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妖怪たくさん|やまと絵展

東京国立博物館で開催されている特別展「やまと絵―受け継がれる王朝の美―」に行ってきました。12月3日に終了なので滑り込みです。同じような考えの方が多かったのか、平日なのにかなり混んでいました。
教科書に載っている作品が大集合していたのですが、書写された文字や煌びやかな料紙なども展示されています。自分があまり注目していない作品も見ることができ、見応えたっぷりでした。

実は今回、怪異や地獄を描いた作品に注目して展示を見ていました。
その一つが《百鬼夜行絵巻》で、今回のお目当ての作品です。

鬼だけでなく道具が付喪神になった妖怪も登場していて、誰が何の道具だろうと考えながら見るのが楽しかったです。全体的に波のような線でゆらゆら描かれているし表情も豊かなのが可愛い。妖怪たちの行進を見ていくと、絵巻の一番最後には大きな赤丸が。妖怪たちが描かれている部分しか見たことが無かったので「なにこれ?」となりました。

『百鬼夜行絵巻』,写. 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/2541003 (参照 2023-12-01)

この丸、なんだと思いますか?
本物の絵はもっと禍々しかったので、地獄と繋がる門だと思いました。しかし、帰って調べてみると太陽や火の玉など諸説あるそうです。朝には行動できないから太陽が昇る前に逃げようとしたのかな……。

《沙門地獄草紙 沸屎地獄》もとても印象に残っています。

≪地獄草紙≫や≪餓鬼草紙≫など六道に関連する作品が合わせて展示されている「こわいゾーン」だったのですが、この絵は余白の使い方が凄いと思いました。絵の右側に大勢の人がおり、左側には鬼によって川に落とされる様子が描かれていますが、画面に空白があることで人間の弱々しさが強調されています。引きの構図なので人がものすごく小さく見えるし、鬼は人間の倍の大きさがあります。≪地獄草紙≫の人間を鍋に入れている鬼たちの様な衝撃はないものの、不穏で静かな怖さを感じました。

その≪地獄草紙≫は後期では鬼の場面と鶏の場面が展示されていました。どうやら鶏地獄というものがあるらしく躍動感のある大きな鶏が描かれています。気づきにくいのですが、よくみると暗闇の中にたくさんの人が横たわっており、鶏に襲われるのが分かります。怖い!!

この地獄にたけきほのほ身にみちたるにはとりありて 罪人をしきりに蹴ふむ 罪人の身分づたづたになりて その苦患たえしのぶべきかたなし

≪地獄草紙≫銘文, 奈良国立博物館 所蔵品データベース

他におもしろかったのは、天狗を描いた≪是害坊絵詞≫という絵。

『今昔物語』の話をもとにしていて、唐の天狗是害坊が比叡山の僧に敗れるという内容だそうです。天狗といえば山伏のような恰好をしているイメージでしたが、この絵の天狗は頭から背中が鳥で、衣装はふんどしを履いているだけです(是害坊らしき天狗は服を着てたけど)。お風呂に入るなど人間らしい動きをしているところに親しみが湧きます。

教科書でおなじみの≪伝源頼朝像≫の展示を見逃してしまったのは残念ですが、「やまと絵」をたっぷり見ることができて楽しかったです。へとへとに疲れてしまったので通常展示を見にまた来る!!!

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