2021.10.24
昼から大阪へ。
millitsukaさんの展示が今日までだったので北浜のFOLKを目指す。
開店まで時間があったので、近くのマナカマナでチキンビリヤニプレートを食べる。予想以上の豪華さだった。ビリヤニはもちろん、チャナマサラとトマトのチャツネが美味しかった。
FOLKでミリツカさんの展示を見る。
作品を購入しようかギリギリまで悩むが今回は見送ることになった。植本一子『個人的な三ヶ月 にぎやかな季節』と、カネコアヤノ「よすが」のカセットを買う。
その後、天満橋まで歩き、谷町線で天王寺に向かう。
天満橋から見て、八尾南方面も、大日方面も魅力的だと思う。守口には立ち飲み屋がたくさんあって、緊急事態宣言が明けたので飲みに行きたい。
天王寺ではSTANDARD BOOK STOREで坂口恭平展を見る。以前京都でも見ていたが、スズキナオさんが坂口恭平の日記の展示がすごいと言っていたので気になっていた。確かにすごい。一日のタイムスケジュールと、料理のこと。料理を通じて考えたこと感じたこと身体の変化。パステル画の描き込みのように細かに書かれていると思いきや、落書きのページもある。
本をじっくり見たかったが、時間の関係であとにする。そういえば天王寺ってハルカス以外の用事で来たことがなかったが、少し歩き回っただけで魅力的な店が見つかる。またゆっくり来たい。アイスコーヒーを買う。
谷町線、中央線と乗り継いで今日のメインイベントである濱口竜介「親密さ」を観に九条のシネヌーヴォへ。満員御礼。
途中休憩を挟み、上映後の平野鈴さんのトークショーまで終わったところで約5時間。15:40から始まり、最後は21時を回っていた。圧巻の時間。
Filmarksに書いたが、読み返すと言葉になっていない。トートロジーだ。
あなたが愛おしい。
思いを言葉で伝えたい。
思いを言葉にすれば伝わるだろう。
思いを言葉にしても伝わらないかもしれない。
伝わっていると思った言葉は形が変わっているかもしれない。
あなたと私の中にある言葉は同じだろうか。
あなたのことが知りたい。
あなたを知ることはできるだろう。
だけどあなたの全てを知ることはできない。
知ったと思ったあなたはあなたじゃないかもしれない。あなたは私に全てを見せてくれていないかもしれない。
言葉はうまく伝わらないし、究極的にあなたを知ることはできない。だけど私はあなたを知りたい。なぜなら私はあなたの隣にいてしまっているから。あなたの隣にいたいと思うから。
それは偶然かもしれない。
偶然は恐ろしい。時にあなたと繋がれたり、突き放したりするから。
言葉を使うことは偶然の中に入り込むことだ。様々な困難があるけれど、だけど言葉を使うことをやめられない。
なぜなら私たちは親密でありたいから。
私たちは言葉を使いながらそれが上手く伝えられなかったり、間違って伝わったりする。相手を知ろうとして失敗することもある。相手を知ることはできないのかもしれない。また、偶然の力によって出会ったり別れたりする。分かり合えなかったり傷つけあうことばかりかもしれないが、その中でも親密であろうとする。言葉を使うことを諦めない。「弱さ」が全面に出されながらも強靭な映画だったと思う。
前半ラストの橋の長回しのシーン。そこで読まれる詩「言葉のダイヤグラム」。そしてラストシーンで押し寄せるなんとも言えない感情。以前、劇パートだけを観たが、フルバージョンで見られて心から良かったと思う。
帰りに九条から歩きながら、夜の橋で映画を真似て「言葉のダイヤグラム」を口ずさむ。
僕も誰かと、親密になれるのだろうか。
なるのだろう。
それと同じくらい、別れてしまうのだろう。
いつの間にか北浜まで歩いていた。空腹を思い出し、夜23時まで空いているパン屋でパンを買って食べた。南森町から阪急に乗って帰る。色んなことを思い出す。親密だったこと、親密でなくなったこと。
生きるってなんて悲しいのだろう、寂しいのだろう。だけど生きるのだろう。いつか死ぬまでは。
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