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044アイドルは手に届かないから儚く、憧れの存在

 月曜日は9:00からの1限が対面であるのだが、そのためには8:00の電車に乗らないといけない。朝にはめっぽう弱い体質なので、トイレには最低でも3回行かないと気が済まない。家、最寄り駅、大学最寄り駅、大学、朝が早い日はこれらのどこで済まそうかを常に考えている。7時には目覚ましをかけるのだ。7時間は寝ないとだめよ~、と寝不足の塾の生徒にはいつも声をかけているのだが、当の私は、3時間半ほどしか寝ずに月曜の7時を迎えてしまった。なぜかというのはここでは伏せておこう。
 
 10:30までの1限を受け、11:30まで図書館に籠り課題を片付け、急行電車に乗って12時過ぎには最寄り駅の西友で、冷凍パスタを選んでいた。二個で360円の超お得冷凍パスタだ。ミートソースとカルボナーラを選んだ。今日はミートソースを選んだので、明日はカルボナーラにしようか。もしかしたら父親に食べられているかもしれない。

せっかくグルメの取材がわれらの地元に

 12:20ごろ、最寄り駅の東口を出たあたり、何か黒い大きな物体が目に入った。周りには、看板とテレビカメラのようなもの、そしてそれらを取り囲む人々。なんの撮影か分からなかったのだが、まあ、冷凍パスタが早く食べたかったので、そそくさと自宅へと帰った。

 母親も駅に用事に出ていたようで、私の10分後くらいに自宅へ帰ってきた。「せっかくグルメ」来てたね!と言いながら母親が帰ってきた。なるほど、あの黒い大きな物体は日村ロボだったのか。最初はめちゃくちゃハスっていたのだが、実はかなり興奮していた。なんて言ったって地元が取り上げられるのだから。ちなみにハスるというのは、オードリーann内で、斜に構えるという言葉の「斜」の部分だけを取り出して作られた造語である。

春:なに、ギャラクシー賞ってすごいの?よく聞くじゃんギャラクシー賞て、なんなのスゴイの?
若:ハスってんじゃないよおおお!

 パスタを食べたのち、寝不足に耐えられず、14:30-15:30くらいに仮眠を取っていた。16時前、アルバイトのためにスーツに着替え、リビングへ向かうと母親が、「平野紫輝来てたって~」と独り言のようにも思えたが、私の耳にも届くほどの大きな声で叫んでいた。そこでもめちゃくちゃハスってしまった。「へー、平野紫輝か~、すごいねー日村さんじゃないのかー」と。その後の展開を知っていれば、駅にもう一度出向いていればよかったなと今になってみればそう思う。

塾バイトでの一コマ

 午後、塾バイトがあったのだが、いつもよく気にかけている中3女子が欠席をしていた。滅多に休まない生徒であるため、風邪でもひいたのかなと思ったのだが、担当生徒ではないので、特段これ以上気にかけることはしなかった。21:20頃、最後の授業の終了10分前に、その生徒が体操着のまままで塾の入り口にいるのが目に入った。授業終了後、その子の元へ向かうと、震えたような声で同級生に電話をかけていた。「あれ、○○今日休んだんじゃなかったの?」と私が声をかけると

 「違うんですよおおおおお、平野紫耀くんに会ってきたんですよおおおお」とのことだった。この子がここまで感情的に、実際に足も震わせながら、話している姿は見たことがなかった。ほんとうだ。

 よくよく話を聞いていくと、友達から、航空公園にいたとの確かな情報を掴み、そしてある焼肉屋に向かったと。塾に正直に連絡を入れた上で、彼女は平野くんの追っかけ、追跡に勤しんでいたのだ。結果、焼肉屋向かいの駐車場のいたロケバスの中から、平野くんらしきフォルムの人物に手を振ってもらえたかもしれない程度の成果であった。

 50m以内に平野くんがいた(かもしれない)!焼肉屋の向かいの駐車場に今から行って残り香を感じたい!平野くんが歩いたかもしれない場所を、地面を通して足から感じたい!などと私には理解が難しい思想であった(その後実際に彼女は焼肉屋へと向かっていった)。

 平野くんと共演できるような女優になると宣言もしていた(実際に彼女は芸能オーディションを数多く受けている)。たった3時間程度のドタバタで、人をここまで情動的にさせるとは。アイドルの力を思い知らされた月曜日であった。

「いや、でもさ〇〇、なかなか手に届かないからアイドル、理想なんだよ。もし今日会えてたら、何かが満たされてしまってこれから起こることの嬉しさが減っちゃうかもよ?次こそは会いたい!っていう生きる上で前向きなモチベーション出てない?どう?」って聞いたのですが、

「いや、会えてたほうが元気出ますよ。」

と一蹴されてしまった。まだまだ敵わないなと思う。

〈今日の一言〉
10/3に書き始めて、10/9に書き終わりました。計画性皆無。

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