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甘夏搾りながら思ったこと

鍬で小さな畑をうなり、
とれたての野菜を娘夫婦や孫と味わう。
腰が痛ぇ、と言いながらも
「これが楽しみでねぇ」と笑う。
そんなばあちゃん良くね?
すごく良いよ。なりてぇよ、そんなばあちゃん。
だーれも帰ってこないんじゃ
なれないけど。

自宅に1本の甘夏の木がある。
たった1本でもたくさんの実をつけ、
ご近所さんやお世話になっている人たちへおすそ分けしたり、
娘らに送ったりしている。
だんなが独自のルートで金に換えていて出荷もしていて大活躍なのだ。

どうしても物置の屋根に上らなきゃとれない箇所がある。
体重のあるだんなじゃ屋根を踏み抜きかねない。
「アブナイ、アブナイヨ」とミライースCMのブルースみたく言うが、
「行け」と目で促される。
「こぇぇよぉーー」と私はへっぴり腰で脚立から物置に移る。
でもその部分の実は日当たりが良く、大きくてきれいなんだな。
採り終えた自分のドヤ顔は毎度のこと。
脚立からおりて「心して売りなさいよね」と笑っておく。

そんな甘夏の中にも皮が汚かったり、実が小さいなどの理由で
どこへも出せないコたちがいる。
中身は一緒なんだけどねぇ。

それらを毎年ジュースにしている。
せっせこせっせこ、ごっしゅごっしゅとジュースにし、
空いたペットボトルに入れて冷凍しておく。

旨いのだ。
手前みそだけど
旨いのだ、これが。

そして毎年思う。
こんなB品にもならないような実を
一括して購入し加工してくれるような
事業所が近くにあったらなぁって。
地元のものを地元で使うの。
(大きな事業者は契約農家があるんだろうけど)

食べきれない、市場に出すほどじゃない、って実は
きっとうちだけじゃなく地域にゴロゴロしているはず。
実際去年はそんな実をだんながどこぞから安く買ってきた。
私は毎朝毎朝ごっしゅごっしゅと搾りまくり、
それこそ加工所のおばさんだった。
でもね、個人で楽しんでるだけじゃ経済は回ってかない。
それに6月からは法も変わり、
漬物や干物などを個人で加工していた人たちが
事業を続けていくかどうか不透明だ。
おばあちゃんの手仕事‥的な商品が減っていくだろう。

食材の宝庫である地元。
でも、畑や田んぼを守る人の手も減っている。
野菜を作ったり家畜を育てたり、魚とったり。
地味で地道な仕事。
楽な仕事なんぞこの世にはないけれど、
お世辞にも安定した収入源とは言い難い。
天候にも左右されるような苦労の多い仕事をしなくても、
収益をあげる方法はある。
それでも農業に限らず第1次産業に目を向け、
移住したいと思う人がいるとしたら。
是非来てもらいたい。

自分の娘たちが帰ってきていないだろう、と
言われてしまうと何も言えないのだけど。
だったら、自分がそんな会社を立ち上げてみろ、と
言われてしまえばほんっと何も言えないのだけど。

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potesakula
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