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ワタクシ流☆絵解き館その137 網を編む老人 ― 田辺完三郎の詩 ⑤

ラグーザ・玉  「四隻の舟」 1892年制作

人生のエスプリが、ザラリと読後に胸に残る詩を書き続けた詩人田辺完三郎の詩を紹介する第五編目。詩人は1941年生まれで、すでに故人。唯一の詩集『ほろ酔い詩集』は私家版なので、広く知られる機会がなく、それを惜しんで、この場を使っている。
使った絵は、明治大正を生き、昭和14年に79歳で没した画家、ラグーザ・玉。作者(田辺完三郎)は詩の中で、網を編む老人にこんな月夜を瞑想させていたかもしれないと思い選んだ。
「四隻の舟」は純然たる洋画でありながら、ふっと北斎や広重の浮世絵を連想させるのは、江戸時代末期に江戸の町に生まれ、二十歳過ぎまで日本で暮らしたラグーザ・玉の美術的感性の源に、江戸文化の情緒が息づいていたせいかと思う。
それでは、田辺完三郎の詩を…。


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