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ともきんぐ
2022年11月6日 22:56
仮面舞踏会で俺は踊った。都会で皆と同じような服を着て、同じような行動をし、オフィス街に馴染んで動く。そんな俺が、あの南の島で過ごした数日は、物語の主役となり、踊り、物語を進めた。きっとそれはあの人も同じだったろう。お互い、島に訪れた日が同じだっただけの共通項で、惹かれ合い、屈託のない笑顔をむけ合い、そして当然のように体を重ねた。なのに、あの人の吐息、声、肌、それらに触れたはずな
2022年11月3日 14:48
ひよりちゃんへの想いは、ひと夏の熱に浮かされただけだ。そう思うようにしたが、空を見上げ太陽や月を見るだけで、彼女はどうしているんだろうか。島で笑えているんだろうか。そんな事を考えては、胸が締め付けられる毎日だった。なんであそこでしっかり思いを告げなかったのか。後悔もするだけして、冬の訪れを感じるようになったある日、俺は待ち合わせ場所でソワソワしていた。波照間の友人から連絡が来て、ひより
2022年11月3日 12:45
美しい花、美しい海、美しい空。俺は最初この島に来た時、その美しさに全く気付く事ができなかった。押し寄せる仕事、それをただこなす毎日が当たり前になり、俺はその流れを止める事さえできなくなっていた。だからこの島の風景は、ただの流れる風景になっていた。きっと、ひよりちゃんもそうなのだろう。幼い頃から、この島は彼女を『見捨てられた』事を突きつけてしまう島。でも、鎖のように、この島から逃れられ
2022年11月2日 12:41
帰り道、ずぶ濡れになった俺たちはぐっちゃぐっちゃと身体中から音を鳴らしながら歩いていた。なんだかふたりで音楽を奏でているようで、そのうちに楽しくなって、わざわざジャンプしたり、スキップしたりして音に変化をつけた。「こんなの子供の頃以来だ。濡れた長靴の中でグチョグチョ音がするんだよね。それが楽しくてわざわざやってたな」「そんな子供時代もあったんだ。八代さんなんだか可愛い」「ひよりちゃん