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【告知】出版記念トークイベント「ポスト・スポーツの時代とは何か? 身体の認識論的転回を捕らえる」(5/23)

前回の書評会に引き続き、今回は岡崎勝さんと小笠原博毅さんをお招きして、『ポスト・スポーツの時代』の出版記念トークイベントを行います。今回は公開トークイベントという形で、一般の方々もオンラインで視聴することが可能です。参加は無料ですのでぜひ視聴してみてください。詳細は下記よりご確認ください。

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ぽす研企画第2弾『ポスト・スポーツの時代』出版記念トークイベント
「ポスト・スポーツの時代とは何か?身体の認識論的転回を捕らえる」
出演者:岡崎勝 ✕ 小笠原博毅 ✕ 山本敦久
司会:高原太一

【日時/会場】

日時:2020年5月23日(土)18:00〜19:30(17:30開場)
場所:zoom

【参加方法】
▼こちらがzoom視聴するために必要な情報です
https://tus-ac-jp.zoom.us/j/98120346688?pwd=NDJJN3pHQ0pMS3FId09aRUNwZ3dVdz09
ミーティングID: 981 2034 6688
パスワード: 179183

(17:30入場、18:00開始)

申込不要/視聴無料/定員30名(超えた場合は待機待ちとなります)
【重要】スパム防止のためzoom参加時のお名前の頭に「post」と付けてください(例:post山本)。この表記がないとスパムと判断し入室許可を出しませんので、ご注意ください。

※ビデオはオフ、音声はミュートの状態でご参加ください(質疑応答の場合は適宜オンにしていただいて構いません)。
※後日、トークイベントの記録をぽす研で記事にします。当日は音声および動画のレコーディングを行います。参加者は予めご了承ください。

【トークテーマ】
スポーツはいま不可逆的な変容の渦中にある。「ポスト・スポーツ」の登場は、身体の認識論的転回と不可分なものとして現れている。

先端テクノロジーに接続されたアスリートの身体とそのパフォーマンスは、無際限に収集されつづける膨大なデータの束へと変貌する。そのときスポーツのフィールドは、偶然性の領野を著しく縮小させ、「予測」をめぐる戦いへとその主戦場を移しはじめている。

そこで起きているのは、物的な身体の強化と拡張を神話としながら激しく競争をめぐらせてきたスポーツの終焉であるだろう。いま可視化されつつあるのは、認知や情動や脳の働きといった、主体を持たない物質性の次元を資源とするまったく新しい競技のはじまりなのである。

したがって「データ革命」という響きによってセンセーショナルに言祝がれているスポーツの変容過程は、近代スポーツを特徴づけてきた規律訓練の身体を部分的に遊離しつつ、別の身体の登場を意味している。この新たな身体は、私たちが長い間「身体」と呼んできたものの認識論的転回を要請する地殻変動のなかから産み落とされてきたのだ。

データや先端テクノロジーと融合したスポーツを実践する主体性は、同一化された身体――おぼろげな個体性に宿る主体――を溶け出して、新たな主体位置への転位を不器用ながらも遂げはじめているのではないだろうか。このタイムラグがまだ独占され尽くされる前に、私たちは身体の認識論的転回を急がねばならない。主体から次の主体位置へのタイムラグ――個体化の手前にある前-個体性の領野の蠢きは、巨大なグローバルテック企業の新たな狩場ともなっているからだ。

この前-個体性の領野を再領有化するのが、ポスト・スポーツのエージェンシーなのではないか。惑星規模のコモンを目指す「ソーシャルなアスリート」たちの「接続」と、その接続を同一性へと回収しない多種多様な存在の差異を維持する「切断」とを同時に考えなければならない。その思考の実践を私たちは、ポスト・スポーツの時代のなかで鍛え上げなければならないのだ。

【出演者プロフィール】
岡崎勝(おかざき・まさる)
『おそい・はやい・ひくい・たかい』(『お・は』)編集人、名古屋市立小学校教員。著書に、『親子で読む! 東京オリンピック ただし、アンチ』(共著、自由スポーツ研究所編、ジャパンマシニスト社、2018年)、『子育て指南書 ウンコのおじさん』(宮台真司・尹雄大との共著、ジャパンマシニスト社、2017年)、『思春期心中』(東浩紀・岩宮恵子・木ノ戸昌幸との共著、ジャパンマシニスト社、2020年)、『身体教育の神話と構造』(れんが書房新社、1987年)、『反オリンピック宣言―その神話と犯罪性をつく』(影山健・水田洋との共編、風媒社、1981年)他多数。
【ブログ】続・今日も行くがや!体育教師
http://masaruokazaki.jugem.jp/

小笠原博毅(おがさわら・ひろき)
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。専門は、カルチュラル・スタディーズ。著書に『真実を語れ、そのまったき複雑性においてースチュアート・ホールの思考』(新泉社、2019年)、『セルティック・ファンダムーグラスゴーにおけるサッカー文化と人種』(せりか書房、2017年)、『反東京オリンピック宣言』(共編、航思社、2016年)、『やっぱりいらない東京オリンピック』(岩波ブックレット、2019年)他多数。

山本敦久(やまもと・あつひさ)
成城大学社会イノベーション学部教員。専門は、スポーツ社会学、カルチュラル・スタディーズ、身体文化論。著書に、『反東京オリンピック宣言』(小笠原博毅との共編、航思社、2016年)、『やっぱりいらない東京オリンピック』(小笠原博毅との共著、岩波ブックレット、2019年)、『出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ』(田中東子、安藤丈将との共編、2017年、ナカニシヤ出版)など。



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