その大失態からどうやって救うべきか考えるべきだった。どうしてそんなことになってしまったのか、これからどうするべきか。だけど、私の頭からは、「類は友を呼ぶ」という言葉がこびりついて離れなかった。少し前から、何回か〇〇ちゃんの行動や発言に??と思うことが増えたこともあって、もう、彼女と友達でいたくないと思ってしまった。私の「類」にこんな人がいることが許せないと。悲しんだ。軽蔑した。怒った。

 結局、彼女とは連絡を取らなくなってしまった。色んな所にご飯に行ったり、旅行に行った思い出だけがキラキラ光っている。

 きっと、間違いを犯した時に、私は友達から見捨てられるだけで、誰も救ってはくれないのだろう。自分が彼女を救わなかったように。だって、「類は友を呼ぶ」から。

#小説 #大学生 #友達 #人間関係

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