SNSと自己愛・自己肯定感の関連性④

こんにちは!!
明治大学情報コミュニケーション学部石川ゼミです。

今回はアンケート結果を分析した結果を報告します。アンケートにご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!過去の記事はこちら。

SNSと自己愛・自己肯定感の関連性①

SNSと自己愛・自己肯定感の関連性②

SNSと自己愛・自己肯定感の関連性③

今回の記事では、自己愛傾向尺度に基づいて分析した結果をお伝えします。
自己愛傾向尺度とは、以下の通りです。

この尺度及び因子の分け方は、村上宣寛著「心理尺度のつくり方」(北大路書房, 2006)を参照しました。

自己愛


そして、この項目を内容や由来に基づいて以下の3つの因子に分けて分析しました。


因子1…優越性(自己の優越性や誘導力、特別意識などに関する項目)
因子2…対人操作(対人操作や傲慢な態度を示す項目)
因子3…自己顕示(注目され、賞賛されたいという欲求を表す項目)


自己愛傾向尺度を3因子に分けて、SNS群の自身の因子ごとの合計と現実群の自身の因子ごとの合計、SNS群のAさんの因子ごとの合計と現実群のAさんの因子ごとの合計の平均の差をt検定で分析したところ、Aさんの対人操作の項目の合計にのみ、有意差が見られました(t=2.13 , p≦0.05)。

また、各因子ごとに、SNS群の自身の因子ごとの合計とAさんの因子ごとの合計の平均の差をt検定で分析したところ、優越性の項目と、対人操作の項目は有意にAさんのほうが高いという結果が出ました。現実群も同じ分析をしたところ、こちらも優越性と対人操作が有意にAさんのほうが高いという結果が出ました。

SNS群のAさんの因子ごとの合計と現実群のAさんの因子ごとの合計の平均値を比較すると、現実群のAさんの対人操作の項目の合計の平均よりもSNSのAさんのもののほうが高かったため、SNS上で称賛や共感されることは、現実でのその経験よりも対人操作や傲慢な態度を示す傾向を強くすると考えられます。

つまり、今回の調査でいえば、現実とSNSで同じことを言い、同じ反応をもらったとしても、SNSのほうが、相手に傲慢な態度をとっていると受け取られてしまう可能性があります。


また、優越性や自己顕示については有意差がなかったため、自己の優越性、特別意識や注目されたい、称賛されたいという欲求はSNSでも現実でも大差がないことが分かりました。


 
前提質問の「どのくらいの頻度でSNSを閲覧していますか。当てはまるものを一つ選んでください。」の結果(以下:閲覧頻度)と、SNS群と現実群それぞれの自身についての自己愛傾向尺度を3因子に分けて合計したものを相関分析した結果、閲覧頻度と自己顕示の項目の合計の間にのみ、弱い相関がありました(r = 0.24)。

ここから、SNSの閲覧頻度が高い人ほど、注目されたい、褒められたいと思っている可能性が示唆されました。

次回、この研究についてまとめていきます。

読んでいただきありがとうございました!!!!