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エキストラ経験から感じた着物

大学生の頃、一度だけエキストラをやった事があった。
エキストラというものは拘束時間が長い、と初めに念押しされた。
実際、私たちエキストラは午前7時頃に集められた。
当日、ノーメイクで来いとの事だったので、集まった女性の大半はすっぴんだった。もちろん私もだ。化粧せずに初対面の人と会うのは大人になるとなかなかレアな光景だ。
控え室に集められた他のエキストラの人たちと喋りながら待っていると、着替えタイムになった。

昭和を舞台にした作品だったため、女性陣は着物組と洋服組に分けられた。私は洋服組だった。
服を着替え終えると、髪をそれなりに整えてもらう。それからまた控え室に戻った。

私は控え室に戻った時、髪と服を整えてもらった着物組の人たちの美しさにドキッとした。元々着ていた洋服の時よりも、洋服から着物に着替えた方が断然キリッとして美しく感じたのだ。
しかも、結局エキストラにはメイクを施してもらえず仕舞いだったので、女性はみんなすっぴんだった。それなのに洋服組の私に比べ、和服組の方々はそんな事を気にさせなかった。美しかった。ひとたび着物に着替えただけで、粋なおかみさんになるのが面白かった。これが着物の魅力なのか、と思った。

この衝撃的な体験から私の目は着物に向いた。やっぱり着物なのかもしれない、そう思った。

けれども、私はいまだに着物経験は積めていない。着物に関する展覧会に行ったり、本を読んだりするが実践には移せていない。
今後、着物と付き合っていけたらいいな、とは思っているが、その日はいつ来るのだろうか…

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