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勤務1日目 ハガキを出し、その後。

「ごめんなさい、本当は介護の仕事をするつもりだったんです」
「別の仕事を見つけたので、すみません、あのハガキは無かったことに……」

郵便局にそんな電話をしようと悩みつづけ、でも結局かけず、数日後。
電話がかかってきました。

「ぎゃああああああかかってきたあああああああ!」

パニックに陥りつつ電話を取ると、相手は女性の総務部の人で、声の使い方にとても慣れていました。やさしい声音を聞いているうち、ぼくは安堵しました。
面接の約束をするだけかと思いきや、前職、最後に働いていたのはいつか、これまで事故はあるか、バイクはどれくらい乗っているかなど聞かれ、十日後に面接をすることに。

~十日後の面接~

念のためスーツを着ました。期間雇用(バイト)だとしても、スーツを着てマイナスになることはないだろう、と。

緊張はしましたが、滅多に人と話さない生活を送っていたので、十年ぶりの面接は楽しみでもありました。

圧迫面接を覚悟していたのですが、特に圧をかけられませんでした。
後にわかったことですが、面接官は集配営業部の部長でした。

ぼくはしどろもどろになりつつ、これまでなにをしてきたかや、長い空白期間のことも、特に隠蔽することなく正直に話しました。
配達員の責任の重さや、どれだけ過酷な仕事かという説明があり、それはすでに覚悟できていました。

なぜなら、配達員になる心構えを持とうと連日連夜あらゆる情報を調べたからです。


採用通知は十日後に郵送で送ると言われ、そして十日以上過ぎて。
電話がかかってきました。
郵送、と言っていたので、不採用の電話だと思いきや。

採用。

十年の空白期間がある引きこもりだと伝えたにもかかわらず。

期間雇用社員は誰でもなれるよ、とは聞いていたのですが、本当に採用していただけるとは。
ありがたいです。しかし逆に怖い。

「きっとパワハラが横行していて仕事ができない社員は延々責められて優越感のエサにされて毎日地獄のような環境で配達することになるんだ」

と、真剣にそう思いました。
その週から勤務と言われ、ゆうちょ口座すらなかったので即日開設。
窓口で「郵便局で配達のバイトします」と言わざるを得なくて、恥ずかしくなりました。

~ついに勤務一日目~

壮絶極まりない劣悪環境を想定しながら迎えた初勤務日。

特になにもしませんでした。

四日間は時給が低い研修なのですが、初日は本当になにもしていません。それで6時間分のお金がもらえる、という。

……いいのか?

座ってテキストを眺めつつ部長のお話を聞いていただけです。
過酷な労働環境を覚悟していたので、ありがたいを通り越して拍子抜けしました。

郵便局は、郵便局で働くにあたって大事なことをしっかり伝えるためにお金をかけているんだな、と思いました。
でも内容はめちゃくちゃ当たり前の話です。要約すると「犯罪だけは絶対ダメ」です。

郵便局の規模の大きさを実感した勤務初日でした。

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