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魔女の愛した鬼

美しい魔女がいた。

彼女は自身の魔法で数多くの男を骨抜きにした後、
平凡だが裕福な男と恋に落ちた。

男は魔女との間に1人の息子をもうけた後、
長く昏睡してしまうことになる。

魔女は自身の魔法で男を目覚めさせようとしたが、
それは叶わなかった。

多くの魔法がそうであるように、
彼女の魔法もまた万能ではない。

魔女は王国中の医者の元を駆けずり回り、
ついに男の肉体は目覚めた。

しかし、その肉体は意地汚い鬼だった。
ある魔王が、鬼に魔法をかけて男にしていたのだった。

魔女はゴルフクラブでその鬼を殴り殺し、ある島へ埋めた。役所に死亡届も出した。

還暦を迎えた魔女は、以前のように美しくはない。

その鬼の血の色に似たワインを飲みながら、
Youtubeで配信されていたショパンコンクールを聞き入っている。

そして、彼女はiPhoneで最後の魔法を送信した。

おしまい。
近ごろ、「鬼滅の刃」にしろ、「約束のネバーランド」にしろ、ヒトの際限ない欲望を「鬼」というメタファーに当てはめて扱う事例が増えている気がします。

「鬼=悪」という分かりやすい図式をとった「鬼滅」や、「鬼との共存・隔離」をとった「約ネバ」。鬼をどのように扱うにせよ、鬼との向き合い方が問われている時代なのかもしれませんね。

社会に目を向ければ、これまで資本主義を背景とした競争社会であったのが、国際的に緩やかな社会主義を目指す流れが加速しています。鬼は本質的には絶滅はしないけれど、今後締め付けられる運命にあるみたいですね。

今日もロマンティックな1日を❣️

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