オール

山田悠介作品!しかしグロさ0!感動モノでもなく短編集のような本でした。

志高く、夢を叶えて上京してきたのにあっさり夢やぶれた主人公は見かけた求人に釣られて何でも屋でアルバイトを始める。
刺激的な毎日と、時たま入る大金にやりがいを感じるものの、彼女や実家の母には伝えられないまま……というストーリー。

軽快に進んでいくのは山田ワールドそのまま。
程度は違えど理不尽なところに放り込まれるという世界観も山田作品。

仕事って何なんだろう。何のためにやるんだろう。何を条件として選ぶんだろう。
本当にやりたいことをやってたはずで、そのために生きてきたのに現実にぶち当たって、何か違うかもと思った時に方向転換できる人ってどれくらいいるんだろう。
決して方向転換することだけが正解ではない。でも不正解でもない。

けど、周りは絶対言うよね、「辞めない方がいい」「この先どうするの?」「決めてからにしたら?」

それもわかる。現状維持しておけば、今より悪くはならないから。それがもっと健康を侵すくらいの何かなら納得するだろうけど、気持ち的に違うと思った、くらいじゃ引き止められる。

実際、物語の主人公も後ろめたさがあるから言い出せない。

でもそれって本当に後ろめたいことかな?
自分の人生を自分で決めて何が悪いんでしょうか?
もし、誰かに迷惑をかけるなら問題かもしれないけど、でもそもそも人間は助け合って生きていると言うなら、「迷惑をかけるかもしれない」くらいの段階で引き止めるのってどうなんだろう。

一生50でいること、安定が安心で1番好きな人もいれば、
0になってもいいから100を追い求めたい人もいるでしょう。

お金がやりがい、休みが取れるのが良い、保障が厚い……
どれも立派な選択理由。

ただ楽しい。

これだけで、選んじゃダメですか?

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