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ジャスティス・リーグ:スナイダーカット 感想

レンタル配信で『ジャスティス・リーグ:スナイダーカット』を視聴しました!

取り急ぎですが、感想を書きたいと思います。

※途中まではネタバレはなしで、ネタバレがあるところは警告を入れます。


そもそもスナイダーカットって?

この記事を読んでいる人にはわざわざ説明する必要はないかもしれませんが、念のため軽く。

DCコミックスを原作とする映画シリーズ「DCエクステンデッド・ユニバース」が大成功を収めているライバルマーベルの『アベンジャーズ』に対抗して作り上げた映画が2017年公開の『ジャスティス・リーグ』です。アベンジャーズと同様にDCコミックスのスーパーマンやバットマンを中心としてスーパーヒーローたちが一堂に集結して悪と戦うという映画なのですが、制作過程でいろいろと紆余曲折がありました。

ユニバースの第一作目でスーパーマンを主役にした『マン・オブ・スティール』、そのスーパーマンとバットマンの対決を描いた『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』から直接続く物語で、この二作の監督を務めたザック・スナイダーが『ジャスティス・リーグ』でも監督として制作は進められていました。しかし、途中で突如監督を降板(家庭の問題などが原因にあるようです)。その後は『アベンジャーズ』を手掛けたジョス・ウェドンが監督を引き継ぎ、『ジャスティス・リーグ』は完成しました。しかし、前作『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』の陰鬱で暗い雰囲気とシリアスでスローペースなシナリオの不評を受けて『ジャスティス・リーグ』は本来の内容から大幅に変更され、膨大な尺も二時間に収まるようにスナイダーが撮影した部分をカットしてウェドンが再撮影したシーンとつぎはぎして作られたなど、当初の完成予定図からだいぶ違った形で公開されることになったようです。

元々は『ジャスティス・リーグ パート1』『ジャスティス・リーグ パート2』『ジャスティス・リーグ 完結編』の三部作で制作される予定もあったそうで、公開された映画はこのどの部分までの内容かはわかりませんが、やはり劇場公開版はいろんな妥協や事情が入り混じったものになったようです。私的にはシンプルにまとまっていて嫌いではないのですがね。世間へのウケも興行成績も、満足のいくものにはならなかったみたいです。

そして、劇場公開後、本来スナイダーによって撮影されてカットされたシーン、さらに追加撮影分も含め、当初予定していた構成で制作されたのがこのたび配信された『ジャスティス・リーグ:スナイダーカット』です。これが公開されるまでに至る過程もファンの運動やスナイダー自身の働きかけなど、さらなる紆余曲折がありました。この辺はWikipediaなどにまとめられているようなので気になったら読んでみてください。最初は日本では展開されていない動画配信サービスの「HBO Max」での独占配信だったため、日本ではなかなか見ることができない状態でしたが、2021年5月26日にデジタル配信、同年6月25日にBlu-rayの発売が決まりました。この記事を書いている5月30日では配信でのみ視聴できますね。字幕版だけではなく、吹き替え版も制作されたので好きな方で見れます。配信購入すると2,500円ほどするようですが、アマゾンビデオのレンタルなどは400円くらいで見れるので、おすすめです。


劇場公開版から何が変わった?

ここからは劇場公開版を見ていない人にもネタバレあり。スナイダーカットについては本質的な内容についてはネタバレは避けていますが、構成や大まかな内容についてネタバレしているのでご注意。



はい、ではスナイダーカットは劇場公開版と何が変わったのでしょうか?

私が劇場公開版を観たのがだいぶ前で記憶がちょっと怪しいところがあるので多少間違いはあるかもしれませんのであしからず。

まず尺は120分から242分の2倍に。約四時間あるので見るのには腰を据える必要がありますね。パート1~6とエピローグの構成になっているので連続ドラマのようにはなっていますが、動画としては1本となっています。

では内容的にはどうなのかというと、大きな話の筋は変更ありませんでした。劇場公開版と同じように新たなる脅威に対応するためメタヒューマン(能力者)を集めるために奔走するバットマン、アクアマン・フラッシュ・サイボーグという新メンバーの紹介、スーパーマンの復活と暴走、そして最終決戦という流れです。もちろん尺が長くなった分、劇場公開版で特に足りなかった新キャラクターの掘り下げはかなり丁寧になっています。まだ単独映画のないフラッシュサイボーグに関しては、バックグラウンドが多く語られ、終盤での活躍にも説得力があるようになっていたのは好印象でした。

私個人的には、フラッシュが好きなので、彼の活躍が多くなっていたのは嬉しかったですね。フラッシュを映像化すると彼の能力の高速移動がどう描写されるのかが肝です。ドラマ版とまた違い、瞬間移動したような後から稲妻が走る描写が実にカッコいい。また、少しコミュ障気味だけど若くて明るい性格がチームの清涼剤になるところも多々あってよかったですね。

また、最終章のステッペンウルフとの戦闘シーンはがらりと印象が変わっていました。劇場公開版はスーパーマンが来たところで「もうあいつ一人でいいんじゃないかな……」って感じだった気がしましたが、スナイダー版はチーム戦という描写が強くなっていましたね。詳しくは伏せますが、フラッシュの活躍も最高でした。

全体的に見ると劇場公開版は、スナイダーカット連続ドラマとしてそれを2時間の映画尺にまとめで新作カットを加えた総集編ですって感じの印象になりました。昔のアニメによくあった感じの。公開されたのは劇場公開版→スナイダーカットとなりましたが、本来作られたのは逆順ですからまあそうなりますよね。また、MCUのコミカルな面に影響されたのか、劇場公開版にだけあるギャグシーン?も結構あった気が。個人的な好みとしてはこの映画には無理やりなギャグはちょっと不似合だったと思うので、なかった方が全体的に統一感があった気がします。

とはいえ、スナイダーカットを劇場公開のために前後編二作にぱっくり分けても前半の盛り上がりどころが一本の映画としてかけているとも思うので、劇場公開版は当時できた最善策の結果だったのかもしれませんね。


エピローグ

ここからは、劇場公開版にはないほぼ完全新作で追加されたエピローグについて。完全にネタバレなので、スナイダーカット未視聴の人は気を付けてください。



最終章の後に入れこまれたエピローグ。(当初は計画されていたであろう)今後のユニバース展開への布石的なシーンが多かったです。

バットマンことブルース・ウェインの元に訪れた謎の人物。彼はコミックのジャスティス・リーグ創設メンバーであるマーシャン・マンハンター。ドラマ『スーパーガール』ではお馴染みの火星人で、姿を自在に変える能力を持つヒーローです。描写的にアベンジャーズのニック・フューリーのような立ち位置のキャラにしたかったのですかね。シリーズが想定通り続いたら、彼やシャザム、グリーンランタンなどがメンバーに追加されたいたのでしょうか。

そして、これは劇場公開版にも一瞬あったと思いますが、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』のメインヴィランだったレックス・ルーサーがアーカムを脱獄し、DCの人気ヴィラン(タイタンズで特にお馴染み)デスストロークと対面するシーン。バットマンやスーパーマンの続編で、彼らとの対決が想定されていたのでしょうか。私的にはジェシー・アイゼンバーグが演じて神谷浩史が声を当てているレックス・ルーサーが好きだったので、彼の活躍はもう少し見たかったですね……。再登場の機会はあるのか。

そしてそして、これが最もサプライズ。バットマンが見た未来の世界。荒廃したどこかの街の風景。何かとの戦いに備えるバットマンサイボーグ。何やらごっついアーマーを着こんだフラッシュ。本編ではジャスティスリーグのメンバーではなかった、アクアマンの仲間であるメラ。どうやらアクアマンが殺され、彼女はその仇を討ちに来た模様。そして、本来的であるはずのデスストロークと、まさかのジョーカー『スーサイド・スクワッド』に登場したものの、かなり出番が削られて正直扱いがあまりよくなかったDCエクステンデッド・ユニバース版ジャレッド・レトが演じるジョーカーです。ベン・アフレックバットマンとの対面がなかったのがかなり惜しく思っていたので、これはテンションが上がりました。二人のやり取りが最高にクール。このシーンがあっただけでも、スナイダーカットが作られて本当に良かったと思いましたね。彼らが集った理由は、何らかの理由で対立したスーパーマンと戦うため。きっと、スナイダーが構想していたジャスティスリーグの続編への布石となるカットだったのでしょう。ここまで見せられて、この続きが見られないというのは残念……。



スナイダー作品はどちらかというと、重く、暗い雰囲気のイメージがやはりありましたが、(小分けにはしましたが)4時間強という尺にも関わらず、最後までかなり楽しめた作品でした。劇場公開版を楽しんだ人はもちろん、ちょっと物足りなく感じていた人こそは是非視聴して下さい。きっと後悔はしません。

そして、今後のDCエクステンデッド・ユニバース作品の展開も楽しみにしていきたいと思います。新スーサイドスクワッドに超期待。

ではでは。

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