【SDGs×RUBBER追加取材vol.2】ランクセス

SDGs×RUBBER」は、ゴム業界の情報を発信するポスティコーポレーションが主催の、全5回開催のリレートークセッションイベントです。創立60周年記念事業の一環として、ゴム業界への恩返しと、SDGsの周知、事例紹介を目的としています。

ここでは、当日時間が足りずお話できなかったエピソードなどを紹介します。今回は、ランクセス日本法人の村上幸コーポレートコミュニケーションズ日本統括マネージャーに追加取材を行いました。

イベント時に同社の日本法人の取り組みとして、教育支援と環境保護、従業員教育に力を入れているというお話がありました。今回は、その取り組み例について伺いました。

従業員教育の一環として、カードゲーム「2030SDGs」を実施

――:従業員教育の一環として、カードゲーム「2030SDGs」[※]を実施したそうですが、そのきっかけと、実施した際の社員のリアクションはいかがでしたか。

※カードゲーム「2030 SDGs(ニイゼロサンゼロ エスディージーズ)」:SDGsの17の目標を達成するために、現在から2030年までの道のりを体験するゲーム

私自身がSDGsの勉強会に参加した時に、このゲームの存在を知ったことがきっかけです。社員自身の行動変容など、自身の行動パターンなどを知る良い機会になると思い、従業員教育の一環として行いました。

2015年に採択されたSDGsですが、当時は社員全員、よくわかっていない状態でこのゲームに取り組みました。社会課題や環境課題、経済の取り組み、この3つの分野をバランスよくとった企業活動をしなければならないことを、自然に気付かせてくれるゲームだと感じました。

オフィス勤務の人も、工場勤務の人も、営業社員も、それぞれの立場で捉われがちな仕事の成果だけではなく、SDGsがどう普段の生活・仕事に繋がっているのか、気づくきっかけになったのではないかと思います。

パートナーシップの前進を目指して

――:SDGsへの取り組みとして、パンフレットを作られたり、ゲームをしたり、社員への周知・徹底に力を入れていると思うのですが、今後、次の段階にもっていくために、日本法人の方で考えていることはありますか。クライメイト・ニュートラルのお話にも関わると思うのですが。

従業員の働きがいの推進や、教育支援、そういったものは継続していきます。

私たち広報の部署としては、パートナーシップによってSDGsを前進させられるのではないかと考えています。2020年の活動でいうと、浄水器メーカー、BRITA(ブリタ)との活動が挙げられます。BRITAも本社はドイツですが、BRITA Japan社の実施する「Eco Water Action」に参加し、社内の紙コップ削減のために、同社の浄水フィルター付きボトルをサンプルとしていただき、活動を推進しました。

一社では難しい大きなインパクトが、他社とのパートナーシップ、協働することで可能になる(コレクティブ・インパクト)ので、部署としては注力していきたいと思っています。

文書名SDGs×RUBBER#1、ランクセス配布資料_ページ_7

【画像】ランクセス講演資料より

あとは、2040年までにクライメイト・ニュートラル[※]の達成を目指すことを2019年に発表しました。工場の二酸化炭素、温室効果ガス削減目標・計画が細かく決まっています。この実現に向けて、ベルギーやインドなどの各拠点では、新しい、環境に配慮した工場設備の切り替え等が始まっています。

※参考:『気候変動への取り組み』
https://webmagazine.lanxess.com/ja/%E6%B0%97%E5%80%99%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF/

クライメイト・ニュートラルで挙げられている目標は、今後経営判断の基準になっていきます。環境への対応と経済の発展は、相反するものに見えますが、ランクセスとしては、それぞれ両立できると考えています。この両輪の発展を目指して企業活動を行っていきます。

子どもたちの可能性を広げる「化学実験教室」を継続

――:ランクセス日本法人では、東北復興支援・教育支援の一環として、化学実験教室を継続して行っています。その活動のきっかけや、意義についてお聞かせください。

化学実験教室は、2014年から公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと一緒に行っています。

文書名SDGs×RUBBER#1、ランクセス配布資料_ページ_1

【画像】ランクセス講演資料より

きっかけは、2011年から行っている東北復興支援活動です。この際も、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと一緒に被災地を訪問し、状況に合わせた支援を行ってきました。

その中で、夏休みの子どもたちの遊びが限られていると伺いました。そこでランクセスとして協力できることがあるのではないかと思い、化学実験教室を始めました。

日本法人では2014年から開始しましたが、他国ではすでに同じような支援を行っていたので、それを参考にしつつ、プログラムを作り上げていきました。

2014年から宮城県石巻市や東松島市で、2017年からは岩手県山田町の学童や山田町ふれあいセンター「はびね」という複合施設に来る子どもたちを対象に募集しています。

2020年は、新型コロナウイルスの影響で現地に行くことが難しく、オンラインで実施しました。

――:子どもたちの反応は、いかがですか。

すごく良いですよ。アンケートを毎年もらうのですが、子どもたちからほぼ100%、毎年「楽しかった」という回答をいただきます。

プログラムは、前半に座学、後半に実験という構成ですが、特に実験が楽しかったという声を多くいただいています。

――:この活動を通じて、期待することは何でしょうか。

子どもたちの好奇心を刺激し、楽しんでもらいながら化学に対する興味を引き出していく、というのがすごく重要だと思いますね。

また、今はインターネットが発達していますが、子どもたちが実際にリアルに会う大人は普段限られています。化学実験教室を通じて、私たちのようなドイツを拠点としている化学メーカーの存在、東京で働いている大人の存在を少しでも知ることも、子どもたちの可能性を広げることに繋がるのではないかと思いますね。

プログラムにある座学の中で、弊社の紹介も行っています。「当社は化学会社で、自動車の材料も作っているんだよ」、といったことも伝えています。そこで、「そういう仕事もあるんだ、化学メーカーで働いてみたいな」、と考えてくれる子どもが現れたら、うれしいですね。化学業界の発展にも繋がっていきますし。

これは私の個人的な考えですが、教育というのは、一度身につけると誰にも奪えないものです。それを企業活動の一環としてできるというのは、非常に価値のあるものではないかと思います。もちろんお金や物資も大切ですが、一生残り続けるもの、誰にも奪われないものを与えられることにやりがいを感じています。

SDGs×RUBBER#1イベントレポート公開中

ランクセス日本法人の村上幸コーポレートコミュニケーションズ日本統括マネージャーに登壇していただいた、第1回「SDGs×RUBBER」のイベントレポートが公開中です。


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