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悪名高い日本語ラップのDaddyについて

訳あって、「日本語ラップオタクブログ」が閉鎖してしまい、過去のコンテンツも見つからないので、掘り出せるまで、noteで感想文をぬるりと、不定期に書こうと思います。

みんな大好き「チーム友達」がアルバムという形式で、大量のremixが放出されましたね!(D.Oはオコだけど…)
一曲目の「青森remix」から信用できるな~と思いましたね。

途中、SKY-HIで耳がもげそうになりましたが、
キングギドラremixについては、SNSで「賛否」が見て取れました。

とはいえ、後者の「否」の方が多いように感じたのですが、
ぼく個人は、今のRHYMESTERの作品と比べれば、幾分も、よかったように感じています。
特に、ケーダブシャインとオアシスのバースは、爆笑ですね。

チーム友達~
ジブとオアシス

40年の腐れる縁も~
真剣な時もふざけられる~(OK)

渋谷!キズナ!渋谷!キズナ!

当該曲の歌詞

世間の「否」の対象は、紛うことなき、ジブだと思います。
あの「若手潰しの名手」こと、「RAUDEFにしかアンサーを返さないシマウマ」こと、「葉山不倫」こと、「横井 英之」です。


wikipediaより

「チーム友達」で披露したバースは、ジブの持ち味のキレのある韻もなく
喉ちんこに納豆が絡みついたようなネバっとしたよくないフローで
最後の最後に、自分でこすりまくったリリックを引用していて、
イヤホンを投げ捨てました。

悪そうなやつは、大体~(チーム友達!)

当該曲の歌詞

多分、PUNPEEとBIMとの共演で、良くない味を占めたんでしょうね。くそみたいなフローでした。

でも、ジブは、絶対にかっこよかったんです。
その過去は、絶対に消えません。
なので、日本史の教員資格を有する僕が、彼の史実を再評価することで、現在の日本語ラップにおけるジブ(おれたちのDaddy)の価値を検証する材料を提供したいと思います(邪魔くさいので、価値の検証はしません)。


「Street Dreams」

MCバトルの圧倒的普及により、国民ソングに成り下がったあの曲は、
(老化にかかわらず)歌詞が覚えられないジブが唯一暗唱できる曲です。

今や、ジブが別のフロアで、この曲を歌ってても見に行かないでしょうし、
ジブが、駅前で歌ってても、早く家に帰ろうと思って、駐輪場に向かうでしょう。
改めて聞いてみたら、3バースは、すごく尻つぼみ(蛇足)で、面白いです

道半ば 諦めた奴ら
ハード過ぎて箸投げた奴ら
都会に飲まれた奴ら 今じゃ連絡も途絶えた奴ら
今どうしてる? 気になるぜ

幸せにしてんならばそれでいい
なんかありゃ電話すりゃそれでいい

Geniusより

歌詞の趣旨としては、ほぼSoulJaです。

Spotifyより


Spotifyより

(いや、それは、言い過ぎたかも。)

「男たちの蛮歌」

都会の野蛮人こと、気高い紳士たち、OJ&ST、KM-MARKIT, UZI。
この組み合わせが一番ですからね。これ以上ない組み合わせ。
ジブという名の、お好み焼きに、青のり(OJ&ST)、マヨネーズ(KM-MARKIT)、お好み焼きソース(UZI)を掛けたような完璧な曲(お~い、お~、おお~)。


Uta-Netより。

ここまで全部、単語ごとにマイクパスです。普通にうまいし、大変な作業です。一人でリリックで書く時間×5ですから、そりゃまぁ丁寧な曲です。
しかも、このバースの韻は、どれも新鮮ですから。ストイックさも垣間見えます。

みんな、ワンルームで、ノートを回しながら、リリック書いたのかな~。プリプロとったら、テンション上がって、鳥貴族とか行ったのかな~。って想像しながら聴いちゃいます。

「Reason」

かっけぇ~~。ひえ~~。
展開が少ないシンプルなトラックの上で、SIMONとD.Oのラップが渋すぎ。SIMONが腕組みながら、ラップしてそうで、本当に最高(umm~~~)。

KKBOXより

「神出鬼没なトムとジェリー」なんてかっこいいワードなの。


KKBOXより

「Back Stage Boogie」

Reasonの完成度と締まり具合の傍ら、この曲は、ちょっとニュアンスが違います。
あえての外し感?即興感?もあるような荒い作りの「Back Stage Boogie」を収録した「World of Music」は、まじで名盤。


ORICONより。

ジブが自らモザイクいれちゃう余裕。抜き具合がおもろー。

ORICONより

全盛期のBESなんて、バースの半分モザイクです。
日本政府は、この全盛期のBESのフローを、一曲でも多く残しておくべきでした。京都の寺社仏閣とBESのフローは、国が文化指定すべきです。
その意味でも、このアルバムは、価値が高いです。

この後、謎に唐突にぶち込まれる565と、お好み焼きソースのUZIもいい味、出てます。

「Bring it Back」

この曲が「ジブが最後にやる気あったときの曲」です。めっちゃ頑張って一曲作っていることが解ります。一生懸命作ったんだな~。って。
外しなし、基本に忠実に、最後まで、がつがつ前のめりにラップします。
これがジブの最後の名刺と言ってもいいです。(勝手な判断)

「Oh Yeah」

一気に時代は、遡り、2005年の曲です。
めっちゃ渋いですが、トラックは豪華で、アップテンポな曲です。
とりあえず、会場盛り上がれ!っていう曲で、深い意味は一切ないです。

Spotifyより

全員、今でも、「Fuck Police!!!」
ライブで言いたいです。
ちなみに、このEPに収録されてた「Slow Down」もめっちゃ良いジブです。
おすすめです。

「I’m Still No.1- Original Version」

さらに、遡り、1998年の曲です。何と言っても、この「イルさ」。
ここまで聞いてわかるんですが、ジブも、時代に合わせてラップを大幅に変えているので、一言で「ジブが好き」「ジブが嫌い」とは言えないんです。やはり、「「今の」ジブが嫌い」、とか、「「今の」ジブはどっちでもない」とかいう評価じゃないと的を得てない感想になりかねません。

Spotifyより
Spotifyより

ボクシングルールを理解していないジブがいると思えば

Spotifyより

2バース目では、サッカーしてるんですよね。笑
Kenny DoesがBBP(対rkemishi)で引用していた「シュートのふりして入れるフェイク」がきっかけで、このバースがさらにお気に入りになりました。

「CHILDREN'S STORY」

Spotifyより

緻密なストーリーテラーもかますジブの良さ。やっぱり育ちの良さが出ますね。今、ストーリーテラーできる若いラッパーは少ないでしょうし。

Spotifyより

固い韻が続く中で、秀逸かつ唐突すぎるオチです。
勝手に学生名簿から個人情報を提供するという、プライバシー権フル無視の時代背景を理解できる事象も盛り込まれてます。

「FIRE」

格闘技といえば、FIRE。FIREといえばジブ。そんなアンセムソング。


うたネットより

治安悪すぎる。

「24 BARS TO KILL REMIX」

これこそ、ジブ。まじでジブ。ジブの真髄が、ここにあるって感じ。とにかく、鼻息荒い。この時でこそ、ジブのカッコよさが疑わしかったけど、この曲に限っては、手のひらクルックル。ANARCHY, MACCHOに引けを取らない、ZEEBRAのバース。

AWAより

「殺しに来たぜ!!」

AWAより。

この韻の踏み方で、3か月は、ずっと楽しかったわ。サンキューやで。

「The Motto」

この曲は、UBG仕込みのパスマイクと、韻の固さ。やっぱり、ラップグループは、可能な限り、パスマイクした方がいいし、韻を踏んだ方がいい。

Spotifyより

アホすぎておもろい。本気と書いて「You know the deal」、リリックに記す陰と陽。何も言ってない数小節。ジブが最高すぎる。


Spotifyより。

見逃し三振と、「うじひろだし、安心」が、踏めるんですよ。こんなん、修士論文書くより、重要なこと学んでますよ。

Spotifyより

「超頑張り屋」、と、「城南ハスラ―」。超かわいい韻。

「The Three 16's」

この曲は、「the begining」の中で一番いい曲。ジブ近代史の中では、一番お気に入りの曲。
TwigyとDEV  LARGEとラップつなげるのも貴重さがあっていい。証言以来だし。
同じトラックで、変な遊びなし、三人とも本気さを感じるラップ。お腹いっぱい。フックがないのも好感度高い。
当時のアルバムの中にあった、歌詞カードには、リリックがなかった気がするんだけど、なぜかSpotifyには、(D.Lを除いて)リリックが表示されてて、感動。

Spotifyより

お前は、シマウマやろ!!トラて。


Spotifyより

Twigyのエロさというか、やらしさというか、テクニシャンなのが、8割の小節を、「参戦後に」で踏むんですよね~~。高校生の僕が嬉々として喜んでました。

「証言」

まぁ言うと、この曲は、ジブの証言四番目が屋台骨になっているといっても過言ではないです。みんな、このジブが大好きで間違いない曲です。

Spotifyより


Spotifyより

こんなの、そらで歌える成人男性しかいないですよ。

おわりに

さりとて、ジブの曲に、内省的な曲はありません(たぶん、少ない、ない)。
ZEEBRAの今の言動(不倫)とか、Twitterとか見てわかるように、やっぱり、そんなに思慮深い人ではなくて、リリックも、何か深みがあるわけじゃないんです。
でも、日本の30代の男性は、とにかく、当時のZEEBRAのラップは「かっこいい」と教育を受けてきたんですよね、日本政府が。だから、もう、過去のZEEBRAの曲を聴いて、否定するようなことは、過去のゆとり教育を否定すること(=自分の過去を否定すること)と同等なわけですから、そんな無駄な時間は、やめた方がいいんです。

じゃあ、ですよ。我々は、今のジブとどう付き合うのか、という問題は、ですよ。もう、ジブは、当時、2000年代までの「ヒップホップカルチャー」そのものだったと理解することで、よしとしたらいいわけです(今のジブは、みんなにもあるはずの余生。)。

ZEEBRAは、今のラップにアジャストすることも、NORIKIYOにアンサーを返すことも、内省的なことをラップできるわけがありません。だって、何にも考えてないから。
ジブは、単に「カルチャー」であって、「アーティスト」、「ラッパー」というより、彼は、2000年代の「カルチャー」もしくは「アイコン」的要素が強いはずなんです。ラッパーの「国民的象徴」です。1997年の真っ昼間から2010年まで、日本語ラップを語るうえで、ジブ抜きは、不可です。

64のスマブラが、今から見れば、登場キャラクターが少なかったり、技が少ないのは、あたりまえなはずです。でも、当時は、死ぬほど面白かったんです!リンクが死ぬほど雑魚いのもカルチャーです。

ジブもそうです。ジブが今見れば、ダサいのも、カルチャーだったからなんです。

カルチャー、カルチャーって。
じゃぁ「カルチャー」ってなんだよ。ジブは、ラッパーだろ!!という問い合わせがあるかもですが

Geniusより。L-VOKAL「Pekochang ft. SEEDA」

「自分で考えろ!」。

ポッシブルゆうや