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学振PD、海外学振に物申す!?学振PD、海外学振、RPD、RRAのすすめ

こんにちは、海外で現役ポスドク(生命科学系)をしておりますポス山毒太郎と申します。このnoteはあくまで毒太郎の体験を元に、偏見に基づいた感想を語っていく場です。ですのでほとんど統計値などは出てきませんので悪しからず。

前記事では、筆者が採用されなかった学振DCについて散々こき下ろしました。学振DC採用者の皆様、筆者のやっかみですので何卒ご容赦ください。Noteにはバッドマークがなくて心底よかったと思っております。


さて今回は学振PD(特別研究員)と海外学振(海外特別研究員)に関して語っていきたいと思います。執筆中白熱してしまい少々長いですが、普通に良記事になってしまいました(自画自賛)。流し見でもいいので最後までお読みください。

ただしRPD、RRAに関してはあんまり知識がないので、耳寄り情報に少し触れるだけにしておきます。筆者は少し古い情報で語っている可能性があります。最新の情報は知らないので、実際に申請される方は学振のホームページから募集要項を入手して熟読してください。


学振PDとは?

では学振PDに関して簡単に説明したいと思います。学振PDの募集要項より引用、意訳しますが、学振PDの目的とは「優秀な若手研究者の研究生活初期において、主体的に研究課題を選びながら研究に専念する機会を与える」こととなっています。

正直初めて読んだのでこの目的は全く知らなかったです汗。要は「優秀なポスドクに給料月362,000円出すから、自分で頑張って!」ということです。DCと同様に採用率は20%前後と狭き門です。ですので採用されれば、一応全国のポスドクのトップ20%前後に位置すると自覚しても良いでしょう。

ズバリ今回はそんな学振PDに物申しま










せん!

学振PDははっきり言ってあんまり批判するところがありません。ポスドクなら全員申請してください。前回の記事でも述べましたが、Sラン大学でない場合、「PD?なにそれ、美味しいの?」という方もいるかも知れません。

今記事では学振PDと海外学振のメリット、デメリットに関して語っていきたいと思います。これから目指そうとしている方、興味がある方には本記事を熟読してモチベーションを上げていただきたいと思います。

学振PDのいいところ その1

一定期間を海外留学に利用できる。
筆者としてはこれが一番大きいと感じます。ポスドクの皆様、こんなことは経験ありませんか?海外留学したくて、志望のラボに連絡を取ったら「奨学金があったら来ていいよ」と言われます。そして奨学金の要項には「留学先の許可が取れたら申請していいよ」と書いてあることが。

学振PDは国から給料をもらいながら、一定期間(筆者が申請していたときは一年でしたが、今ではさらに伸びたような噂を聞いています。)海外の研究室に派遣という形で留学できるシステムが存在しますので上の問題を解決できます。学振PDを取得したら、どこの研究室に行っても自身の給料を保証されるのが強みです。若手研究者の独立性を少しだけ担保してくれます。
ただしこのシステムを留学に使用するには、国内で所属している教授の許可が必要になります。ですので国内での教授とトラブルを避けるために申請前に言っておくことをお勧めします。喧嘩別れしてもいいことは何もありません、根回ししておきましょう。筆者は申請前に「PDが取れたら留学のタネにしたい」と教授に相談して許可を取っていました。

学振PDのいいところ その2

DCに比べると、審査がフェアである。
博士号を取得したということはほとんどの場合、自身が筆頭著者の論文をひとつ持っていることと思います。学生時代の論文なんて、結局ラボパワーがものを言うし、運要素が強いという意見もあります、わかります。ですがそれなりの雑誌に論文を通すのはそれなりの苦労が必要です。

前回の記事でも述べましたが、学振DCでは運良く論文を持っている学生、もしくは臨床論文を持っている医師が圧倒的に有利です。しかしPDを申請する頃には、そんじょそこらの有象無象の医師には業績で負けないnonMDも増えてきます。ですのでDCに比べればある程度フェアに審査がされると言ってもいいでしょう。PDを取得した人は学生時代頑張ったと胸を張ってください。

学振PDのいいところ その3

受賞歴の「はく」になる。
これは学振DCでも言えることですが、学振PDに採用されることは自身のポスドクとしての評価が全国で上位20%程度であると国に評価されたことになります。もちろん運もあるので、学振PDに採用されなかった方々をバカにする意図はありません。各言う筆者も、、、悲。何よりも本人の自信となりますので、悪いことがないです。

Sラン大学でない場合は、学振PDはごくたまにしか出現しません。もし有名大学以外で学振PDに採用されたら、大学内で有名になることは必至でしょう。教授陣からも一目置かれるかもしれません。またこういう受賞歴は科研費や海外学振や他の奨学金、研究費の申請書にも記載できるので、間違いなく審査員の評価は上がるでしょう。研究者にとってこういった「コンボ」は大切です。

学振PDのいいところ その4

産休、育休で休止できる
学振PD、海外学振は助成期間は2年ですが、その間に子供ができるケースも当然あります。申請要件の年齢制限は撤廃されたと思いますが、博士課程を27歳程度で取得すると考えると大体30歳前後で申請する方が多いからです。
採用中に産休、育休を取ると、この2年間を延長(実質中断)することができます。学振PDは雇用ラボのお財布は痛まないので、あまり嫌な顔もされないでしょう(恐らく、、、)。ただし給料の総支給額が変わらないので、給料を薄く引き伸ばすことになります。また下で説明するデメリットもあります。ただし海外の場合、給与が基準に達するよう補充されることもあるので事務と学振に積極的に相談しましょう。学振は日本の大学には独自ルールを押し付けてきますが、海外の場合はかなり融通を利かせてくれます。何ともお役所ですね。

学振PDのいいところ その5

所属ラボにとっても美味しい
大学院生は基本的に無給ですので、本人がDCを取ろうが取らまいがあまり研究室の運営には影響がありません。しかしながら学振PDは違います。所属ポスドクが学振PDに採用されれば、ポスドク一人分の給料を「国」が肩代わりしてくれるということです。すると当然研究室はその学振PDを雇おうとしたお金が浮くわけです。ですのでそのお金でもう一人ポスドクを雇うことができます。もしくは大型機械を買ってもいいでしょう。というとことで所属する研究室、特に小さなサイズの研究室にとっては大きなメリットとなります。

学振PD申請の裏技?

ポスドク本人にはあまり関係ありませんが、ここでちょっとした裏技を紹介します。学振PDは博士号を取得した研究室では申請できません。ですので基本的に新環境で頑張るポスドクを応援するものです。ただしここで研究室同士で密約がある場合は抜け道があります。

例えば学生さんが研究室Aで博士号を取ったとしましょう。その場合、研究室Aでは学振PDを申請することはできません。ですが教授同士で密約がある場合、書類上は別の研究室Bに所属するということで学振PDを申請します。その後採用されると書類上の所属は研究室Bで、そこから国内留学ということで研究室Aで働いているケースを筆者は知っています。

結構せこいですよね。これはいいのかわかりませんが、抜け道でしょう。以上のことは筆者が学生だった頃に行われており、当時は同じ機関内で研究室を変更すれば申請できるルールであったためです。

現在では別の機関(大学)でなければ申請できないようにルールが変更されています。筆者は一例しか知りませんでしたが、常態化していたのかもしれません。現在は上記の裏技の難易度が増しています。というか同じ研究室にばっかりに留まってないで素直に別の研究室に羽ばたきましょう。

海外学振のいいところ

海外学振はポスドクの留学生への生活費を支給してくれるシステムです。メリットに関しては、PDと基本的には同じです。「海外学振を取れたら留学していいよ」のレターを留学先に書いてもらうことが必要ですが、実際はすでに留学されている方が申請することが多いと思います。理由は上でも述べた通り、留学するには奨学金がいるが、奨学金を申請するにはホストが必要である問題です。

トップオフトップの研究室は奨学金を持ってくることが前提である場合が多いです。その研究室には、それぞれの国から奨学金を受けたポスドクが集まるので、わざわざラボ側が給料を出してポスドクを雇う必要がありません。ですのでそんな研究室に挑戦する際にも必要になってきます。
海外学振の良いところは、ドル円レートがあまりにも上がったりした場合、臨機応変に奨学金を調整、増額してくれることです。また渡航用の飛行機代も出してくれます。


学振PD、海外学振のよくないところ その1

報告書が面倒臭い
PDと海外学振で共通していますが報告書がめんどくさいです。はっきり言って両助成金共に2年間と短期ですので、その間だけでは大した業績は出せません。しかも中間報告書と、最終報告書で年1で要求してきます。申請書を書いていたときと、研究プロジェクトの内容が変わってることが多いので、申請書の内容と実際のプロジェクトを無理やり繋げて書くことに苦悩します。もし学振関係者の方がこの記事を読んでいたら、お願いします!!せめて報告書は最終報告書だけにしてくれませんか?

しかもA4数枚と指定されいます。数枚なんて大したことないと思いますが、報告書はネットで公開されるので具体的なデータに関してはあまり書けません、面倒です。ですので申請書と同様に図をふんだんに使いましょう。もし学振関係者の方がこの記事を読んでいたら、お願いします!!もはや報告書なんてやめて満足度や、進路などのアンケートだけにしてくれませんか?

僕らのことをもう少し信用していただけますか?報告書なんか書かなくても真面目に研究やってますよ!ただし年額数百万円も生活費をいただいているので、文句は言えません。ところであれは誰が読んでいるのでしょうか?

学振PDの良くないところ その2

大学の社保に入れない
学振PDは自営業扱いなので、国保、国民年金に加入することになります。基本的には社保の方が待遇がいいので、上の項目と逆のことを言いますが特に産休、育休時などは損をすることがあるかもしれません。何かできることがあるかもしれないので大学、学振双方にしっかり相談しましょう。ここは学振側の問題でなく、受け入れ大学側の問題かも知れませんが、何とか改善してほしいところです。

しかし海外の場合、「海外機関が用意する保険から外れろ!」とアコギなことは学振も言いませんのでので安心してください。この場合は単純に得です。学振は日本の大学には独自ルールを押し付けてきますが、海外の場合はかなり融通を利かせてくれます。

学振PD、海外学振の良くないところ? その3

また学振PD、海外学振の、と言うよりは奨学金を持って留学することのデメリットですが、奨学金で留学すると「お客さま」扱いされることです。奨学金を持っていることはそれだけで海外でポスドクとして働きやすいです。日本でそれなりの評価を受けている証拠になりますし、ボスにとっても給料を払う必要がないからです。その反面、給料で雇われるポスドクに比べて、ポスドクを雇う際の審査が甘くなっている可能性があります。
ですので、給料で雇われるポスドクには結果を求めて、奨学金で来ているポスドクには変に優しいというか、あんまり期待されていないことがあると聞いたことがあります。筆者の周りでそう愚痴っている方もいました。真偽は不明です。
 

RPD、RRA申請資格をハック

RPDは、要は「産休、育休(他にも介護等で休職)を取った研究者が研究に速やかに復帰できるように給与を支給するシステム」です。このシステムはすばらしいと思います。RRAはその海外学振版です。ここで申請のちょっとした技があります。
募集要項を見てください。

申請するのに必要な産休、育休期間はRPDで6週間以上(RRAは90日なので注意!)とされています。日本で一般的な1年間産休を取った方はもちろん申請資格がありますが、例えば2ヶ月間のみ産休を取った方でも申請資格があります。

下世話な話をしますが、RPDは申請者の数も少ないので狙い目です。もちろんライバルがとんでもない業績を持っていたらそこで試合終了なので、ご注意ください。さらに下世話な話ですが、当然男性も申請できます。ですので男性研究者の皆様も3ヶ月の産休、育休をとってどんどん申請しましょう。

このご時世2ヶ月くらい育休を取るのは褒められるべきです。というか男女平等を謳うならむしろ当然の義務です。海外ならもっと当然に男性も育休を取ることができます。ですので留学中に育休をとって、RRAに挑戦するのも良いでしょう。

これらは学振PDや海外学振と同時に申請できたと思うので興味のある方は学振に確認してみてください。宝くじが2枚買えるという強いアドがあります。

また子供一人につき、給付金が増すという学振PDや海外学振ではないメリットもありますので子沢山の研究者にもおすすめです。
 

まとめ

さて学振PDと海外学振のメリットはいかがだったでしょうか?前回と大きく異なりかなり建設的だったと思います。というか普通に良記事ではないでしょうか?

その分面白みに欠けるかもしれません。またちょっと一部の知識が薄めでした、実際に申請を検討している方は大学事務か、学振のオフィスに自身の申請資格を確認してみてください。電話でもいいです。ここは毒太郎が今ある知識をただ語る場です(開き直り)。間違ってても苦情は受け付けません。がコメントはいただければ訂正します。

最初の方で述べましたが、学振PDはポスドクなら全員申請してください。DCと同様でSラン大学と、そうでない大学では情報の格差が大きいです。Sラン大では「周りのみんなが出すので自分も出す」みたいなノリがあります。しかしそうでない大学では、出すポスドクもいなければ、教員も興味がなく、なんなら事務も学振PDのことをよくわかってないケースもあります。有名大以外ではそもそもポスドクの数が少ないので情報共有も難しいです。

学振PDに興味はあるけど、「周りで出す人がいない」などの理由で申請するか迷ってるポスドクはすぐに上司に強めに相談してください。前項でも書きましたが、採用されれば研究室にとってもポスドク一人分のお金が浮くことになるのでWin-Winです。上司も協力してくれることでしょう。
 
ここにきて、めちゃくちゃネガティブなことを言いますが学振PDは所詮「博士を取得して助教になれなかった2番手集団内のセレクション」で、海外学振は所詮「留学先からの給料でポスドクとして雇われなかった2番手集団内のセレクション」ともいえます。ですので「私の実力や業績じゃ通らない」と思っている方でもじゃんじゃん申請してみましょう。とにかく申請することが大事です、打席に立たないことには何も始まりません。
 

申請書の書き方に困ったときは?

 ネットで調べれば学振の書き方等の情報は大量に出てきますので、色々調べてみてください。小説を書くならともかく、申請書はフォーマットがある程度決まっているので、文章力の有無はかなり誤魔化せます。ただし例えば「学振 書き方」などで検索してみると、たくさんのサイトがヒットし、情報が多すぎてよくわからない方もたくさんいると思います。

偶然ですが筆者も『学振等の申請書の書き方講座』を記事にしていました(すっとぼけ)。筆者はほとんど調べなくても今記事を書けるくらいにはDC、PD、海外学振の知識はあります。そんな筆者が書く申請書のコツ、読みたくありませんか笑?学振以外にも科研費等にも参考になると思います。
有料部分は後半のみですので、前半だけ読んでみて興味がある方は購入をお願いします。これでライバルに差をつけるんだ笑!!ワンコインです。
と言うことで今回も怪しい情報商材のような終わり方をしたいと思います。


今回は医者いじりは特にありません。医者いじりが欲しい方はこちらをどうぞ。

ただしこちらの記事は全く真面目な記事で300円の有料記事ですが、その価値はあると確信ししています。そこそこ売れているので、そのうち値上げしようか考えています。特に医師研究者の方は必見!!この記事の購入が増えましたら、医師研究者に関する記事も別途書きたいと思います。
 
今記事では学振PD、海外学振を進める記事を書きましたので、次回は留学することのメリット、デメリットについて語っていきたいと思います。note、Xともにいいね、フォローお願いします、モチベーションになります。

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